取引先に請求書は出したものの、入金は来月末。その前に仕入れや外注費の支払いが来る。こうした場面で使えるのが請求書買取サービスです。
請求書そのものを売るのではなく、請求書のもとになっている売掛債権を買取業者に譲渡して、支払期日より前に資金を受け取る取引で、一般にファクタリングと呼ばれるものと同じです。
ただし、どの請求書でも売れるわけではなく、支払期日や取引の実態、売掛先が誰かによって対象になるかが分かれます。
この記事では、手元の請求書が買取の対象になるか、請求書カード払いなど名前の似たサービスと何が違うか、契約前にどこを確認すればよいかを順に説明します。
請求書買取サービスとは
請求書買取サービスとは、取引先に発行した請求書に基づく売掛債権を買取業者へ譲渡し、支払期日より前に資金を受け取る取引です。
| 売買の対象 | 紙やPDFの請求書ではなく、代金を受け取る権利である売掛債権 |
|---|---|
| 請求書の役割 | 売掛債権の存在や金額、支払期日を確認する資料 |
| 一般的な呼び方 | ファクタリング |
法的には、売掛債権を譲渡する取引にあたります。請求書があっても、裏付けとなる取引や売掛債権が存在しなければ、買取の対象にはなりません。
この記事では、2社間・3社間などの契約方式や手数料の仕組みには踏み込まず、「請求書を買い取る」という言葉の意味と、対象となる請求書を解説します。
ファクタリングと同じ取引を指す
「請求書買取」は、請求書に基づく売掛債権を支払期日前に譲渡するファクタリングを指す呼び方の一つです。金融庁は、一般的なファクタリングを、事業者が保有する売掛債権などを期日前に手数料を差し引いて買い取るサービスと説明しています。
請求書は売買の対象ではなく、売掛債権の存在や金額、支払期日を確認するために使われます。サービス名が「請求書買取」か「ファクタリング」かだけでは、契約内容までは判断できません。
- 何を譲渡する契約なのか
- 譲渡した債権を誰が回収するのか
- 売掛先への通知があるのか
「請求書買取」という呼び方が使われる理由
「売掛債権の譲渡」は専門用語ですが、「請求書買取」は、手元の請求書を資金に換えるサービスだと利用者がイメージしやすい表現です。請求書を画像で送って申し込むオンライン型のサービスが増えたことも、この呼び方が広まった背景と考えられます。
ただし、サービス名と契約内容が同じ表現になるとは限りません。「請求書買取」と案内されていても、実際にどのような契約を結ぶかはサービスごとに異なります。名称だけで判断せず、契約書の内容を確認してください。
請求書買取と名前が似ているサービスとの違い
「請求書買取」と名前が似たサービスには、請求書カード払い、報酬の先払い、手形割引、売掛債権担保融資などがあります。どれも資金繰りに関係しますが、資金を受け取る側か支払う側か、売却か借入かで仕組みが異なります。
| サービス | 利用する側 | 主な仕組み |
|---|---|---|
| 請求書買取 | 代金を受け取る側 | 請求書に基づく売掛債権を譲渡し、期日前に資金を受け取る |
| 請求書カード払い | 代金を支払う側 | 請求書の支払いをカード決済に切り替え、資金流出を後ろ倒しにする |
| 報酬の先払い・即日払い | 報酬を受け取る側 | 債権譲渡や立替など、サービスごとに仕組みが異なる |
| 手形割引 | 手形を受け取った側 | 受取手形を支払期日前に割り引いて資金化する |
| 売掛債権担保融資(ABL) | 融資を受ける側 | 売掛債権や在庫を担保として融資を受ける |
まず、自社が必要としているのが「受け取る予定の代金を早く資金化すること」なのか、「支払う予定の代金を後から払うこと」なのかを確認しましょう。
- 売掛金の入金を待たずに資金を受け取りたい:請求書買取など
- 支払期限が近い請求書の支出を先に延ばしたい:請求書カード払いなど
- 売掛債権や在庫を活用して融資を受けたい:ABLなど
請求書カード払いは自社の支払いをカード引き落とし日まで延ばす
請求書カード払いは、自社が支払う側の請求書をクレジットカードで決済し、実際の資金流出をカードの引き落とし日まで後ろ倒しにするサービスです。
| 項目 | 請求書買取 | 請求書カード払い |
|---|---|---|
| 利用する立場 | 代金を受け取る側 | 代金を支払う側 |
| 対象 | 自社が受け取る予定の売掛債権 | 自社が支払う請求書 |
| 目的 | 入金を早める | 支出を後ろ倒しにする |
一般的な仕組みでは、利用者が仕入先や外注先から届いた請求書をサービス事業者に登録し、事業者が仕入先へ銀行振込で支払います。利用者はサービス事業者への支払いをカード決済にし、後日カード会社へ支払います。請求書カード払いの利用条件や費用は、サービスごとに異なります。
- 仕入先がカード決済に対応していなくても利用できる
-
サービス事業者が仕入先へ銀行振込で支払うため、仕入先がカード決済を受け付けていない場合も利用できるサービスがあります。
- 決済額に応じた手数料がかかる
-
手数料の計算方法や料率はサービスごとに異なります。
- 利用額はカードの利用可能枠が上限の目安
-
カードで決済するため、原則として利用可能枠を超える金額は決済できません。
- 売掛債権の譲渡は発生しない
-
自社が支払う請求書をカード決済に切り替えるサービスです。自社が受け取る売掛債権を譲渡して、入金を早める請求書買取とは仕組みが異なります。
報酬の先払い・即日払いは名前だけで契約方式を決めつけない
報酬の先払いや即日払いをうたうサービスは、名称だけでは請求書買取と同じ取引かどうか分かりません。フリーランスや業務委託で働く人向けのサービスには、複数の仕組みがあります。
| 仕組みの例 | 確認する内容 |
|---|---|
| 債権譲渡型 | 請求書などに基づく報酬債権を譲渡する契約か |
| 立替型 | サービス事業者が何を立て替え、後から誰が支払うのか |
| 受取口座の切替型 | 報酬の入金先をどう変更し、入金後にどのような処理をするのか |
対象となる報酬も、発行済みの請求書に基づく売掛債権、仲介サイト上で確定した報酬、その他の債権など、サービスごとに異なります。債権譲渡型であれば、取引の法的な性質はファクタリングにあたります。「即日払い」は資金を受け取るまでの早さを示す言葉で、契約方式を示すものではありません。
- 何を譲渡または売却する契約なのか
- 債権譲渡をしない場合、どのような仕組みで資金を受け取るのか
- 取引先から報酬が入金された後、誰がどのように処理するのか
手形割引は受取手形を支払期日前に資金化する
手形割引は、取引先から受け取った約束手形を支払期日前に金融機関や手形割引業者へ持ち込み、期日までの利息にあたる割引料を差し引いた金額を受け取る方法です。
| 項目 | 手形割引 | 請求書買取 |
|---|---|---|
| 資金化する対象 | 取引先が振り出した受取手形 | 請求書に基づく売掛債権 |
| 利用できる取引 | 代金を手形で受け取る取引 | 売掛債権が発生している取引 |
| 主な費用 | 割引料 | 買取手数料 |
請求書を発行して銀行振込で代金を受け取る取引には、手形がありません。その場合、手形割引は利用できず、売掛債権を資金化する方法として請求書買取などを検討します。手形と銀行振込の両方がある会社では、資金化したい対象に応じて方法が分かれます。
手形が不渡りになった場合の買戻し義務や割引料などの条件は、金融機関や業者、契約内容によって異なります。利用前に契約条件を確認してください。
売掛債権担保融資(ABL)は売掛債権や在庫を担保に借りる
売掛債権担保融資(ABL)は、売掛債権や在庫などを担保として金融機関から融資を受ける方法です。経済産業省も、ABLを動産や売掛債権を担保に活用する資金調達の仕組みとして案内しています。
| 項目 | ABL | 請求書買取 |
|---|---|---|
| 契約の基本 | 売掛債権や在庫を担保にした融資 | 売掛債権の譲渡・売買 |
| 資金を受け取った後 | 契約に基づいて返済する | 売買として成立する場合、融資のような返済は発生しない |
| 主な費用 | 利息や融資関連費用 | 買取手数料 |
ABLでは返済義務があり、返済が終わると担保権が解除されます。東京都の動産・債権担保融資制度では、売掛債権や在庫を担保とする場合、短期資金として1年以内の借入れが案内されています。制度の条件は変更されることがあるため、利用時は東京都産業労働局の案内で確認してください。
一方、請求書買取は売掛債権の売買として成立する場合、融資とは異なり借入金の返済はありません。ただし、会計処理は契約内容や取引の実態を踏まえて判断する必要があります。また、買戻し義務や売主による支払いが定められているなど、貸付けに近い仕組みの場合は、契約名だけで売買と判断できません。
売掛債権や在庫を担保にして融資を受けたい場合はABL、特定の売掛債権を譲渡して期日前に資金化したい場合は請求書買取が検討対象です。契約内容を確認し、融資か債権譲渡かを見分けてください。
買い取ってもらえる請求書の条件
請求書があれば必ず買い取ってもらえるわけではありません。買取業者は、売掛債権が実際の取引から発生しているか、請求内容を確認できるか、売掛先が取扱対象かなどを審査します。
一般的に買取の対象になりやすい請求書
| 発行状況 | 納品やサービス提供が完了し、取引先へ発行済み |
|---|---|
| 入金状況 | 未入金で、支払期日が到来していない |
| 請求内容 | 取引先、金額、支払期日、取引内容を確認できる |
| 売掛先 | 買取業者が取り扱う法人・事業者など |
| 譲渡制限特約 | 特約の有無を申告し、買取業者に対応可否を確認できる |
※対象や審査基準はサービスごとに異なります。
発行済みで支払期日前の請求書
一般的な請求書買取では、商品の納品やサービスの提供が完了し、取引先へ発行済みの請求書が対象になります。支払期日が到来しておらず、これから入金される予定の売掛債権を期日前に資金化するためです。
請求金額や支払期日が確定していることも確認されます。請求書だけでは条件を特定できない場合は、契約書や発注書などで支払条件を補えるか、買取業者に確認してください。
- 支払期日が記載されていない
-
契約書や発注書で支払条件を確認できるか
- 請求金額が仮のまま
-
金額が確定したことを示す資料があるか
- すでに入金されている
-
売掛債権が消滅しているため、通常は買取対象にならない
- 一部だけ入金されている
-
未入金の残額を買い取れるか、業者に相談する
支払期日までの日数が審査や買取条件にどう影響するかは、買取業者によって異なります。期日が近いほど有利になるとは限らないため、個別に条件を確認してください。
請求内容と実際の取引を資料で確認できる
買取業者は、請求金額だけでなく、その金額に対応する商品やサービスが実際に提供されたかを確認します。
- 請求先と請求元の名称
- 品目や業務内容
- 数量、単価、合計金額
- 支払期日
「業務委託料一式」のように請求内容が簡略な場合は、請求書だけでは取引を確認できず、追加資料を求められることがあります。
- 契約書や発注書
- 納品書や業務完了報告書
- 取引先とのメールやチャット
- 過去に同じ取引先から入金されたことが分かる通帳の写し
請求書と契約書の金額が異なる場合は、追加発注や値引きなど、差額の理由を確認できる資料も用意してください。
売掛先が買取業者の取扱対象である
請求書買取では、売掛先の支払い能力や取引状況が審査の材料になります。法人や事業者あての請求書を中心に扱うサービスが多い一方、売掛先の種類によって対応可否は異なります。
| 売掛先の例 | 確認すること |
|---|---|
| 株式会社・合同会社など | 法人あての債権を扱っているか |
| 官公庁・地方自治体 | 公的機関あての債権を扱っているか |
| 個人事業主 | 屋号で事業を営む個人事業主あての債権も対象か |
| 医療機関・介護事業者 | 診療報酬債権・介護報酬債権の買取に対応しているか |
診療報酬債権や介護報酬債権を取り扱うファクタリングサービスもあります。
当社トップ・マネジメントでも、次の債権の買取に対応しています。
利用者自身が法人か個人事業主かだけでなく、売掛先の属性も審査に関わります。申し込み前に、売掛先がサービスの取扱対象か確認してください。
譲渡制限特約がある場合は対応可否を事前に確認する
取引先との契約に債権の譲渡を禁止・制限する条項(譲渡制限特約)があっても、その特約だけで債権譲渡の効力がなくなるわけではありません。民法第466条第2項では、譲渡制限の意思表示があっても債権譲渡の効力は妨げられないと定めています。
一方、譲受人が特約を知っていた、または重大な過失によって知らなかった場合、売掛先は譲受人への支払いを拒めます。また、元の債権者への支払いなど、債務を消滅させる事由を譲受人に主張できます。
そのため、特約付きの債権に対応できるか、売掛先への通知や承諾が必要かは、買取業者や契約方式によって異なります。特約の存在を伏せず、申し込み前に次の点を確認してください。
- 譲渡制限特約がある債権を買い取れるか
- 売掛先への通知や承諾が必要か
- 利用できる契約方式は何か
- 売掛先からの入金後、誰がどのように買取業者へ送金するか
買取が難しい請求書
一般的な請求書買取では、個人消費者あての請求書、支払期日を過ぎた請求書、取引の実態を確認できない請求書、納品前などで債権の内容が確定していないものは、買取が難しくなりやすい傾向があります。
主な理由は、売掛債権の実在性や回収可能性を確認できないこと、または譲渡できる債権がまだ発生していないことです。
| 買取が難しくなりやすい請求書 | 主な理由 | 確認・相談先 |
|---|---|---|
| 個人消費者あて | 事業者向けサービスでは対象外の場合がある | 事業上の取引か、個人消費者との取引かを確認 |
| 支払期日超過 | 回収が遅れており、通常の期日前買取とは状況が異なる | 売掛先への支払い確認や未回収債権の対応を検討 |
| 取引実態を証明できない | 債権が実在するか判断できない | 契約書、発注書、納品書、メールなどを確認 |
| 納品前など、債権の内容が未確定 | 契約上の支払条件を満たしていない場合がある | 注文書ファクタリングなどの対象になるか相談 |
対応範囲はサービスによって異なるため、該当する請求書しかない場合も、利用条件を個別に確認してください。
個人消費者あての請求書は事業者向けサービスで対象外の場合がある
一般の個人消費者に発行した請求書は、事業者向けのファクタリングサービスでは対象外としている場合があります。売掛先の属性や支払い能力を確認しにくく、サービスの対象を法人・事業者間の取引に限っていることがあるためです。
美容、習い事、個人向けのリフォームや修理など、顧客が個人消費者である取引では、請求書を発行していても、そのサービスの買取対象にならないことがあります。
一方、相手が個人名義でも、屋号で事業を営む個人事業主との取引であれば、事業上の債権として受け付けるサービスがあります。請求先の名前だけで判断せず、取引が相手の事業に関するものかを確認してください。
顧客の多くが個人消費者である事業では、売上の入金を早める決済代行サービスや、金融機関の融資などが合う場合もあります。利用できる方法は契約や業種によって異なるため、条件を確認しましょう。
支払期日を過ぎた請求書は期日前の買取と分けて考える
支払期日を過ぎても入金されていない請求書は、通常の期日前の請求書買取では対象になりにくくなります。すでに支払いが遅れている債権は、売掛先の事務処理の遅れや資金繰り、請求内容に関する争いなど、未入金の理由を確認する必要があるためです。
数日程度の遅れでも、取り扱いは買取業者によって異なります。期日を過ぎた請求書しかない場合は、申し込み前に業者へ相談してください。
長期間未回収の売掛金は、期日前の資金化ではなく債権回収の問題として対応を考えます。まず売掛先に支払い予定や未入金の理由を確認し、必要に応じて督促や専門家への相談を検討してください。
期日前の別の請求書がある場合は、その請求書が買取対象になるかを確認する方法もあります。
取引実態を確認できない請求書は請求書以外の証拠も用意する
請求書があっても、商品の納品やサービスの提供、売掛先との取引関係を確認できなければ、買取業者が債権の実在性を判断できず、買取が難しくなることがあります。
- 基本契約書や個別契約書
- 発注書・注文書
- 納品書や検収書、業務完了報告書
- 取引先とのメールやチャット
- 過去に同じ取引先から入金されたことが分かる通帳の写し
初めての取引先で入金実績がない場合でも、発注内容や納品の事実を示す資料があれば審査の参考になります。ただし、必要書類や審査結果は業者によって異なります。
取引内容の記録が残っていない場合は、取引先に発注内容をメールで確認する、納品時に受領記録を残すなど、実際の取引を確認できる資料を用意してください。実在しない取引や架空の請求書を使った申し込みは、詐欺などの刑事責任を問われる可能性があります。
当社では、反社会的勢力およびファクタリング詐害行為者を排除する取り組みの一環として、取引の実態確認を行っています。
納品前など債権の内容が確定していないものは注文書段階のサービスを確認する
納品やサービスの提供が完了していない場合、契約上の支払条件を満たしておらず、通常の請求書買取では対象にできないことがあります。見積書や発注書を受け取っただけで、すぐに売掛債権が発生するとは限りません。
売掛債権がいつ発生するかは、契約条件や取引内容によって異なります。一般には、納品や役務の提供など、契約で定めた条件を満たした後に支払いを請求できる状態になります。請求書を発行したことだけで、債権の発生が決まるわけではありません。
受注から納品までに材料費や外注費が先に発生し、納品前に資金が必要な場合は、注文書や受注書などをもとに審査するサービスが利用できることがあります。必要書類や対象となる段階はサービスごとに異なります。
当社では、見積書・受注書・発注書の段階から相談できるファクタリングサービスを提供しています。
請求書を発行できる段階なら通常の請求書買取、納品前の資金が必要なら注文書などを扱うサービスが利用できるか、取引の段階に合わせて確認してください。
請求書1枚から利用できるオンライン型の特徴
請求書買取サービスの中には、少額・単発の利用や、個人事業主からの申し込みに対応するオンライン型があります。
| 確認する条件 | 申し込み前に見るポイント |
|---|---|
| 買取金額 | 最低額・上限額が請求書の金額に合うか |
| 利用回数 | 単発で利用できるか、継続利用が前提か |
| 必要書類 | 請求書のほかに本人確認書類や入出金履歴が必要か |
| 申込者・売掛先 | 個人事業主やフリーランス、売掛先が対象に含まれるか |
ただし、最低利用額や必要書類、申込者の条件はサービスごとに異なり、請求書が1枚あれば必ず利用できるわけではありません。
少額・単発で使えるかは最低買取額と手数料で確認する
請求書1枚や数万円からの申し込みを受け付けるサービスもあります。一方、最低利用額を数十万円以上に設定している会社もあるため、まず請求書の金額が条件に合うかを確認してください。
上限額や利用回数の条件もサービスごとに異なります。継続契約を結ばず、必要なときだけ単発で申し込めるサービスなら、資金化したい請求書を選んで利用できます。
少額の請求書を申し込む場合は、手数料を差し引いた後の受取額が必要な金額に足りるかを確認しましょう。複数の請求書をまとめて申し込めるか、請求書ごとに申し込む場合と条件が異なるかも、見積もり時に確認できます。
必要書類は少なくても、追加提出を求められる場合がある
オンライン型では、請求書や本人確認書類、通帳の入出金履歴などを画像やデータで提出して申し込むサービスがあります。ただし、必要書類が少ないとは限らず、サービスごとに提出物が異なります。
- 契約書や発注書
- 納品書や検収書
- 取引先とのメールなど、取引内容が分かる記録
- 決算書や確定申告書
- 登記簿謄本や印鑑証明書
初めての取引先で入金履歴がない場合や、請求書の記載が簡略な場合は、取引の実態を確認するための資料が必要になることがあります。書類の提出後にオンライン面談を行うサービスもあるため、手続き方法も公式サイトで確認してください。
必要書類が少ないことだけで、審査の難易度や利用の可否は判断できません。申し込み前に書類一覧を確認し、追加提出が必要になる場合も想定しておきましょう。
個人事業主・フリーランスも対象か確認する
法人に限らず、個人事業主やフリーランスからの申し込みを受け付ける請求書買取サービスもあります。ただし、法人限定のサービスもあるため、申込者の条件を事前に確認してください。
審査では、売掛先の支払い能力だけでなく、売掛債権の実在性や申込者の事業状況も確認されます。個人事業主の場合は、本人確認書類のほか、事業の実態や取引内容を示す書類の提出を求められることがあります。
- 利用対象に個人事業主・フリーランスが含まれているか
- 請求書の金額が最低買取額を満たしているか
- 売掛先が法人に限られていないか
- 本人確認書類や事業資料として何が必要か
当社では、個人事業主・フリーランス・新設法人の方からの相談に対応しています。
「請求書買取」をうたう業者を利用するときの注意点
「請求書買取」と案内されていても、契約の内容や実際の資金の流れが、売掛債権の売買とは異なる場合があります。申し込み前に、契約条件と手数料を差し引いた後の受取額を確認してください。
通常のファクタリングは売掛債権の売買であり、貸金業の登録は必要ありません。一方、契約上は債権譲渡でも、経済的な実態が貸付けと同じ場合は、貸金業に該当するおそれがあります。
| 確認する点 | 確認内容 |
|---|---|
| 売掛金が未回収になった場合 | 利用者に買戻しや弁済を求める契約になっていないか |
| 実際の受取額 | 手数料や諸費用を差し引いた後、いくら振り込まれるか |
| 買取の対象 | 事業上の売掛債権か。給与・賃金の買取りではないか |
売掛先が支払えないとき利用者に負担を求められないか
売掛先から代金を回収できなかった場合に、利用者へ債権の買戻しや買取代金の支払いを求める条項がないか、契約書を確認してください。
債権の売買として行うファクタリングでは、売掛先の支払不能リスクを誰が負うのかが重要です。売主が売掛先の不払いを理由に買戻しや支払いを求められない契約は、一般にノンリコースと呼ばれます。
ただし、ノンリコースと書かれているか、買戻し条項があるかだけで取引の性質が決まるわけではありません。金融庁は、契約書の形式だけでなく、経済的な側面や取引の実態も踏まえて判断すると説明しています。
- 売掛先が支払えない場合、利用者に買戻しや支払いを求める条項があるか
- 売掛債権の回収を誰が行うか
- 利用者が負担する責任や保証の範囲はどこまでか
契約内容の説明が不十分な場合は、担当者に書面での説明を求め、内容を確認してから判断してください。
手数料と諸費用を差し引いた後の受取額はいくらか
手数料率だけでなく、請求書の額面から各費用を差し引いた後、実際にいくら振り込まれるかを確認してください。
| 確認する費用 | 見積もりで確認すること |
|---|---|
| 買取手数料 | 料率と、実際に差し引かれる金額 |
| 事務・審査などの費用 | 手数料とは別に発生する費用の有無 |
| 登記・振込などの費用 | 債権譲渡登記や振込にかかる費用の有無 |
| 最終的な受取額 | すべての費用を差し引いた振込予定額 |
見積もりでは、費用の内訳と振込予定額を提示してもらいましょう。金融庁は、買取代金が債権額に比べて著しく低額なケースについて、偽装ファクタリングの疑いがあるとして注意を促しています。
費用の説明が曖昧なまま契約を急かす、契約時に説明されていない費用を後から請求するなどの対応があれば、契約内容を慎重に確認してください。複数社から見積もりを取る場合も、契約先を決める前に受取額と条件を比較しましょう。
給与や賃金の買取りを持ちかけられていないか
会社員が受け取る給与や賃金を買い取ると案内する取引は、事業上の売掛債権を対象にする請求書買取とは別のものです。
金融庁は、賃金債権を買い取り、労働者を通じて資金を回収する「給与ファクタリング」について、貸金業に該当すると説明しています。最高裁も2023年2月20日の決定で、具体的な事案の取引を貸金業法と出資法にいう「貸付け」にあたると判断しました。
無登録で貸金業を行う業者による高額な負担や、勤務先への連絡を伴う取り立てが問題になるおそれがあります。給与明細や雇用契約書を使った現金化を持ちかけられた場合や、勤務先に請求書を作るよう指示された場合は、取引を進めず相談してください。
個人事業主やフリーランスとして発行した事業上の請求書と、会社員として受け取る給与は別のものです。業者から給与明細や雇用契約書を求められた場合は、請求書買取ではなく給与を対象とする取引ではないか確認しましょう。
請求書買取サービスについてよくある質問
請求書買取サービスについて、申し込みの直前に判断に迷いやすい実務的な疑問を5つに絞って回答します。
- 請求書だけで申し込めるか
- 発行直後でも使えるか
- 個人事業主でも対象か
- 期日を過ぎた請求書はどうなるか
- ファクタリングと何が違うか
利用可否はサービスごとに条件が異なるため、回答は一般的な取扱いを示したもので、実際の申し込み先の条件とあわせて確認が必要です。
手数料や2社間・3社間の違いなど、ここで扱わないテーマは、各専門ページで確認できます。
まとめ
請求書買取サービスは、請求書に基づく売掛債権を支払期日前に買取業者へ譲渡して資金化する方法で、一般にファクタリングと呼ばれる取引と同じものです。
すべての請求書が対象になるわけではなく、発行済みで期日前、取引内容と金額を確認でき、あて先が事業者である請求書が中心で、個人消費者あてや期日超過、納品前のものは取扱いが難しくなります。
請求書カード払いや手形割引、売掛債権担保融資は、名称が似ていても資金の流れや法的な性質が異なります。利用する際は、対象になる請求書の条件と、買戻し条項の有無や手取り額といった契約内容を確認したうえで、自社の目的に合うサービスを選んでください。





