売掛金を早く現金にしたいものの、ファクタリング手数料が何%なら妥当なのか分からず、見積もりを前に手が止まっている経営者や個人事業主の方も多いでしょう。
ファクタリング手数料の相場は、2社間ファクタリングで8〜18%前後、3社間ファクタリングで2〜9%前後が目安です。
実際の料率は、売掛先の信用力や支払期日までの日数などをもとに、会社ごとの審査で決まります。
この記事では、契約方式ごとの相場、手数料の内訳と計算例、手数料を抑える8つの方法をまとめました。
提示された見積もりが相場の範囲内かどうかを、自分で見極められます。
ファクタリング手数料の相場は2社間と3社間で異なる
ファクタリング手数料の相場は、売掛先が契約に加わらない2社間ファクタリングで高く、売掛先が加わる3社間ファクタリングで低い水準です。
差が生まれる理由は、ファクタリング会社が売掛金を回収できなくなる可能性の大きさです。
2社間では売掛先に請求書の中身を確かめられず、代金もいったん利用者を経由するため、ファクタリング会社が見込む損失の幅が大きくなります。
また、各社が公表する料率は「〇%〜」「〇〜〇%」のように幅のある表記が多く、実際の数字は売掛先の信用力や支払期日までの日数を審査して決まります。
自社の請求書にどの料率が付くのか見当がつかず、見積もりを比べる段階で迷う方も少なくありません。
2社間ファクタリングで提示されやすい料率の目安
2社間ファクタリングの料率は、8〜18%前後が目安です。
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2者だけで契約し、売掛先には債権を売ったことを知らせません。
売掛先は支払期日に利用者の口座へ代金を振り込み、利用者がその代金をファクタリング会社へ送る流れです。
ファクタリング会社は、請求書が実在するかを売掛先に確かめられません。
架空の請求書や、同じ請求書を複数社へ売る二重譲渡、入金後に送金されない事態まで見込む分が、料率に上乗せされる仕組みです。
情報源によって下限と上限に差があるため、1つの数字だけで相場を決めつけず、複数社の見積もりと並べて位置を確かめましょう。
3社間ファクタリングで提示されやすい料率の目安
3社間ファクタリングの料率は、2〜9%前後が目安です。
3社間ファクタリングでは、利用者とファクタリング会社に加えて、売掛先も契約に加わります。
売掛先は債権がファクタリング会社へ移ることを承諾し、支払期日には代金をファクタリング会社の口座へ直接振り込みます。
請求書の実在を売掛先に確かめられ、代金も利用者を経由しないため、2社間より低い料率で見積もりが出る傾向です。
一方で、売掛先が承諾しなければ契約できず、売掛先には支払先口座を切り替える手間もかかります。初めて依頼する売掛先は詳しい説明を求めることが多く、即日の資金化は難しいというのが同社の説明です。
料率の低さを取るか、入金までの早さと取引先に知らせない点を取るかを、支払日までの余裕と売掛先との関係から決めましょう。
相場より低い料率の広告で見落としやすい条件
広告に載る最低料率は、審査で条件がよいと判断された取引に付く下限の数字です。
たとえば、料率を1〜9.5%と示している2社間ファクタリングのサービスでは、売掛先の信用情報に加えて、利用者の利用状況や財務状況をもとに料率を決めるとなります。
同じサービスでは申し込める請求書を10万円以上としており、対面での契約を希望する場合は、出張費の実費と事務手数料3万円が別途必要です。
最低手数料を定めている会社では、請求書の額面が小さいほど実質の料率が上がります。
最低手数料が1万円の場合、10万円の請求書なら10%、5万円の請求書なら20%に相当します。
広告の数字を見たら、次の3点を確かめましょう。
- 上限料率が公表されているか
- 事務手数料や出張費など、料率以外の費用がかかるか
- 申し込める請求書の金額や支払期日に条件があるか
比べる数字は料率ではなく、額面から全費用を引いて口座に振り込まれる金額です。
ファクタリング手数料の計算方法と受取額の求め方
ファクタリング手数料は売掛金額に料率を掛けて求め、受取額は売掛金額からその手数料と諸経費を差し引いた金額です。
料率は、売却する売掛金1件に対して1回だけかかる割合で、ローンの金利のように「年○%」で日数に応じて増えるものではありません。
料率10%で契約すれば、支払期日まで30日でも60日でも、差し引かれる基本手数料は売掛金の1割です。
見積書に料率だけが書かれていると、実際にいくら振り込まれるのか分からず、資金繰りの計画を立てにくいと感じる方も多いでしょう。
計算の手順を知っておけば、見積もりが届いた時点で受取額を自分で確かめられます。
売掛金から差し引かれる金額を出す計算式
売掛金から差し引かれる金額と受取額は、次の2つの式で求められます。
- 基本手数料=売掛金額×料率
- 受取額=売掛金額-基本手数料-諸経費
料率を掛けるときは、%の数字を100で割って小数に直します。10%なら0.1、7.5%なら0.075、12%なら0.12です。
たとえば売掛金300万円を料率7.5%で売ると、基本手数料は300万円×0.075で22万5,000円になります。諸経費がなければ、受取額は300万円から22万5,000円を引いた277万5,000円です。
ファクタリング会社の解説でも、料率は年率ではなく、売却する売掛金に対して1回だけかかる割合と説明されています。
諸経費には、事務手数料や債権譲渡登記の費用などが入ります。見積もりを依頼するときは、料率と諸経費の合計を分けて書いてもらうと、2つの式にそのまま当てはめられます。
売掛金100万円を売却した場合の計算例
売掛金100万円を売る場合、料率が1ポイント上がるごとに受取額は1万円ずつ減ります。
| 料率 | 基本手数料 | 受取額 |
|---|---|---|
| 3% | 3万円 | 97万円 |
| 5% | 5万円 | 95万円 |
| 8% | 8万円 | 92万円 |
| 10% | 10万円 | 90万円 |
| 15% | 15万円 | 85万円 |
| 18% | 18万円 | 82万円 |
売掛金額が同じなので、受取額の差は料率の差だけで決まります。同じ請求書でも、見積もりの料率が8%と18%では、手元に残る金額に10万円の開きが出ます。
表の数字は、諸経費を0円として基本手数料だけで計算した金額です。複数社から見積もりを取ったら、まず料率をこの表に当てはめ、どの会社の条件で受取額がいくらになるかを並べてみましょう。
料率5%で契約したときの受取額
料率5%で契約すると、売掛金100万円の受取額は95万円です。
- 基本手数料:100万円×0.05=5万円
- 受取額:100万円-5万円=95万円
95万円は、諸経費がかからない場合の金額です。事務手数料や振込手数料、登記費用が別にかかる契約では、95万円からさらに差し引かれます。
料率の表示方法も会社ごとに異なります。諸経費をすべて料率に含めると明記しているサービスもあれば、料率とは別に費用を請求する会社もあります。
同じ5%でも振込額が同じとは限らないため、見積書の振込予定額の欄で、最終的に口座に入る金額を確かめましょう。
料率10%で契約したときの受取額
料率10%で契約すると、売掛金100万円の受取額は90万円です。
- 基本手数料:100万円×0.1=10万円
- 受取額:100万円-10万円=90万円
料率5%の例と比べると、料率は5ポイント高く、受取額は5万円少なくなります。基本手数料は5万円から10万円へと2倍です。
料率の差による受取額の差は、売掛金の額面に比例して大きくなります。売掛金500万円なら5%と10%の差は25万円、1,000万円なら50万円に広がる計算です。
額面が大きい請求書を売るときほど、見積もりの料率を小数点以下まで比べ、数ポイントの差が受取額をいくら変えるかを先に計算しておきましょう。
登記費用などの諸経費が加わる場合の計算例
諸経費がかかる場合は、基本手数料と諸経費をすべて足してから、売掛金額から差し引きます。
受取額=売掛金額-基本手数料-諸経費の合計
法令で金額が決まっている費用もあります。債権譲渡登記の登録免許税は、債権の個数が5,000個以下なら1件7,500円です。
紙の債権譲渡契約書は、記載された契約金額が1万円以上なら印紙税が200円かかります。
司法書士に登記を頼む報酬は5万〜10万円程度、事務手数料は数千円から数万円程度が目安で、電子契約なら印紙代はかかりません。
売掛金100万円、料率10%、紙の契約書で登記ありと仮定した場合の計算は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 基本手数料 | 100,000円 |
| 登録免許税 | 7,500円 |
| 司法書士報酬(仮定) | 50,000円 |
| 事務手数料(仮定) | 10,000円 |
| 印紙税 | 200円 |
| 受取額 | 832,300円 |
司法書士報酬と事務手数料は仮の金額です。登記の有無や費用を誰が負担するかは契約によって異なるため、契約前に見積書で費用の内訳と振込予定額を確かめましょう。
ファクタリング手数料の内訳と別途かかる費用
ファクタリング手数料として実際に差し引かれる金額は、基本の料率に加えて、登記費用、印紙税、事務手数料、振込手数料などの諸経費で決まります。
諸経費のうち登録免許税や印紙税は法令で金額が決まっていますが、事務手数料や出張費は業者ごとに名目も金額も異なります。
料率に諸経費を含めて示す業者もあれば、料率とは別に請求する業者もあり、見積書の書き方も業者ごとにばらばらです。
料率の低さに目が向き、別枠の費用を見落としたまま契約してしまう方も少なくありません。費用の名目ごとに、誰が負担し、いくらかかるのかを見積書で確かめましょう。
売掛債権の買い取りにかかる基本の料率
基本の料率は売掛金の額面に対する割合で示され、買い取り代金を支払う時点で額面から差し引かれます。
業者が受け取る基本手数料は、売掛金を買い取ってから期日に回収するまで、回収できない可能性を引き受ける対価です。
料率は「〇%」や「〇〜〇%」の形で提示され、同じ業者でも売掛先の信用情報や利用者の状況によって数字が変わります。たとえば料率を1〜9.5%と示し、料率以外の費用はかからないとするサービスもあります。
料率に何を含めるかは業者によって異なり、諸経費をすべて料率に含めると明記している業者もあります。
見積書を受け取ったら、次の3点を確かめましょう。
- 料率に登記費用や振込手数料が含まれているか
- 料率とは別に請求される費用の名目と金額
- すべて差し引いた後の振込予定額
債権譲渡登記を行う場合の登録免許税と司法書士報酬
債権譲渡登記を行う契約では、登録免許税に加えて、手続きを司法書士に頼む場合はその報酬がかかります。
債権譲渡登記は、売掛金を譲渡した事実を法務局に登録し、同じ売掛金が二重に売られた場合でも権利を主張できるようにする手続きです。登録免許税は、債権の個数が5,000個以下なら1件7,500円、5,000個を超える場合は1件15,000円です。
司法書士報酬は5万〜10万円程度が目安で、登記を必須とする業者では手数料とは別にこの金額がかかります。
債権譲渡登記を利用できるのは法人だけです。売掛先の承諾を得る3社間ファクタリングでは、登記が不要なケースが多くなります。
登記を求められたら、登記費用を利用者と業者のどちらが負担するのか、料率に含まれているのかを契約前に書面で確かめましょう。
契約書の内容と作成方法によって発生する印紙税
紙の債権譲渡契約書を作成すると、記載された契約金額が1万円以上なら200円の印紙税がかかります。契約金額が1万円未満なら非課税で、金額の記載がない契約書は200円です。
印紙税がかかるかどうかは、契約書の表題ではなく記載内容で判断します。表題が「覚書」や「合意書」でも、債権を譲渡する内容が書かれていれば課税の対象になる可能性があります。
電子契約で締結する場合は、紙の契約書と扱いが異なります。
国税庁は、電子署名を付けて電子メールで送った電磁的記録について、印紙税法上の文書に含まれないため課税されないと回答しています。
この回答は照会された事実関係を前提にした一般的な内容で、個別の取引では課税関係が異なる可能性もあります。
契約方法が紙か電子かを確かめ、判断に迷う場合は国税庁の情報や税務署で確認しましょう。
審査料や事務手数料を別に求める業者もある
基本の料率とは別に、審査や契約事務の費用を請求する業者もあります。
事務手数料は数千円から数万円程度が目安で、基本手数料と違って消費税がかかります。一方、保証金や手付金はファクタリング取引では発生しない費用で、この名目で請求する業者には注意が必要です。
事務手数料や審査料を求められたら、次の点を契約前に確かめましょう。
- 申し込み時点で支払うのか、買い取り代金から差し引くのか
- 審査に通らなかった場合や契約しなかった場合に返金されるか
名目が違っても、手元から出ていく金額で比べると判断を誤りません。
売掛金100万円で「料率8%+事務手数料3万円」と「料率9%・諸経費込み」を比べると、差し引かれる額は前者が11万円、後者が9万円です。料率だけで選ぶと、支払う総額が大きい業者を選んでしまいます。
振込手数料や出張対応にかかる諸経費
振込手数料や出張費は金額が小さくても、差引後の受取額を確実に減らします。
振込手数料を利用者の負担とするサービスでは、たとえば料率10%に加えて振込手数料330円を差し引き、10万円の申請で受取額が89,670円になります。
同じサービスの比較先では、対面での契約を希望すると出張費の実費と事務手数料がかかると案内されています。
出張費は、実費精算か定額請求かで負担額が変わります。
実費精算なら移動距離や交通手段によって金額が上下し、定額請求なら距離にかかわらず同じ金額です。
遠方の業者に対面契約を頼むと、実費精算では想定より高くなる可能性があります。
少額の請求書ほど、数百円の振込手数料が受取額に占める割合は大きくなります。見積書では振込予定額を1円単位で確かめ、支払いに必要な金額に足りるかを計算してから契約しましょう。
ファクタリング手数料が決まる主な要因
ファクタリング手数料の料率は、業者が買い取った売掛金を回収できなくなる可能性をどれだけ見込むかで決まります。
業者は売掛金を買い取った時点で代金を支払い、支払期日に回収して初めて手数料分の利益を得ます。
そのため審査では、契約方式、売掛先の支払い能力、債権の金額、支払期日までの日数、過去の利用状況、債権譲渡登記の有無を組み合わせ、回収できなかった場合の損失を見積もります。
同じ請求書でも業者ごとに料率が異なり、その理由が分からず戸惑う方も多いでしょう。
料率を決める材料を知っておけば、見積もりの数字がなぜその水準なのかを業者に質問できます。
契約方式によって業者が負う未回収リスクが変わる
契約方式は、売掛先の代金が業者に直接入るかどうかによって、業者が見込む未回収の幅を変えます。
3社間ファクタリングでは、売掛先が債権の譲渡を承諾し、支払期日に代金を業者へ直接支払います。
業者は売掛金が実在するかを売掛先に確かめられるため、架空の請求書や二重譲渡を見込む必要がなく、料率が低めに設定されます。
2社間ファクタリングでは、代金はいったん利用者の口座に入り、利用者が業者へ送金します。
業者は売掛先からの入金に加え、利用者からの送金まで見込むため、料率が上がります。
その代わり、利用規定で定める一部の場合を除いて、債権譲渡登記も売掛先への連絡も行わない方式もあります。
契約方式を選ぶときは、料率の差だけでなく、取引先に利用を知らせてよいか、入金をどれだけ急ぐかも合わせて決めましょう。
売掛先の支払い能力が審査結果を左右する
料率の審査では、利用者自身よりも、売掛先が支払期日に代金を払えるかが重く見られます。
業者が回収する代金の支払い元は売掛先です。利用者が赤字でも、売掛先の経営が安定していれば回収の見込みは立ちます。
反対に、利用者の業績がよくても、売掛先の支払いが遅れがちなら料率は上がる方向に動くでしょう。
審査では、売掛先の業績や会社の規模、利用者との取引期間、これまで期日どおりに支払ってきたかが材料になり得ます。
ただし、料率が売掛先の評価だけで決まるわけではありません。売掛先の信用情報に加えて、利用者の利用状況や財務状況をもとに手数料を決めると説明しているサービスもあります。
見積もりの料率が想定より高い場合は、売掛先と利用者のどちらの評価が影響したのかを業者に確かめましょう。
売却する債権の金額によって料率が変わる
売却する債権の金額が大きいほど、料率は下がる傾向があります。
審査や契約の事務にかかる手間は、債権額が100万円でも1,000万円でも大きくは変わりません。
額面が大きい取引なら、業者は低い料率でも手数料の総額を確保できるため、料率を下げやすくなります。
料率が下がっても、支払う手数料の実額は増える可能性があります。
仮に300万円の債権を料率10%で売ると手数料は30万円ですが、1,000万円の債権を料率7%で売ると70万円です。料率は3ポイント下がっても、差し引かれる金額は40万円多くなります。
必要な資金より大きな債権を売ると、使わない資金のために手数料を払うことになります。料率と手数料の実額を両方計算し、必要額に見合う債権を選びましょう。
支払期日までの日数が長いほど割高になりやすい
支払期日までの日数が長い売掛金ほど、料率は高くなる傾向があります。
業者が代金を回収するまでの期間が長いほど、その間に売掛先が倒産したり業績が悪化したりする可能性は大きくなります。
反対に、支払期日が近い売掛金は早く回収できるため、手数料が低くなることがあります。
同じ売掛先の請求書でも、翌月末に支払われるものと3か月後に支払われるものでは、提示される条件が変わる可能性があります。
業者によっては、買い取る請求書を支払期日まで一定の日数以内のものに限っています。
ただし、料率は売掛先の支払い能力や債権額などとあわせて決まるため、期日が長ければ必ず高くなるとは限りません。複数の請求書を売れる場合は、支払期日ごとに見積もりの料率を比べてみましょう。
過去の利用履歴が契約条件に反映される
過去の利用で入金や送金に問題がなかった実績は、業者にとって信頼材料になります。
2社間ファクタリングでは、利用者が売掛金を受け取ってから業者へ送金します。過去に期日どおり送金してきた記録があれば、業者は架空の請求書や送金の遅れを見込む必要が小さくなります。
継続して利用すると、必要書類や利用できる金額が変わるサービスもあります。
たとえば、2回目以降は請求書のみで申し込める一方、利用可能額は実績に応じて見直されるものの、増額が約束されるわけではないと案内しているサービスがあります。
利用回数を重ねても、料率が下がる保証はありません。2回目以降の見積もりでは、初回の送金実績を伝えたうえで、料率や必要書類の条件を見直せるか相談しましょう。
債権譲渡登記の有無が提示条件に影響する
債権譲渡登記を行うかどうかで、提示される料率や審査条件が変わる可能性があります。
債権譲渡登記をすると、売掛先以外の第三者に対して、債権を譲り受けたことを主張できます。
同じ売掛金が別の業者にも売られた場合に、業者が自分の権利を守れる仕組みです。ただし、登記は債権の存在や譲渡の有効性を証明するものではなく、登記できる譲渡人は法人に限られます。
二重譲渡の可能性が下がる分、登記を行うと手数料を下げる業者もあります。
料率が下がっても、登録免許税や司法書士報酬がかかります。売掛金100万円で料率が0.5ポイント下がっても差は5,000円で、登録免許税の7,500円にも届きません。
登記を条件にした見積もりは、登記費用を足した総額で比べましょう。
ファクタリング手数料を抑える8つの方法
ファクタリング手数料は、申込先の選び方と、どの売掛金をどの条件で売るかによって下げられる余地があります。
料率は業者が見込む未回収の可能性で決まるため、回収の見込みを高める材料を示すほど、低い料率が提示される可能性は上がります。
ただし、売掛先の承諾が得られない、急いで入金が必要といった自社の事情によっては使えない方法もあり、どの方法でも必ず安くなるわけではありません。
手数料を少しでも減らしたいものの、何から手を付ければよいか迷う方も多いでしょう。自社で実行できる方法を選び、申し込む前に取り組みましょう。
複数の業者から見積もりを取って比べる
同じ売掛金でも、業者によって提示される料率や諸経費は異なるため、複数社から見積もりを取りましょう。
業者ごとに審査の基準や、未回収をどこまで見込むかが違います。そのため同じ請求書を出しても、料率や別途費用に差が出ます。
比べるときは、次の条件をそろえて見積もりを依頼します。
- 契約方式(2社間か3社間か)
- 売却する請求書と申込金額
- 入金を希望する日
- 料率に含まれる費用と別途かかる費用
比べる数字は、料率ではなく差引後の振込予定額です。
見積もりの比較と売却は別の行為で、同じ請求書を複数社へ売ることはできません。申込画面での同意が契約の承諾を兼ねるサービスもあるため、どの時点で契約が成立するのかを見積もり段階で確かめましょう。
取引先の了承を得て3社間契約を検討する
取引先の了承を得られるなら、3社間契約に切り替えると料率が下がる可能性があります。
3社間契約では売掛先が代金を業者へ直接支払うため、業者は売掛金の実在を売掛先に確かめられ、利用者からの送金の遅れも見込まずに済みます。
ただし契約には売掛先への通知と承諾が必要で、売掛先には支払先の口座を変える手間も生じます。初めて依頼する売掛先は詳しい説明を求めることが多く、即日の資金化は難しいとされています。
利用できるかどうかは、次の2点で判断しましょう。
- 取引先がファクタリングの利用を知っても、今後の取引に影響しないか
- 支払期限まで、売掛先の承諾を待つ日数があるか
どちらかに不安がある場合は、2社間契約の見積もりと並べ、料率の差と入金までの日数を比べてから決めましょう。
信用度の高い取引先の請求書を審査に出す
複数の請求書を持っている場合は、支払い能力の高い売掛先宛ての請求書を審査に出しましょう。
業者が代金を回収する相手は売掛先です。経営の安定した売掛先の請求書ほど、未回収の見込みが低く評価されます。業者は信用調査会社の情報、会社の規模や業種、これまでの取引履歴などから売掛先の信用力を判断しています。
候補の請求書を売掛先ごとに並べ、次の点を確かめて選びます。
- 大手企業や官公庁など、経営状況を確かめやすい相手か
- 過去の請求で支払期日どおりに入金されているか
- 一度きりではなく、継続して取引しているか
規模が大きい会社でも、支払いが遅れた記録がある売掛先は評価が下がる可能性があります。自社の通帳で過去の入金日を確かめてから、審査に出す請求書を決めましょう。
継続取引を示す入金履歴や契約書を用意する
売掛金が実在し、継続して入金されていることを書類で示すと、審査での確認がスムーズに進み、条件を相談する材料にもなります。
用意しておきたい書類と、それぞれが示す内容は次のとおりです。
- 通帳や入出金明細:売掛先からの過去の入金
- 請求書:今回売る売掛金の金額と支払期日
- 基本契約書や発注書:売掛先との取引が継続していること
2社間契約では、業者は売掛先に直接確認できないため、書類から取引の実態を判断します。必要書類はサービスによって異なり、保有するすべての口座の直近4カ月分の入出金明細や、前年度の決算書を求める例もあります。
書類が不足していると、追加提出の依頼が入り、入金が遅れる原因になります。請求書に書かれた取引先名と、通帳の入金名義が一致しているかも申し込む前に確かめましょう。
額面の大きい売掛金を選んで申し込む
額面の大きい売掛金を選ぶと料率が下がる場合がありますが、必要以上に売ると手数料の実額は増えます。
審査や契約にかかる手間は債権額に比例しないため、大口の債権では料率を下げる業者があります。反対に、1件あたりの最低手数料を設ける業者では、少額の請求書ほど実質の料率が上がります。
たとえば、200万円の資金が必要な場合を考えます。
| 売却する請求書 | 料率(仮定) | 手数料 | 受取額 |
| 220万円 | 9% | 19万8,000円 | 200万2,000円 |
| 500万円 | 7% | 35万円 | 465万円 |
500万円の請求書は料率が低くても、使わない265万円のために手数料を多く払う計算です。必要な資金額から逆算して売却額を決め、料率と手数料の実額を両方比べましょう。請求書の一部だけを買い取ってもらえるかも、あわせて業者に確かめます。
支払期日が近い請求書を優先して売却する
複数の請求書から選べる場合は、支払期日が近いものを優先すると料率が下がる可能性があります。
回収までの期間が短いほど、売掛先の経営が悪化する前に代金を回収できるため、業者が見込む未回収の幅は小さくなります。
買取額シミュレーションでも、支払いサイト(1か月以内・3か月以内・6か月以内)と、取引先が上場か未上場かを入力項目にしています。
選び方は次の手順で進めます。
- 手元の請求書を支払期日の近い順に並べる
- 必要な資金額に届くまで、期日の近いものから選ぶ
- 選んだ請求書で見積もりを依頼する
期日が近くても、売掛先の信用力が低ければ料率は下がらない可能性があります。支払期日と売掛先の評価の両方を踏まえて、見積もりの結果を比べましょう。
来店不要のオンライン完結型サービスを選ぶ
来店不要のオンライン完結型サービスを選ぶと、交通費や出張費を抑えられる場合があります。
対面で契約すると、利用者が業者の事務所へ出向く交通費や、業者に来てもらう出張費がかかります。
通常はオンラインで手続きを完結させ、対面を希望する場合は出張費の実費と事務手数料3万円を別途負担とするサービスもあります。
申し込む前に、手続きの方法と対応時間を確かめましょう。
- 書類の提出方法(アップロードか郵送か)
- 契約の締結方法(電子契約か紙の契約書か)
- 審査と振込の受付時間、土日祝日の対応
- 電話での聞き取りがあるか
ただし、オンライン型という理由だけで料率が低いとは限りません。料率は売掛先や債権の条件をもとに審査で決まるため、対面型のサービスとも同じ条件で見積もりを比べましょう。
同じ業者での利用実績をもとに条件を相談する
同じ業者を継続して利用し、期日どおりに送金してきた実績は、条件を相談する材料になります。
業者は過去の取引で送金の遅れや架空の請求書がなかったことを確認できるため、未回収の見込みを低く評価できます。
実際に、2回目以降は請求書のみで申し込め、利用可能額も実績に応じて見直すと案内しているサービスがあります。ただし、そのサービスでも増額は約束されていません。
2回目以降に申し込むときは、初回の送金実績を伝えたうえで、料率、必要書類、買取可能額を見直せるか相談しましょう。
継続利用しても、条件が改善される保証はありません。
他社のほうが低い料率を提示する可能性もあるため、半年に一度など期間を決めて、他社の見積もりとも比べましょう。
ファクタリング手数料を比較するときのポイント
ファクタリング手数料を比べるときは、広告の最低料率ではなく、上限料率、諸経費、入金までの日数、キャンセル条件を並べて、契約先ごとの実際の負担額で判断します。
広告に載る「〇%〜」の数字は、審査で好条件がそろった取引に付く下限です。
実際の見積もりでは料率が上がったり、料率とは別に登記費用や事務手数料が加わったりするため、広告の数字どおりの金額が振り込まれるとは限りません。
入金が早い契約ほど選べる業者が限られ、途中で取りやめたときの費用も業者ごとに異なります。
見積もりを何社か集めたものの、どの数字を比べればよいか分からず迷う方も多いでしょう。比べる項目を先に決めておけば、条件の違う見積もりでも同じ基準で並べられます。
最低料率だけでなく上限の料率も見ておく
業者を比べるときは、最低料率と同時に、上限の料率が公表されているかを確かめましょう。
最低料率は、売掛先の信用力や支払期日までの日数などの条件がそろった取引にだけ適用される数字です。
上限が示されていれば、審査の結果が悪くても負担がどこまで増えるかを事前に見積もれます。
たとえば請求書の買い取りで1%〜10%、注文書の買い取りで2%〜12%と範囲を示し、実際の料率は審査の上で提示するとしている業者があります。
一方で、料率を「〇%〜」とだけ表示し、上限を示していない業者も少なくありません。
上限が非公開の業者は、実際に見積もりを取り、自社の請求書にどの料率が付くかを確かめるしかありません。
審査前の表示を見た段階では候補を絞るだけにとどめ、最終的な負担額は見積書の数字で判断しましょう。
基本料率と諸経費を合わせた総額で比べる
料率が低い業者でも、登記費用や事務手数料が加わると総額が逆転することがあるため、見積もりは諸経費を含めた総額で比べましょう。
債権譲渡登記を行う場合、登録免許税は債権の個数が5,000個以下なら1件7,500円です。
登記を司法書士に頼むと、さらに5万〜10万円程度の報酬がかかります。
売掛金200万円で、2つの見積もりを比べた例です(金額は仮定です)。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 料率 | 5% | 8%(諸経費込み) |
| 基本手数料 | 100,000円 | 160,000円 |
| 登録免許税 | 7,500円 | 0円 |
| 司法書士報酬 | 50,000円 | 0円 |
| 事務手数料 | 30,000円 | 0円 |
| 差し引かれる総額 | 187,500円 | 160,000円 |
料率はA社のほうが3ポイント低いものの、手元に残る金額はB社のほうが27,500円多くなります。各社の見積もりを同じ項目に分けて表にし、「初回割引〇%」といった値引きの大きさではなく、最終的な受取額で選びましょう。
見積書と契約書の金額が一致しているか確かめる
契約書に署名する前に、見積書で提示された料率や諸経費が、契約書でも同じ金額になっているかを照合しましょう。
見積もりの段階では示されていなかった費用が契約書に加わっていたり、料率が変わっていたりすると、受取額は見積もりより減ります。照合する項目は金額だけではありません。
- 売却する債権の金額と、対象となる請求書
- 料率、基本手数料、諸経費の内訳
- 振込予定額と入金日
- 売掛先が支払わなかった場合に、利用者が責任を負う条項があるか
最後の項目は、費用以外で見落としやすい点です。
売掛先から集金できなかった場合に利用者が債権を買い戻す条項や、利用者自身の資金で業者に支払う条項がある取引は、貸金業に当たるおそれがあると金融庁は注意を呼びかけています。
受け取る買取代金が債権額に比べて著しく低い場合も、ファクタリングを装った貸付けの疑いがあります。
意味の分からない項目は署名前に説明を求め、回答はメールなど記録に残る形で受け取りましょう。
入金までの速さと費用のバランスを考える
入金の速さを優先するほど選べる業者や契約方式は限られるため、必要な入金日を先に決め、その日に間に合う見積もりの中から費用の低いものを選びましょう。
入金までの日数は業者と契約方式によって大きく異なります。売掛先の承諾が必要な3社間契約は、初めて依頼する売掛先であれば即日の資金化が難しいとされています。
2社間契約でも、最短30分での着金を案内するサービスがある一方、審査後の入金を最短2営業日としている業者もあります。
比べるときは、次の手順で進めます。
- 支払いに充てる日から逆算して、入金が必要な日を決める
- その日までに入金できる業者と契約方式に絞る
- 絞った候補の中で、差引後の受取額を比べる
支払日まで2週間あるのに、即日入金を条件に業者を選ぶと、3社間契約のような費用の低い選択肢を自ら外してしまいます。
必要以上に速い契約を選んで手数料を多く払わないよう、入金日の条件は現実の支払日に合わせましょう。
キャンセル料が発生する条件を確認する
申し込んだ後に取りやめる可能性があるなら、どの段階からキャンセル料がかかるのかを契約前に確かめましょう。
キャンセルの扱いは、契約が成立する時点によって変わります。
見積もりの相談と契約は別の手続きですが、申込画面での同意が契約の承諾を兼ねるサービスもあるため、見積もり段階で契約成立のタイミングを確かめるよう案内されています。
業者ごとに、次の段階でキャンセルした場合の扱いを比べます。
- 申し込み後、審査結果が出る前
- 審査通過後、契約書を作成する前
- 契約書の作成後、署名する前
- 署名後、入金前
各段階で費用がかかる場合は、金額、支払期限、すでに支払った審査料や事務手数料が返金されるかも確認します。
口頭の説明だけでなく、キャンセル条件が書かれた規約や契約書の条文で確かめておくと、資金のめどが別に立って取りやめる場合にも、想定外の出費を防げます。
ファクタリング手数料にかかる税金と会計処理
売掛金を売るときの基本手数料は原則として消費税がかからず、事務手数料や司法書士報酬などの諸経費には消費税がかかる可能性があります。
消費税法は、売掛金などの金銭債権を譲渡する取引を非課税としています。
一方、業者や司法書士が行う手続きや作業への対価は、基本手数料とは別のサービスの代金として扱われるため、課税の対象になり得ます。見積書で費用がひとまとめに書かれていると、どこまでが非課税なのか判断できません。
帳簿にどの科目で記録し、消費税の区分をどう付ければよいか迷う方も多いでしょう。
会計処理は契約内容で変わるため、判断に迷う取引は顧問税理士に確認しましょう。
債権譲渡の手数料は原則として消費税が非課税
ファクタリングで売掛金から差し引かれる基本手数料は、原則として消費税の非課税取引に当たります。
消費税法は、金銭債権の譲渡を非課税取引の一つとしています。売掛金は金銭債権に当たるため、業者が売掛金を買い取る取引も非課税の対象です。
非課税かどうかは、費用の名称ではなく契約の内容で判断されます。
国税庁は、金銭債権を譲り受ける際に差し引く割引料、保証料、手数料は、名目にかかわらず金銭債権の譲受対価として非課税になると回答しています。
売掛先から回収できなかった場合に譲受対価の返還を求める契約でも、契約上が金銭債権の譲受けであれば非課税です。
ただし、この回答は照会された事実関係を前提にした一般的な内容です。
個別の契約では課税関係が異なる可能性もあるため、契約書の内容が債権の売買になっているかを確かめ、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認しましょう。
振込料などの諸経費には消費税がかかる場合がある
基本手数料とは別に支払う振込料、出張費、事務手数料などは、消費税の課税対象になり得ます。
国内で事業者が対価を得て行うサービスの提供は、消費税の課税対象です。弁護士や税理士などの専門知識に基づくサービスも含まれ、登記などの公共サービスは非課税とされています。
ファクタリングの諸経費に当てはめると、事務手数料、司法書士への報酬、交通費には消費税がかかり、債権譲渡登記の登録免許税や印紙代にはかかりません。
見積書では、次のように費用を分けて確かめましょう。
- 基本手数料(非課税)
- 事務手数料、振込料、出張費、司法書士報酬(課税の可能性あり)
- 登録免許税、印紙代(消費税はかからない)
「手数料一式」のように一括で表示されている場合は、業者に内訳と消費税額を示してもらいましょう。課税と非課税が混ざったまま記帳すると、消費税の申告で仕入税額控除の計算を誤るおそれがあります。
仕訳では売上債権売却損を使うのが一般的
売掛金の額面と受取額の差額は、「売上債権売却損」の科目で記録するのが一般的です。
ファクタリングは売掛金を売る取引のため、額面より少ない金額を受け取った差額は、資産を売ったときの損失として扱います。会計ソフトに売上債権売却損の科目がない場合は、新たに科目を作るか、「支払手数料」や「雑損失」などの既存の科目を使う方法もあります。
使う科目は、契約内容や自社の会計方針によって変わる可能性があります。たとえば、売掛先が支払わなかった場合に利用者が買い戻す義務を負う契約では、売掛金を売った取引として扱えるかどうかの判断が必要になります。
科目名よりも優先して確かめたいのは、同じ種類の取引を毎回同じ科目で記録しているかです。自社の契約書を見ても処理方法を決められない場合は、契約書と入金明細を持って顧問税理士に相談しましょう。
売掛金と受取額の差額を記録する仕訳例
仕訳は、売掛金を減らし、受け取った金額を普通預金、差額を売上債権売却損として記録します。
売掛金100万円を料率10%で売り、諸経費がなかった場合の例です(金額は例示です)。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 900,000円 | 売掛金 | 1,000,000円 |
| 売上債権売却損 | 100,000円 |
諸経費が差し引かれた場合は、消費税の扱いが違う費用を分けて記録します。事務手数料11,000円(税込)と登録免許税7,500円を利用者が負担し、振込額が881,500円になった例は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 881,500円 | 売掛金 | 1,000,000円 |
| 売上債権売却損 | 100,000円 | ||
| 支払手数料 | 11,000円 | ||
| 租税公課 | 7,500円 |
基本手数料は非課税、事務手数料は課税、登録免許税は消費税の対象外と、区分がそれぞれ異なります。費用をまとめて計上すること自体は問題ないとされていますが、課税と非課税が混ざる点には注意が必要です。
実際の記帳では、例の数字ではなく、契約書に書かれた債権額と、入金明細に記載された振込額をもとに金額を入力しましょう。





