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個人事業主におすすめのファクタリングとは?利用する際のメリットや注意点を徹底解説

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中小企業庁「2015年小規模企業白書」によると、日本の中小企業(約385万者)の約9割(約334万者)が小規模事業者となっています。

また小規模事業者の内、約6割が「個人事業主」(約206万者)であるという調査が発表されています。

参照:中小企業庁「2015年小規模企業白書 第1部 小規模事業者の構造分析」

日本の経済を支える小規模事業者の半分以上が個人事業主である反面、日々の資金繰りに悩まれている個人事業主も多いのではないでしょうか。

事業規模が小さいことから、銀行などの民間融資を受けることが難しい場合でも、まとまった資金が確保できなければ、最悪廃業という結果にもなりかねません。

そこで有効活用したいのが「ファクタリング」です。近年、新たな資金獲得手段として注目を集めているファクタリングには、法人だけでなく個人事業主も対象としたサービスも増えてきています。

本記事では、個人事業主におすすめのファクタリングサービスをご紹介するとともに、個人事業主がファクタリングを利用する際のメリットや注意点を解説していきます。

ぜひ最後までお読みいただき、資金繰りに対する悩みを解消してみませんか。

個人事業主におすすめのファクタリングサービス7選

業者 入金までのスピード 利用可能額 手数料 ファクタリング形式
ビートレーディング 最短2時間 無制限 2社間:4%~12%程度 2社間
3社間:2%~9%程度 3社間
PMGファクタリング 最短2時間 50万円~2億円 1%~12.8% 2社間
(平均は3日ほど) (それ以上は要相談) 3社間
アクセルファクター 最短2時間 30万円~1億円 0.5%~8% 2社間
3社間
QuQuMo 最短2時間 無制限 1%~ 2社間
日本中小企業金融サポート機構 最短3時間 無制限 1.5%~10% 2社間
3社間
トップ・マネジメント 最短2時間 30万円~3億円 2社間:原則3.5%~12.5% 2社間
3社間:原則0.5%~3.5% 3社間
えんナビ 最短1日 50万円~5,000万円 5%~ 2社間
3社間

【ビートレーディング】豊富な取扱実績とスピードは業界トップクラス

ビートレーディングのファクタリングサービスは、最短30分の審査回答、申込から最短2時間で資金化可能といったスピードが最大の魅力です。とにかく早く審査結果を知りたい、急な資金需要で素早く資金を確保しなければいけない、といった個人事業主のニーズに応えることができます。

買取可能金額は「無制限」。小規模個人事業主から、業種柄ある程度大口の資金需要が生じる個人事業主まで、幅広く利用することが可能です。商品・サービスの受注を受付した時点での「注文書ファクタリング」に対応している点も、ビートレーディングの大きな魅力となっています。

手数料については「2社間ファクタリング4%~12%程度」「3社間ファクタリング2%~9%程度」の目安が提示されています。あえて目安を示していることで、この範囲を大きく逸脱した手数料契約は考えにくく、ファクタリングを利用したいが手数料負担が心配、という個人事業主でも安心です。

累計取扱高1,300億円以上、累計取扱件数5.8万社以上と、業界トップクラスの実績も安心できる要素です。また地上波放送や日本経済新聞などマスメディアにも取り上げられており、信頼性も高いサービスといえるでしょう。

入金までのスピード 最短2時間
利用可能額 無制限
手数料 2社間ファクタリング:4%~12%程度

3社間ファクタリング:2%~9%程度

ファクタリング形式 2社間・3社間
契約方法 対面(書面契約)

非対面(オンライン完結型)

債権譲渡登記 債権譲渡登記なしでの契約実績もあり

【PMGファクタリング】個人事業主でも高額買取が可能

「PMGファクタリング」を運営する「ピーエムジー株式会社」は、財務支援を中心に財務コンサルティングや金融機関対策などを手掛けています。ただ「PMGファクタリング」は法人だけでなく、個人事業主に対する買取にも対応しています。

「PMGファクタリング」の特徴としては、「審査回答・見積金額の提示が最短20分」「契約・送金まで最短2時間」といったスピード面が際立ちます。ただし公式ホームページには「平均3日ほど」の記載がありますので、急ぎの場合には事前に連絡しておくとよいでしょう。

買取金額は「30万円~2億円」と少額から高額買取まで、幅広く対応しています。また2億円以上の買取にも相談に応じてくれますので、個人事業主の中でも一時的な高額資金調達が必要な業種にも対応可能です。

「ピーエムジー株式会社」は2024年1月日本マーケティングリサーチ機構調査によるファクタリングサービス「高買取率」「限度額」「利用者数」で3冠を達成しています。豊富な取扱実績と合わせて、個人事業主でも安心して利用できるサービスといえるでしょう。

入金までのスピード 最短2時間(平均3日ほど)
利用可能額 50万円~2億円

(それ以上は要相談)

手数料 1%~12.8
ファクタリング形式 2社間・3社間
契約方法 対面(書面契約)

非対面(オンライン完結型)

債権譲渡登記 登記留保での契約も可能

【アクセルファクター】業界最低水準の手数料で費用負担が少ない

「アクセルファクター」を運営する「ネクステージグループホールディングスグループ」では通販領域、エンタメ領域、金融領域、IT領域の4つの事業を展開しています。大手グループが提供するサービスですが、「アクセルファクター」は法人だけでなく、個人事業主からの利用にも対応しています。

ただしインターネット情報によると、個人事業主が利用する場合、「売掛先が法人限定」という内容を見かけます。一方、アクセルファクターの公式ホームページには、このあたりの見解が記載されていません。

そこで電話で直接確認してみたところ「詳細を確認して対応させて頂きます」との回答を得ました。売掛先が個人事業主だからといって、全く利用できないというわけでもなさそうです。ただし売掛先が個人事業主の場合は、かなり審査基準が厳しいことも予想されますので、まずは事前相談から初めてみましょう。

アクセルファクターの一番の魅力は「業界最低水準の手数料」にあります。提示手数料は「0.5%~8%」と、業界相場と比較してもかなり低めの設定です。買取可能金額も最高1億円まで対応していますので、幅広い場面で活用することができます。

アクセルファクターは、関東財務局長、関東経済産業局が認定している経営革新等支援機関です。豊富な取扱実績と合わせて、個人事業主でも安心して利用することができます。

入金までのスピード 最短2時間
利用可能額 30万円~1億円
手数料 0.5%~8
ファクタリング形式 2社間・3社間
契約方法 対面(書面契約)

非対面(オンライン完結型)

郵送

債権譲渡登記 必須ではない

※審査結果によっては設定をお願いすることもございます

【QuQuMo】業界最低水準の手数料1%~

「QuQuMo」は「株式会社アクティブサポート」が運営するファクタリングサービスです。「株式会社アクティブサポート」は経営コンサルティング事業などを営んでいますが、「QuQuMo」では法人だけでなく、個人事業主に対する買取も行っています。

見積もり提示時間が最短30分程度、申込から入金まで最短2時間と、急な資金ニーズに対応できるスピードが魅力です。取扱金額は「無制限」ですので、個人事業主であっても、少額から高額といった様々な業種に対応することができるでしょう。

2社間ファクタリングに特化した営業ながら、提示手数料は、業界最低水準の「1%~」。ただ手数料上限がはっきりしませんので、電話で直接問い合わせしてみたところ、次のような回答を得ています。

「手数料は売掛内容などにより個々に設定させていただいております。できるだけお客様の要望に沿えるようにご配慮致します。」

電話対応自体丁寧で安心感はありました。ただし実際の手数料については申込内容次第のようですので、事前相談などで確認するようにしましょう。

入金までのスピード 最短2時間
利用可能額 無制限
手数料 1%~
ファクタリング形式 2社間
契約方法 非対面(オンライン完結型)
債権譲渡登記 設定不要

【日本中小企業金融サポート機構】非営利団体のサービス、低手数料で利用可能

日本中小企業金融サポート機構は、一般社団法人で非営利団体に当たります。関東財務局長、関東経済産業局が認定している経営革新等支援機関でもあり、中小企業に対してコンサルティング事業などを営んでいます。ただし同機構のファクタリングサービスは、法人だけでなく、個人事業主でも利用可能です。

非営利団体のサービスですので、「手数料1.5%~10%」と、少ない費用負担で資金調達が可能です。最短30分の審査回答、最短3時間の振込可能といったスピード面も優れており、様々な場面で活用できるでしょう。

個人事業主であっても、認定支援機関である同機構に相談することで、経営に関する様々な支援やアドバイスを受けることができます。日々の経営に悩まれる事業者は、ぜひ相談してみて下さい。

入金までのスピード 最短3時間
利用可能額 無制限
手数料 1.5%~10
ファクタリング形式 2社間・3社間
契約方法 書面契約

非対面(オンライン完結型)

債権譲渡登記 設定不要

【トップ・マネジメント】豊富な取扱実績と商品ラインナップ

経営コンサルティング業務を営む「株式会社トップ・マネジメント」は、法人だけでなく、個人事業主でも利用可能です。累計取扱高100億円、45,000件以上のファクタリング取引実績で、個人事業主でも安心して利用することができます。

買取可能金額「30万円~3億円」と、少額から高額の幅広い提示で、小規模事業主から希望の大きい事業に対応することが可能です。最短2時間のスピードに合わせて、原則の手数料提示も、上限まできちんとなされています。

トップ・マネジメントには、通常の「2社間ファクタリング」「3社間ファクタリング」だけでなく、以下のような様々な商品ラインナップが用意されているのも特徴です。

  • ゼロファク(手数料:原則3.5%~12.5%)
    助成金申請とファクタリングを同時にスタート出来る支援プログラム
  • ペイブリッジ(手数料:原則3.5%~12.5%)
    広告業界・IT業界に特化した資金調達サービス
  • 電ふぁく(手数料:原則1.8%~8.0%)
    お客様専用口座を解説し取引先に振込口座変更を行う2.5社間ファクタリング
  • 見積書・受注書・発注書ファクタリング(手数料:原則3.5%~12.5%)
    仕事の注文や発注を受けた段階、見積りの段階でファクタリングが可能となるサービス
入金までのスピード 最短2時間
利用可能額 30万円~3億円
手数料 2社間ファクタリング:原則3.5%~12.5

3社間ファクタリング:原則0.5%~3.5

ファクタリング形式 2社間・3社間
契約方法 書面契約

非対面(オンライン完結型)

債権譲渡登記 原則必要

【えんナビ】土日祝日の資金化も可能

「えんナビ」は「株式会社インターテック」が運営するファクタリングサービスが「えんナビ」です。「えんナビ」は法人だけでなく、個人事業主の買取にも対応しています。 

買取可能金額は「50万円~5,000万円」と、特に上限については他社よりも低めの設定です。どちらかといえば小口に特化したイメージですが、その分、審査の敷居は低くなることが予想されます。

えんナビでは、公式ホームページからの簡単査定受付だけでなく、電話受付も24時間365日土日祝日でも対応しています。通常、金融機関は土日祝日が休日である一方、個人事業主の中には土日祝日も営業している先が多いでしょう。他の金融機関で資金調達ができない土日祝日でも対応可能は大きなポイントです。

ただし入金までの日数は「最短1日」。これが「最短即日」なのか「最短翌日」なのが気になるところです。電話で直接問い合わせしてみたのですが、「できるだけ早期の対応をさせていただきます」との曖昧な回答のみで、最短即日が可能かどうかの明確な回答は得ることができませんでした。余裕を持つ意味でも「最短翌日」と考えておくのが賢明かもしれません。

手数料についても「5%~」と上限記載がなく、この点も電話で確認してみました。しかし「一律の上限は設けていません」と、こちらも曖昧な回答で終わってしまいました。

サービス内容自体は、魅力あるように感じる一方、実際に申し込んでみなければわからないという事項も多いようです。この点を踏まえて、えんナビを利用する場合には、頻繁に電話連絡などで確認することをおすすめします。

入金までのスピード 最短1
利用可能額 50万円~5,000万円
手数料 5%~
ファクタリング形式 2社間・3社間
契約方法 書面契約

非対面(オンライン完結型)

債権譲渡登記 原則必要

個人事業主がファクタリングを利用する7つのメリット

  1. 売掛債権を期日前に現金化できる
    ファクタリングは期日前の売掛債権を買い取ってもらうサービスです。一定の手数料支払いは必要ですが、売掛債権の期日前にまとまった資金を入手できます。支払いサイトの長い売掛債権でも、買い取ってもらうことができれば、数か月先まで待つ必要がなく、運転資金として活用することができます。
  2. キャッシュフローの改善につながる
    日々の事業活動には「現金」が欠かせません。キャッシュフローをうまく回していくことが、順調な経営を行う上で必要不可欠です。ファクタリングを利用することで、通常は現金化まで数か月かかる売掛債権を、即現金化することができます。現金化した資金はすぐに運転資金として活用することができますので、「現金」の周りは確実に良くなるでしょう。現金を循環させていくことで、安定的な事業運営にも役立ちます。またキャッシュフローに不安を感じる個人事業主の方にも、ファクタリングで資金調達することで、キャッシュフローの改善も図ることができます。まとまった資金が必要な場合でも、上手にファクタリングを利用することで、経営上の問題が解決できることもあります。
  3. 急な資金需要に対応できる
    民間金融機関の融資は、一般的に時間がかかります。申込手続きや必要書類の準備、審査などで日数がかかることで、急な資金需要には間に合わないということもあるでしょう。一方、最近のファクタリングサービスでは「即日買取可能」といったスピードに優れたサービスが多くあります。「どうしても早急にまとまった資金が必要」といった場面でも、すぐにまとまった資金を確保することができます。
  4. 規模の小さい個人事業主でも利用できる
    ファクタリングの審査において重要視されるのは、売掛先の内容です。回収見込みに懸念がない売掛債権を提示できれば、審査に合格できる可能性が高くなります。特に事業規模が小さな個人事業主の場合、民間金融機関の事業融資を受けるのが難しいケースも多くあります。一方、ファクタリングであれば申込者の事業規模はそれほど問われることはありません。売掛先の内容次第で、小規模事業主でもまとまった資金を入手することができます。
  5. 税金を滞納していても資金調達できる可能性がある
    「赤字」「税金滞納」といった事業者は、民間金融機関の事業融資を受けるのはかなり厳しいです。特に「銀行」の窓口では、それだけで門斬払いを受けることも珍しくありません。一方、ファクタリングでは、このような状況であっても利用できる可能性があります。事実、多くのファクタリングサービスが「赤字や税金滞納でも相談可能」といった宣伝を行っています。
  6. 保証人・担保が不要で資金調達できる
    民間金融機関の事業融資では、時として保証人や担保を要求されることがあります。特に事業規模が小さい個人事業主の場合、その傾向は強いでしょう。家族で経営している個人事業主などは、保証人や担保を要求されても、全く当てがないというケースも多いのではないでしょうか。一方、ファクタリングは「融資」ではなく、そもそも保証人や担保に頼るというサービスではありません。しっかりした売掛債権を提示できれば、無担保・無保証でまとまった資金を入手することができます。
  7. 取引先企業の倒産リスクを避けることができる
    小規模事業主の中には、取引先も小規模という先も多いでしょう。そのような場合、売掛先の倒産を懸念するという事業主もおられるかもしれません。ファクタリングは、取引先の倒産リスクもカバーすることができます。基本的にファクタリングは「償還請求権がない(ノンリコース)」のサービスです。償還請求権とは、売掛先から売掛金が支払われなかった場合、ファクタリング会社が利用者に売掛金の返還を請求できる権利のことです。一方「ノンリコース」であるファクタリングでは、買い取った売掛先が倒産した場合でも、回収義務はファクタリング会社にあり、利用者に請求が行われることはありません。ファクタリング利用後に、取引先が倒産してしまったケースを考えてみましょう。通常であれば取引先の倒産で膨大な損失を被っていたところ、事前に買い取ってもらったことで、逆に現金を入手することができることになります。

個人事業主がファクタリングを利用する3つのデメリット

①手数料負担が必ず発生する

ファクタリングの手数料相場としては、2社間ファクタリングで「10%~25%」といわれており、3社間ファクタリングでは「2%~9%」程度とされています。最近ではこの水準よりも低い手数料で利用できるファクタリングサービスも出てきていますが、いずれにしても、ファクタリングには、必ず手数料負担が生じることになります。

個人事業主の場合、売掛債権金額がそれほど高額でないケースも多いでしょう。ただでさえ少額の売掛金から、手数料が差し引かれることになりますので、ファクタリングを利用した後の資金繰りまで、しっかり考えておく必要があります。

また個人事業主の場合、一般的に法人が利用する場合に比べると、手数料提示が高くなる傾向があります。提示される手数料は売掛先の内容によっても左右しますが、手数料負担と現状の資金繰りのバランスを見極めて、ファクタリングを利用するようにしましょう。

②使いすぎるとキャッシュフローが悪化する

前述の通り、ファクタリングには必ず手数料負担が発生します。売掛期日まで待てば満額入金される売掛金が、期日前に現金化できるとはいっても、必ず手数料が差し引かれて目減りすることになります。

確かにファクタリングで現金化することで、一時的なキャッシュフローは改善します。ただし長期的に見ると、ファクタリングの使い過ぎは好ましくありません。使いすぎることによって、将来的なキャッシュフローに悪影響を与えるリスクがあります。ファクタリングにより期日前に現金化できた資金は、今後の事業経営にとって有効的に活用するようにしましょう。

③取引先との関係が悪化する可能性がある

3社間ファクタリングでは、取引先に債権売却の了承を得る必要があります。

自社の債権を売却するなんて、よほど資金繰りに困っているのではないか

自社の債権を売却した取引先とは、今後の関係も考えていかなくてはいけない

このようにファクタリングの利用が取引先に発覚することで、以後の取引関係に深刻な悪影響を与える可能性もあります。最悪「取引解消」という事態にもなりかねません。
3社間ファクタリングを利用する場合には、取引先と事前に詳細な打ち合わせなどを行い、しっかり理解を得ておくようにしましょう。

個人事業主がファクタリング会社を選ぶ4つのポイント

  1. 個人事業主が利用可能なファクタリング会社を選ぶ

    まずは、個人事業主が利用可能なファクタリング会社を選ぶのが第一条件となります。
    ファクタリング会社の中には、利用者を「法人」に限定している先もあり、この場合、個人事業主が利用できません。最近では個人事業主・フリーランスも利用可能なファクタリング会社も増えています。魅力的なサービスを見つけた場合、まずは個人事業主が利用可能かどうかを確認するようにしましょう。
  2. 債権譲渡登記が不要なファクタリング会社を選ぶ

    ファクタリング、特に売掛先に債権譲渡通知が行われない2社間ファクタリングでは、同じ債権が2重譲渡されるリスクが存在しています。「債権譲渡登記」を行うことで、2重譲渡に対して対抗要件を備えることができます。ただし、「債権譲渡登記」はそもそも「法人」が行える登記で、個人では行うことができません。つまり「債権譲渡登記」が必要なファクタリングを個人事業主は利用できません。一方、公式ホームページでは「個人事業主でも利用可能」としているサービスでありながら、「原則、債権譲渡登記が必要」としている先もあります。このようなサービスでは「原則」とあるように、個人事業主の利用申込を受付した際、債権回収が確実かどうかを慎重に見極め、問題なければ審査合格としていることが想像できます。このようなファクタリング会社のサービスを利用したい場合、まずは電話やメールなどで、個人事業主でも利用可能かどうか確認するようにしましょう。

    「債権譲渡登記」とは
    債権が譲渡された事実を法務局に届け出て、登記簿に記録することです。債権譲渡登記を行うことで、ファクタリング会社は、債権譲渡に対して「第三者対抗要件」を備えることができます。

    「第三者対抗要件」とは
    債務者以外の第三者に債権譲渡の事実を主張するために備える法律要件のことです。

  3. 償還請求権なしのファクタリング会社を選ぶ

    前述の通り、ファクタリングは原則として「償還請求権なし(ノンリコース)」での契約です。売掛先の倒産などにより売掛金が支払われなかった場合でも、利用者が売掛金相当額を支払う義務はなく、ファクタリング会社が損失を負担します。ただしファクタリング会社の中には「償還請求あり」の契約を求める先があります。償還請求ありの契約は、実質融資と見なされますが、事業主に融資を行うには認可を受けなくていけません。つまり「償還請求あり」のファクタリング会社は、認可を受けていない違法業者である可能性がかなり高い先と言えます。事業自体が小規模な個人事業主は、このような違法業者の標的にもなりやすいので注意しましょう。
  4. 手数料が明記されているファクタリング会社を選ぶ

    ファクタリングでは、必ず手数料負担が発生します。少しでも受け取ることができる買取金額の目減りを減らすために、手数料負担の少ない先を選ぶのが最適です。当然、ファクタリング会社ごとに手数料は異なりますので、きちんと確認しておく必要があります。特に注意しておきたいのが「手数料の上限」です。手数料提示としては、公式ホームページに「〇〇%~△△%」というように手数料の上限と下限が明記されている先だけはありません。「〇〇%~」というように手数料下限だけ記載されており、上限が記載されていない先もあります。知名度も高く信頼できるファクタリング会社であれば、それほど法外な手数料を要求されることはないでしょうが、手数料上限がはっきりしない場合、正確な資金計画を立てるのが難しいこともあります。また悪徳業者の中には、一見手数料が低く見えても、それ以外の費用負担や、長期取引などの条件を突きつけられることもあります。手数料は、売掛先の内容等、審査結果でかなり左右される部分です。都度相談などを行い、自らが安心できるサービスを利用するようにしましょう。

この先がおすすめ 個人事業主の状況別ファクタリング会社の選び方

 【資金確保までのスピード】
とにかくすぐに資金が必要な時は、最短即日買取可能な先を選ぶ

ビジネスの場面では、どうしても今日中に資金確保しなければいけないということもあります。特に事業規模が小さな個人事業主の場合には、資金確保ができなければ事業継続にも大きな影響があります。

とにかく緊急性を要する場合には、「即日資金化可能」なファクタリングサービスを選ぶことが最優先条件となります。まずは公式ホームページを確認して、最短即日買取可能かどうかを確認しましょう。その上で買取金額や手数料などの諸条件と比較しながら利用先を選択します。

申込フォーム・見積もりフォームに入力→送信した後は、必ず先方に「急いでいる旨」を電話連絡で行います。メールなどでは不確実性もありますので、必ず直接伝えるようにしましょう。

また「最短即日買取可能」としているサービスでも、込み具合などでは時間や日数がかかることもあります。必要書類を確実に準備し、できるだけ早い時間帯、可能な限り「午前中」に申込完了させておくことが望ましいです。

【申込・契約方法の選択】
遠方で来店の手間や交通費負担を避けたい時は、オンライン完結型の先を選ぶ

最近のファクタリング会社は、多くが「全国対応」となっています。一方、ファクタリング会社の事務所は一ヶ所だけ(その多くは首都圏)という先がほとんどです。対面で契約が必要で場合には、自ら訪問する、もしくはスタッフに出張で来社してもらう必要があります。

当然、訪問には時間や交通費が必要になります。そもそも遠方で訪問自体不可能というケースもあるでしょう。またスタッフの出張では「出張費」の負担を要求されることもあります。

そのような場合には「オンライン完結型」のファクタリングサービスを提供している先を選ぶ必要があります。「クラウドサイン」などを活用し、申込だけでなく契約まで来店不要で完結できるサービスであれば、手間や費用もかかりません。

【手数料の上限】
できるだけ手数料負担を減らしたい時は、手数料の上限が低い先を選ぶ

前述の通り、ファクタリングを利用する場合、手数料を比較する意味でも、きちんと手数料が明記されている先が望ましいです。その上で手数料比較の際には「手数料上限」で比較するようにしましょう。

実際の手数料は、売掛先の内容等の審査結果により、大きく左右されます。手数料上限で比較しておけば、それ以上の負担は発生しませんので、資金計画も立てやすくなります。

逆に下限の手数料は、よほど条件が良くない限り適用されるケースはありません。表現はあまりよくありませんが、いわば「宣伝文句」として定義していると思っておきましょう。

【買取金額の上限】
高額の資金が必要な時は、買取金額の上限が高額な先を選ぶ

個人事業主でも、事業内容等によっては、億円単位の高額資金調達が必要なケースもあります。ファクタリングを利用して高額資金調達を目指される場合には、買取金額の上限が高額な先を選ぶことが望ましいです。

特に「買取金額無制限」と明記されているファクタリング会社であれば、様々な顧客利用層の経験もあるでしょうから、柔軟な対応も期待できます。

逆に、買取金額の上限が希望金額に届かない場合は、不足分を他の方法で補う必要があります。それだけ手間もかかりますので、できれば一度に必要金額を満たすことができる方法で調達を目指しましょう。

【買取金額の下限】
少額の資金で十分な時は、買取金額の下限が低い先を選ぶ

逆に小規模な個人事業主であれば、「資金は必要だが少額で十分」というケースも多いでしょう。
ところがファクタリングサービス自体、そもそも法人を対象としたサービスが中心です。そのため買取金額の下限自体も高いという先もあります。提示売掛金額が低い場合、利用ができない先もありますので、注意しましょう。

個人事業主がファクタリング審査に合格するための3つのポイント

  1. 少額の実績を積み重ねていくファクタリングを利用する場合、一番重視されるのは売掛先の内容です。それでも全く取引のない個人事業主が、いきなり高額の売掛金を提示してくると、ファクタリング会社も不信感を拭えません。「なぜこのような客が当社に買取依頼してきたのか」とまずは疑われてしまいます。このように、取引実績がない個人事業主の高額買取は敬遠される傾向があります。今後ファクタリングを利用していきたいと考える個人事業主は、まず少額で買取実績を積み重ねていきましょう。その上でファクタリング会社との信頼関係を構築していくことで、徐々に王額買取にも応じてもらえるでしょう。
  2. できるだけ信頼性の高い売掛債権を提示する繰り返しになりますが、ファクタリングの審査では売掛先の内容が一番重視されます。回収懸念が少ない売掛金を提示できれば、審査に合格できる可能性はかなり高くなります。特に個人事業主の場合では、より信頼できる売掛債権を提示することを心がけましょう。ファクタリング会社によっては、「個人事業主でも利用可能。ただし売掛先は法人に限る」という条件を設けている先もあります。個人事業主では、取引先も同じ個人事業主であるという事業者も多いでしょう。ファクタリング会社が提示する条件面もしっかり確認しなければいけません。
  3. 税金未納の場合は、分割納付していることが原則ファクタリングサービスの公式ホームページでは、「税金未納であっても利用可能」という表現をよく見かけます。これ自体は事実でしょうが、大前提なのが「未納税金を分割で支払っている」ということです。税金を滞納し放置すると、所有資産に対して差押えが行われます。差押え対象資産には、土地や建物といったものだけなく、売掛債権も含まれます。もし買い取った売掛金が差押えされると、回収不能となり、ノンリコース契約が基本であるファクタリング会社は損失を被ることになります。未納税金を分割で支払っている(もしくは分納手続きを前提として協議中)なら、当面は差押えが実施される心配はありません。ただし放置しているといつ差押えが行われるか分かりませんので、ファクタリング審査には合格できません。

【まとめ】個人事業主でもファクタリングで資金調達は可能

本記事では、個人事業主のファクタリング利用について説明させて頂きました。

ファクタリングは法人中心のサービスですが、個人事業主でも利用できる先も多くあります。売掛先の内容さえしっかりしておけば審査に合格できるチャンスも高くなります。

一方、売掛先が法人、買取上限金額、買取下限金額などの条件面で、個人事業主の場合にはその状況次第で、利用できるファクタリングサービスが絞られることもあります。

本記事冒頭でご紹介させていただいたファクタリング会社は、比較的個人事業主でも利用しやすい先を厳選しました。ぜひ参考にして頂き、上手に資金繰りを検討していきましょう。

監修者情報

大野兼司

1977年生まれ 東京都中野区出身

1998年 サンケイコーポレーション(事業者金融業)へ入社
2001年 サンケイコーポレーションを退社
2001年 インターライフ(事業者金融業)を起業
2006年 インターライフ(事業者金融業)を廃業
2009年 株式会社トップ・マネジメント(ファクタリング会社)を起業 代表取締役に就任
2024年 合同会社Success Gateを起業 代表社員に就任

事業者金融時代に営業職として中小零細企業の資金調達に従事し延べ500人以上の経営者の資金繰り相談を受け、独立し事業者金融業を開業。延べ1000社以上の資金調達を支援してきました。事業者金融を廃業後、2006年に欧米で主流になりつつあったファクタリングに着目し、ファクタリング会社を起ち上げ。現在では日本でも浸透している2社間ファクタリングの仕組みを私が作り、これまでに5.5万社以上の中小零細企業の資金繰りを支援して参りました。