皆さまこんにちは。トップ・マネジメントです。

9月も半ばを過ぎ、「すっかりと秋めいて涼しい日々が続いています」と言いたいところですが、今年は残暑が一段と厳しいようで、いまだに真夏のような強い日差しが照りつける地域も多いかと思います。

「食欲の秋」や「読書の秋」という言葉があるように、秋は四季の中でも最も過ごしやすい季節だといわれるため、何に対しても意欲が湧いてくるという方がたくさんいらっしゃることかと思いますが、今年の残暑はそれをことごとく阻むような強い不快感を感じるほどです。

天気予報によると、今年はラニーニャ現象が続く影響により、10月中旬までは30℃を超える日があるとのこと。どうやら本格的な秋の到来はもう少々、おあずけのようです。

さて、今回のスタッフブログのテーマは「実業家」と「起業家」の違いについて」

どちらも普段から何気なく使っている言葉ですが、実は定義に明確な違いがあるようです。

最後までお読みいただけましたら幸いです。

皆さまは、「新たに事業を立ち上げた人」のことを何と呼びますか?恐らくほとんどの方が、そういった人のことを「起業家」と呼ぶのではないでしょうか。

では、「自ら事業を立ち上げたのちに、高い実績を積み上げ続けている人」のことは何と呼ぶでしょうか。こちらはきっと「実業家」と呼ばれることが多いことかと思います。

呼称こそ違えど、どちらも一般的なイメージとしての共通点は「自ら事業を興した人」。つまり、「起業家」も「実業家」もほぼ同義語として捉えられている方が少なくありません。

ですが、実は両者ともにそれぞれの定義があり、独立した意味や特徴を持っているのです。

「起業家」

まずは起業家からみていきましょう。

起業家を辞書で調べると以下のように記載されています。

事業を計画して、会社を設立させることを仕事にしている人
(出典 精選版 日本国語大辞典精選版/日本国語大辞典について)

新しく事業をおこして運営する人。また、それを専門に行う人
(出典 小学館/デジタル大辞泉について)

したがって、起業家とは「新たに事業を興す人」、「新たに会社を設立」する人という認識で概ね間違いではないということが分かります。

そうであるならば、どのような事業を興したとしても、その人は起業家と呼ばれるということなのでしょうか。

答えはNOです。

起業家の定義を正しく理解する上でポイントになるのが「事業を計画」、「新しく」という部分。これはつまり、0から1を生み出す事業というふうに捉えることができます。

もう少し噛み砕くと、「これまで世の中に出回っていなかった革新的な商品やサービスを引っさげて、新たな市場を開拓する事業」ということがいえ、これを実践する会社を興す人こそが起業家と呼ぶのにふさわしい人だということになるわけです。

ですので、たとえば飲食事業や保険事業などに多くみられるフランチャイズ制度を活用して会社を興した人など、すでに事業として確立されており、市場においても飽和状態となっているような事業を開始する人は、仮に新たに会社を新設したとしても起業家の本来の定義からは逸れるということになります。

昨今では、ベンチャー企業やスタートアップ企業の創業者を起業家と呼ぶ風潮がありますが、これはそれらの企業が革新的な商品やサービスを開発し、市場を新たに開拓する傾向が高いためではないでしょうか。

「実業家」

次に実業家をみてみましょう。

まずは起業家と同じように、辞書を用いて言葉の意味を確認してみます。

商工業、金融など経済的な事業を営む人
(出典 精選版 日本国語大辞典精選版/日本国語大辞典について)

商業・工業・金融業など、経済的事業を営む人
(出典 小学館/デジタル大辞泉について)

どちらも、ほぼ同様の意味が記載されています。

では、そもそも「実業」とはどういう意味なのでしょうか。

農業、工業、商業、水産などのような生産、製作、販売などをする事業
(出典 精選版 日本国語大辞典精選版/日本国語大辞典について)

不思議なことに、「実業家」の説明においては「金融業」が含まれているのに対し、「実業」のみでは「金融」は含まれていません。

これは、実業の対義語として存在する「虚業」の意味が関係していると考えられます。

虚業とは、「投機相場のような堅実ではない事業」のこと。

したがって、株式売買やFXなどのように、実を伴わない売買取引によって成り立っている事業は「実業」とはいえないということがわかります。

これらの観点を踏まえると、実業家とは「社会的な価値を付与する事業」を行う人のことであると考えられるのではないでしょうか。

つまり、たとえ「金融業」であっても、社会的意義のある事業を実行する人、たとえばかつて銀行を創設したような偉人は実業家だといえますし、昨今において活発化するフィンテック事業を行う人も同じように実業家であることは確かでしょう。

 

まとめ

今回は「起業家」と「実業家」、それぞれの定義や特徴について解説しました。

簡潔にまとめると、

起業家=革新的な商品やサービスを追求して新たな市場を開拓する事業を興す人
実業家=社会的な価値を付与する事業を行う人

というふうに定義することができます。

ぜひ、今回ご紹介した内容を参考に「起業家」や「実業家」という言葉を使い分けてみてください。