皆さまこんにちは。
トップ・マネジメントです。
2023年も、まもなく終わりを迎えようとしていますが、皆さまにとってはどのような1年になったでしょうか。
世の中に目を向けると、今年も社会、経済、政治面で様々な出来事がありました。5月には、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されたことにより、長らく続いた広範囲の規制が解除されることに。外国人観光客の受け入れも本格的に再開されるなど、街の賑わいが完全に戻った印象です。
ようやく本格的に経済の立て直しが期待されるようになった一方で、昨年から続く円安進行や物価高騰は結局歯止めが効かないまま年末を迎えることになりました。長引くロシア・ウクライナ戦争と、今年勃発したイスラエルとハマスによる武力衝突、アメリカをはじめ、海外の中央銀行との金利政策の乖離など、経済に影響を与え続けている要因は未だ取り除かれることなく、来年を迎えることになりそうです。また政治に目を向けても、2023年はひたすらに混迷を続けたばかりのように思え、社会・経済両面で好転の道筋が見えてこないのが現状ではないでしょうか。
大きな枠内での好転が見込めないのであれば、私たちはその内の小さな枠の中で努力を重ねるのみです。今年の業績が良かったという企業さまも、そうとはいえない現状に置かれる企業さまも、来年は一層の飛躍を遂げられることを願うばかりです。
さて、今年最後のスタッフブログのテーマは、「部下を頼る勇気と、会社に頼られる喜び」です。経営者の方を含め、部下のいるすべての人に参考にしたいただきたい考え方ですので、ぜひご一読ください。
目次
部下には頼らないというマインド
「リーダーたるもの、部下に頼るべからず」。組織のリーダーとしての覚悟や矜持が伝わってくるようなストイックなマインドです。
先日、とある中小企業の経営者さまへのヒアリングを実施しました。その方は、会社員時代から部下に頼ることなく、実績を積み重ね続けてここまでやってきたとおっしゃるのです。
独立開業された後も一貫してこのマインドを貫き通してこられたそうで、社員に対しては他人に頼ることなく、自らの力で道を切り拓いてほしいと説き続けてきたといいます。特に、リーダーの立場にある社員に対しては、自身がこれまで築き上げてきた理想のリーダー像の体現を求めてこられたといいます。
そのマインドの根底にある考えは、「部下には、圧を感じることなく伸び伸びと仕事をしてほしい」というもの。確かに上司から頼られることがない部下は、プレッシャーを感じることなく自身の仕事に邁進できそうです。
しかし、業績は思った以上に伸びることはなかったそう。それどころか離職率は高まる一方であり、社員が定着しない事態に悩まされ続けてきたといいます。
また、部下に頼ることが推奨されないリーダーの仕事は、効率性や生産性が手に取るように低下する結果を招くようになったそうです。
リーダーは部下を頼り、部下は頼られる企業風土
「部下に頼らない企業風土」がもたらしたのは、部下の負担を軽減するどころか、リーダーも部下も互いの信頼関係を築けることのない閉鎖的な空気感を呼び込み、結果として企業力の低下につながってしまったということがわかることでしょう。
リーダーにとって、部下に頼るということは決して「甘え」でもなく「怠慢」でもありません。組織に属して仕事を行う以上、組織としての連携力を高めなければならないことは言うまでもないはずです。つまり、リーダーは部下を頼り、部下は頼られるという相互の関係性が根付いた企業風土でなければ、個々人の成長はおろか、企業としての力も増幅しないのは当然だといえるのではないでしょうか。
部下はリーダーから頼られることで自身への期待を感じ、成功体験を経ることで自信を身につけます。反対に、リーダーから頼られることがなければ、自身の能力に疑いをもち、「期待されていないのでは?」「必要とされていないのでは?」というネガティブな感情に駆られ、やがては離職を決断に至るのも無理はないといえます。
一方のリーダーも部下に頼れず、プレッシャーを一身に背負うことで、仕事の行き詰まりを感じるだけでなく、その打開策を見出せないまま精神的にも肉体的にも限界を感じるというケースは珍しくありません。
企業としての高い連携力を発揮する信頼関係
この経営者の方が、部下に頼ることなく優れた実績を自らの手で切り拓いてこられたのは確かだと思います。しかしそれは、“たまたま”の連続だったのではないでしょうか。
部下に頼ることなく、「たまたま1人で乗り切れた」「たまたま高い成績が生まれた」。その連続が、「リーダーたるもの、部下に頼るべからず」「部下には、圧を感じることなく伸び伸びと仕事をしてほしい」というマインドが生み出された経緯なのではないかと推察するばかりです。
しかし、“たまたま”はすべての人に平等に訪れるものではありません。組織としての力を着実に高めるには、やはりリーダーが部下を頼る意義を知り、その勇気を持つこと。そして、部下は会社に頼られる喜びを知ること。
そのように、リーダーと部下が互いを尊重し、信頼し合える風土を持つ企業は、いつでも高い連携力を発揮できるチカラを蓄えているものです。