新型コロナウイルスの感染症拡大が始まって2年以上が経過しました。

現在も、国内・海外ともに新規感染者数はゼロに至ってはいないものの、ワクチンの普及や対策の徹底などが一定の効果をもたらしているといえ、これまで敷かれてきた多くの制限を緩和する動きがみられるようになっています。

企業の経済活動に目を向けても、飲食業や観光業といった感染拡大当初から苦しい経営を強いられてきた業種も徐々に平時の経営を取り戻しつつあるほか、リモートワークを実施する企業数は減少傾向になるなど、新型コロナによって疲弊と変化を続けてきた経済活動は少しずつコロナ禍以前の様相をみせています。

しかしその一方で、ロシアによるウクライナ侵攻を発端とする原油高と急速な円安進行による物価高騰が、企業活動にとっての新たな脅威として降りかかっており、まだまだ予断が許されない企業が多く存在することは確かです。

「新型コロナ関連融資(ゼロゼロ融資)」の実施で倒産件数は低水準に

さて、時間を少し巻き戻した2020年3月、政府は政府系金融機関と民間金融機関との連携のもと、中小企業の資金繰りを支援する目的として、「新型コロナ関連融資」、いわゆる「ゼロゼロ融資」の実施を開始しました。

「ゼロゼロ融資」は、元金の返済が猶予される据え置き期間を5年以内に設定可能であるほか、利子を3年間にわたって公的機関が負担する実質無利子・無担保の融資制度です。

「ゼロゼロ融資」の総貸付額は、政府系金融機関が35兆円以上、民間金融機関が20兆円以上。いかに多くの中小企業が借入を行ったかが分かると同時に、新型コロナによって企業活動がどれだけ大きく揺らいでいたかが判明する数字だといえるのではないでしょうか。

帝国データバンクや東京商工リサーチといった調査会社は、新型コロナで多くの企業が資金繰りに不安を抱えていた中であっても倒産件数は歴史的な低水準に抑えられていると発表し続けてきたものですが、この結果は、まさに「ゼロゼロ融資」がもたらした成果であるといえるわけです。

据置き期間を1年〜2年に設定した企業は返済期間へ

しかし、実質無利子・無担保の融資制度といえども、利子の支払い猶予は3年、そして元金の返済猶予期間は最長で5年。

据置き期間を1年〜2年に設定した企業の中には、すでに返済が開始されているところもあり、来年の3月には利子の支払いが発生することになるのです。

借入による資金補填によって何とかコロナ禍を生き延びてこられた企業であっても、売上や利益をコロナ禍以前の水準に戻せている企業は決して多くはないと考えられ、そのような企業にとっては、ここから「返済」という負担が重くのしかかることが予想されます。

そして、現状における原油高と物価高騰といった社会情勢が影響するによる資金繰りのさらなる悪化も懸念される事態。

業績が芳しくなく、経営の立て直しに時間を要している中で「ゼロゼロ融資」の返済が開始した企業は、今後の経営を左右する重大な課題を背負っていることを意味しているといえます。

では、「ゼロゼロ融資」の返済が困難に陥っている、またはこれから返済期を迎える企業はどのような対策を打ち立てるべきだと考えられるのでしょうか。

金融機関へ据置き期間の延長を相談

先にも述べた通り、たとえ実質無利子・無担保、据置き期間の設置が可能であっても、「新型コロナ関連融資」も通常の融資と同じようにあくまでも「借入」であることを念頭に置いた対応が求められます。

通常の融資にて借入を行った後にもしも返済が厳しいと判断できた場合、まずは借入先の金融機関に対して返済の猶予を求めることになることでしょう。

これと同じように、「新型コロナ関連融資」の返済が厳しい場合には、速やかに各金融機関に申し出て実情を説明し、据え置き期間の延長を相談するべきなのは言うまでもありません。

もちろん、据え置き期間の延長の判断は各金融機関に委ねるしかありませんし、申し出たからといって必ずしも据置き期間が延長されるとはいえないでしょう。

しかし、何も金融機関は企業を破産に追い込むために借入を実行するわけではありませんし、ましてや新型コロナウイルスの感染症拡大という未曾有の事態に端を発する借入という点を踏まえても、申し出を無下に却下するとは考えにくいものです。

ですので、まずは慌てることなく冷静に実情を説明した上で、据え置き期間の延長を申し出てみることを実行してみてください。

新型コロナ特例リスケジュールの活用

前項で、据置き期間延長の申し出を推奨しましたが、実は新型コロナ関連融資には、もともとリスケジュールを支援する施策が整えられています。

それが「新型コロナ特例リスケジュール」です。

この支援策は、中小企業再生支援協議会と呼ばれる国の公的機関が介入して据置き期間の延長や返済条件の見直しを求めるというもの。

中小企業再生支援協議会は、47都道府県に設置されているため、全国すべての企業が利用可能です。

また、弁護士や公認会計士、税理士や中小企業診断士といった企業の資金繰りに精通した専門家によるアドバイスを受けられるほか、事業再生に向けた事業計画の立案や財務状態の診断などのサービスを無料で受けることができます。

 

各種税金・公共料金等の支払い猶予申請

こちらは、直接的に借入金に関わる対策ではありませんが、業績が芳しくない企業にとっては、融資の返済期間の税金や社会保険料、公共料金の支払いは大きな負担となりかねないものです。

そこで、月々の支払いを可能な限り抑えるためにも、国税局や年金事務所といった各機関に出向き、事情を説明して納税の猶予や換価を願いでることも資金状況によっては必要になります。

また、電気料金やガス料金に関しては、新型コロナの影響を受けたことによる支払い困難と断定されれば、供給停止の延期を認めるよう要請が発せられていることもありますので、資金繰りが悪化がみられるようであれば相談するべきだといえます。

コロナ返済期間でも契約可能なファクタリングの活用を

ここまでは、新型コロナ関連融資の返済が困難に陥った際に、早急に検討するべき3つの対策を紹介しましたが、これらはすべて「交渉」ありきの策。

つまり、どれだけ厳しい実情を訴えようとも金融機関はじめとする各交渉相手の判断次第では、認められないケースも十分に考えられます。

そのような場合であっても諦めることなく、ぜひ活用の検討をしていただきたい策のひとつ。

それがファクタリングです。

すでに当ホームページやブログにて、ファクタリングについての解説をご覧になられた方も多くいるかとは思いますが、改めて説明するとファクタリングは売掛債権の売買によって資金を取得できる資金調達手段です。

このような性質上、融資の返済期間であってもご利用いただけると同時に、負債をさらに増加させることもないため、コロナ関連融資の返済期間においても有用な策のひとつとなります。

得られた資金は融資の返済に充てることはもちろん、返済で疲弊する資金繰りの安定化にもつなげられる運転資金の補填にも役立てることが可能です。

まとめ

新型コロナ関連融資の利用によって、多くの企業がコロナ禍を生き延びられてきたことかと思います。

すでに返済が開始している企業も数多くありますが、中には得られた資金を経営の維持に費やすのが精一杯となり、業績を上げられない、もしくはコロナ禍以前の水準まで戻せないまま、返済期間を迎えられた企業も複数存在するはずです。

トップ・マネジメントのファクタリングは、一般的な2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのほか、請求書発行以前にファクタリングが利用可能になる「見積書・受注書・発注書ファクタリング」や、一定の条件を満たされた場合に利用手数料が割安になる「2.5社間ファクタリング」の提供も実施しています。

また、法人様だけでなく個人事業主の方からのご相談にも対応いたします。

ファクタリングで得られる資金は、融資の返済金としてもご活用いただけますので、新型コロナ関連融資の返済に不安を抱えておられる事業主様は、ぜひトップ・マネジメントにお問い合わせください。