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今回ご紹介するのは、廃棄物処理業者さまの2社間ファクタリング利用事例です。

埼玉県に拠点を構えるA社さまは、個人事業者や法人向けに幅広い廃棄物処理サービスを提供する中小規模の企業さま。産業廃棄物の収集・運搬・処理を主な事業とし、建設業や製造業、飲食店、自治体など多くの業種の顧客を抱えています。

資金繰りの課題に直面の画像

しかし、廃棄物処理業界の経営環境は全体的に厳しさを増しており、A社さまも資金繰りの課題に直面していました。業界全体を見ると、廃棄物処理業は社会的に不可欠な役割を担っているものの、課題が多いものです。環境規制の強化に伴い、処理方法の適正化が求められることもあり、設備投資の負担が増しています。また、従業員の高齢化と人材不足が深刻化していることから、特に運転手や作業員の確保が難しくなっています。

一方で、脱炭素化や循環型社会の推進といった社会的な要請も強まり、持続可能な廃棄物処理のあり方が問われています
こうした環境の中でA社さまは、業務のDX化を推進する必要性を感じていました。
特に、処理設備の運用や産業廃棄物の収集・運搬業務の効率化、受発注管理や営業管理のデジタル化が急務。しかし、これらのシステムを導入するためには多額の初期投資が必要となり、まずは資金繰りの課題を解消する必要性を感じていたのです。

A社さまの取引先の多くは、契約上の支払いサイトが長期に設定されています。
これは、取引先企業の財務管理方針や契約条件によるものであり、特に大手企業や自治体との取引においては支払いが遅れがちになる傾向がありました。
例えば、自治体との契約においては、事務手続きの関係で支払いが遅延すること。場合によっては、さらに長期間の資金繰りの負担が発生するケースもありました。

このように、売掛金の回収までに長期間を要することがA社さまの資金繰りにとって大きな課題となっていました。
特に、収集・運搬業務に必要な車両の維持費や燃料費、人件費といった運転資金は先に発生することもあり、売掛金の回収が遅れるとキャッシュフローが悪化し、必要な設備投資や業務改善が思うように進められない状況が続いていたといいます。
そのため、A社さまは売掛債権を早期に資金化する有効活用策を模索したうえで、ファクタリングの利用を検討することになったのです。

2社間ファクタリングを選択した画像

A社さまが最初に検討されたのは3社間ファクタリング。これは、とにかく利用手数料を抑えたいという希望からだったものの、取引先に売掛債権の譲渡を通知する必要があることから断念。取引先との関係性が確実に守られる2社間ファクタリングを選択されました。
これにより、売掛金を前倒しで資金化し、DX化に必要な資金を確保することができたのです。

<2社間ファクタリング>

【売却対象売掛金】 3,000万円
【弊社買取対象額】 2,700万円
【買取代金】750万円(お客様お渡し代金)
【買取率】 90%
【ファクタリング手数料】 11%

ファクタリング実行後には、A社さまが実施されたDX化についてヒアリングさせていただくことができました。

ファクタリングで資金を調達されたA社さまはまず、処理設備の運用に関して機器の稼働状況をリアルタイムで監視できるよう、新しいデータ分析システムを導入。設備の故障リスクを事前に察知し、メンテナンスの計画を最適化することで、コスト削減と作業効率の向上を実現できたといいます。
次に、産業廃棄物の収集・運搬業務のDX化では、GPSを活用した車両管理システムを導入しました。これは、最適なルートを選定したうえで燃料費の削減や配送時間の短縮を図ることが目的。また、リアルタイムでの業務進捗管理が可能となったことで、顧客への対応速度も向上したそうです。

受発注の管理についても、従来は紙ベースの処理が多く、手作業によるミスや管理コストの増加が課題となっていました。そこで、クラウド型の受発注管理システムを導入し、取引先とのやり取りをデジタル化することで、業務の効率化を実現。請求書の発行や入金管理の精度が向上したことにより、キャッシュフローの改善にもつながりました。
また、営業管理のDX化として顧客管理システムも導入。営業活動の進捗を可視化し、顧客ごとの対応履歴をデータベース化することで、より効果的な営業戦略を立てることができるようになった新規顧客の開拓やリピート率の向上にも貢献し、売上の拡大につながっているとのことです。

ファクタリングを経て問題を解決した画像

ファクタリングを活用したことで、A社は資金繰りの問題を解決し、DX化を着実に進めることができ、業務効率の向上とコスト削減を実現し、競争力を強化することができました。
また、環境対応型のサービスを提供することで、自治体や大手企業からの評価も高まり、新規契約の獲得にも成功しました。
廃棄物処理業界は今後も環境規制の強化や脱炭素社会への移行といった変化に直面することが予想されます。

今回のA社さまのように資金調達手段を柔軟に活用し、持続可能な成長を目指す企業が求められています。
ファクタリングはあくまで一時的な資金繰りの補助に過ぎませんが、適切に活用すれば、中小企業が安定した経営基盤を築くための有効な手段となります。A社さまの事例は、廃棄物処理業界の将来を見据えた経営戦略の一つの成功例といえるでしょう。