新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、今月4日に東京都や大阪府などの7都府県に対して緊急事態宣言が発令されました。

さらに16日には対象地域が全国に拡大

法的な強制力はなく、あくまでも「要請」にとどまる措置ではあるものの、現在では日本のすべての都道府県で不要不急の外出自粛や店舗や施設の休業・営業時間の短縮といった対応が余儀なくされています

平日のオフィス街からは人通りが減り、街中では飲食店や商店が1日中シャッターを閉めたままひっそりと佇む寂しい光景が広がっています。

感染拡大が顕在化した当初から減速傾向にあった国内経済は、今後ますます衰退の一途を辿ることが予測され、事業主様の多くが先行きの見えない現状に多大な不安を抱えておられるのではないでしょうか。

また、勤務先からの派遣切りや雇用打ち止め、給与減額といった措置により、収入の確保が難しくなったことで生活に窮する労働者の方々が急増しています。

政府と自治体が進める緊急支援策の数々

政府と自治体が進める緊急支援策の数々

このような事態が続く中で、政府は新型コロナの影響により経営不振に陥った企業や事業者の救済を目的とした緊急支援策を相次いで発表してきました。

実質無担保・無利子となる「特別利子融資制度」をはじめ、資本金10億円未満の中小企業や小規模事業者などの法人に対して200万円フリーランスを含む個人事業主に対しては100万円を給付する「持続化給付金」の支給を発表。

さらには、中小企業を対象に、民間の金融機関からも実質無担保・無利子での融資が受けられる制度の創設も決定しています

従業員の一時的な休業や教育訓練などを通した雇用維持を目的とする「雇用調整助成金」に関しても、申請書類の記載事項削減や計画届の事後提出が容認されるなど、申請を簡素化した期間限定の特別措置が設けられました

また政府のみならず、東京都や大阪府などの自治体では休業要請や営業時間短縮に応じた事業者に対して補償金の支給を決めています。

しかし、政府と各自治体が企業や事業者に対する緊急支援策を次々と発表し実施の準備を進めるなかで、事業主様にとっては他人事として目を背けるわけにはいかない事態が顕在化しています。

それが新型コロナの影響による経営破綻の増加です。

全国で経営破綻が増加傾向に

全国で経営破綻が増加傾向に

東京商工リサーチの報告によると、今月17日の時点で新型コロナ関連の経営破綻は全国で66件そのうち、41件がすでに倒産にいたったといいます。

業種別では、インバウンド需要が消失した宿泊業が14件(倒産8件、準備中6件)、飲食店7件(同5件、同2件)、アパレル関連6件(同3件、同3件)など。当初は、インバウンドに依存した宿泊業が中国人観光客の減少などで行き詰まるケースが多かったが、徐々に外出自粛で来店客が減り売上高が減少したアパレル・婦人服等販売、緊急事態宣言後の休業要請で店舗を休業していたパチンコ店など、幅広い業種に広がっている。

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200417_02.html
(東京商工リサーチ)

新型コロナの感染拡大が経済に与えるダメージの大きさを改めて実感させられる発表だといえますが、東京商工リサーチが発表した倒産数は、負債1000万円以上の私的整理、法的整理を対象に集計した数ですので、実際にはさらに多くの企業や事業者が経営破綻や廃業に追い込まれているものと思われます

弊社のファクタリングサービスを定期的にご利用いただいている複数のお客様からも、新型コロナの影響を受けたことにより、全従業員の解雇や倒産手続きの準備などの決断をされたという報告を受けています。

下請け工事を担う、ある中小零細規模の建設会社様は、大手建設会社からの工事中止の決定を受けたことによって今後の利益確保が見通せなくなり、やむなく法的倒産手続きを進める決断を下したといいます。

ほかにも、小規模の飲食店を経営される事業主様からは、不本意ながらもアルバイト従業員の解雇に踏切った上で、緊急事態宣言が大型連休明け以降も継続されるようであれば、廃業は免れないと話していました。

確実性とスピード感なく、未だ不透明な支援策も

確実性とスピード感なく、未だ不透明な支援策も

もちろん、新型コロナの感染拡大以前から厳しい経営が続いているというケースも考えられますが、多くの企業や小規模事業者が倒産や廃業待った無しの状況に追い込まれていることは確かです。

こうした状況の打開策として、政府や自治体は数々の緊急支援策を打ち出しているわけですが、以前のブログでもお伝えしたように「特別利子融資制度」の利用は審査のハードルが高いことから受給を断念せざるをえない事業主の方が多くみられ、特例措置がとられる「雇用調整助成金」も問い合わせの殺到によって、対応が遅れる事態となっているようです

また、「持続化給付金」にいたっては未だ申請期間や方法、支給までにかかる日数などの詳細が正式発表されておらず、何よりもスピード感と確実性が重視される現状において、十分に期待に応えられる支援策とは言い切れない感があります

このままでは、企業や小規模事業者の倒産や廃業のリスクが日に日に増すばかりです。低迷を続ける国内経済の持ち直しと経営危機に瀕する企業や小規模事業者を一刻も早く救済するためにも、政府や自治体には、よりスピード感と確実性を高めて各支援策の実施を進めてほしいと願うばかりです。