資金調達

資金繰りの悪化を防ぐには?
有効な6つの改善策を紹介

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会社に入ってくるお金が収益、会社から出ていくお金が支出、そして収益と支出の管理によって、事業資金の流れをコントロールすることが資金繰りです。
事業を通じて得られた収益を、材料の仕入れや従業員への給与支払いなどに的確に分配しながら支出をする資金繰りは、経営者にとって会社経営における大きな職務のひとつであるといえます。
つまり、資金繰りは経営の生命線であり、正常に保たれていれば経営は“上手くいっている状態”であり、悪化がみられれば“厳しい状態”であるということ。経営者は、事業を存続させていくために、資金繰りを常に正常に保てるような対策をとっていかなければならないのです。
では、資金繰りの悪化を防ぐために経営者が考えるべき対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

なぜ資金繰りの悪化が生じるのか考える

なぜ資金繰りの悪化が生じるのか考える

そもそも、なぜ資金繰りの悪化が生じるのでしょうか。起業したて経営者のなかには、資金繰りの悪化は売上が十分ではないからだと考える人もいますが、必ずしもそれだけが原因とはいえません。
もちろん、売上が十分ではないために収益があげられず、支出に分配するべき資金不足に窮するといったパターンもありますが、中には収益と支出の流れを把握していなかったり、収益に見合っていない経費の支出が続いていたり、過剰在庫を抱えてしまっているなど、売上だけに捉われない要因により資金繰りの悪化もよくみられるものです。
また、売上の向上ばかりに気を取られてしまい、肝心な売掛金の回収に遅れが生じてしまう、支払い期日を取引先に委ねているために、収支のバランスを崩してしまうといったケースも多々みられます。このケースでは、売上が十分に立っているにもかかわらず、資金繰りの悪化を招き、やがては黒字倒産に至ってしまうということも珍しくはありません。
資金繰り悪化の要因は、会社によって様々であるため、一概に断定することは難しいですが、どのような要因であっても大切になるのは、まずはその要因を明確にして、そのうえで適切な対策を継続に進めていくことです。

資金繰り悪化を防ぐためにとりたい6つの対策

資金繰り悪化を防ぐためにとりたい6つの対策

ここからは、資金繰り悪化を招くそれぞれの要因に合わせた対策を解説します。

資金繰りを正確に把握するための表を定期的に作成する

資金繰りの悪化が生じている会社のなかでよくみられるケースが、資金繰りを正確に把握するための資料作成がされていない、または不定期で作成されていることです。得に従業員がいない、または少ない会社では、このケースが顕著になっています。
資金繰りを正確に把握する書類とは、「資金繰り表」を指します。資金繰り表には「実績資金繰り表」と「予定資金繰り表」の2種類があり、前者は過去の実績をもとにした収益と支出の流れを可視化した表、後者は将来的な資金繰りについて記載する表です。
現状の資金繰り悪化を打破する対策としては、「実績資金繰り表」を作成して過去の実績から要因を突き止めて支出の削減を図るのが効果的ですが、将来的なさらなる悪化を防ぐためにも、「予定資金繰り表」を併せて作成することをおすすめします。
また、「実績資金繰り表」の“実績”とは、1年前や数年前だけを指すわけではありません。ひと月前の資金繰りを可視化していくことにより、より現状に合わせた改善策を立てられるようになりますので、少なくとも毎月にわたって作成するようにするとよいでしょう。
なお、これら2種類の資料作成とともに、「損益計算書」や「賃借対照表」への記入やチェックもこまめに行うようにすると、資金繰りの改善策に厚みが生まれますので、こちらも定期的に進めるようにしましょう。

資金繰りを圧迫させている経費の削減を検討する

資金繰りの悪化の要因として多くみられるのが、必要経費の過剰な支出です。
経費の支出は、法人税の控除にもつながるため、経営者としてはなるべく経費を増やしていきたいところですが、いくら法人税から控除できるとはいっても、資金繰りを悪化させているようでは、元も子もないと言わざるをえません。
経費として支出するかどうかの判断基準は、経営や支出の維持に必須か否かを考えることです。たとえば、従業員を雇っているのであれば、経費として人件費の支出は欠かせませんし、事務作業を行うにあたっての消耗品の購入費も、経営や事業には必須の経費となります。
一方で、従業員の満足度を高めるような福利厚生は、経営や事業の維持に直結するものとはいえないため、資金繰り悪化時にはその費用を削減する必要があるとえます。また、昨今では、広告や宣伝もSNSをはじめとした無料のサービスを活用することで広告宣伝費を大幅に削減している企業が増加しています。
そのほか、定期的に支払いが生じるサブスクリプション契約など、サービスをすでに使用していないにもかかわらず、解約手続きを怠り、利用費が定期的に引き落としされているのであれば、これらの見直しを図るべき。このような潜在的な経費も知らないうちに膨れ上がっていることは珍しくありません。
経費削減については、その支出がなければ経営や事業が成り立たないのかを判断、または必須であっても、支出額を抑えられる手段はないかなどをしっかりと検討しながら取捨選択し、資金繰りを正常保っていくことが大切です。

仕入れについて取引先との交渉や販売コスト引き上げを視野に入れる

どれだけ理想通りの売上をあげられても、仕入れコストが嵩んでいるようでは、資金繰りの悪化を招きかねません。
そこで、現状よりも低価格の仕入れが可能な取引先を探すことを検討したいところですが、中には、コストが嵩んでも自社の製品やサービスを成立させるためには、妥協できないというケースもあるはずです。
そうした場合には、まずは仕入れ価格について取引先と交渉する場を設けるなどして、仕入れコストの削減を図るようにしましょう。ただし、昨今続く物価高騰の影響により、交渉に応じてすらもらえないケースや交渉が出来ても、希望通りの価格にまで抑えられない可能性のほうが高いというもの。
ですので、利益率が影響した資金繰りの悪化が生じているようであれば、販売コストの引き上げを視野に入れざるをえないのが現状だといえます。
顧客からの不満が募る可能性は否めませんが、資金繰り改善を目指すためにも、販売コストの引き上げを決断する場合には、企業として根拠に基づいた説得力の高い説明で理解を得る努力が必要になります。

支払いを遅らせるサイクルを構築する

資金繰りの悪化とは、収益と支出のバランスが崩れることによって、資金がスムーズに流れなくなることです。
したがって、最も効果的な改善策としては収益を早めて、支出を遅らせることが挙げられます。支払いよりも前に、売上金や売掛金を確実に回収ができるサイクルが整っていれば、手元資金の分配も確実に実行できるもの。しかし、仕入れコストの支払いが、売上金や売掛金よりも先行する業種では、このサイクルが不安定になりがちです。
そこで、支払いを先延ばしにできる経費についてはクレジットカードやツケ払いサービスなどを利用して、ひと月の支出額を可能な限り遅らせるのも、資金繰り改善策として効果的な一手になります。

ファクタリングを利用して売掛金回収を早める

売掛金の回収を早める策として効果的なのは、やはりファクタリングの利用です。
ファクタリングは、請求書の発行後から実際に売掛金を回収する日までの間であれば、いつでも利用することができるため、収益と支出のバランスが崩れていると判断できた段階で、資金繰りに対する応急処置的な効果をもたらせることができます。
さらに、ファクタリングによって調達した資金は負債にはあたらないため、借金をすることなく、支出の補填ができる点も大きなメリットだといえます。

在庫は常に適切な数を揃えて保管する

需要を上回る在庫、いわゆる「過剰在庫」も資金繰り悪化を招く要因として挙げられます。
「いつ発注があるか分からない」「在庫切れだけは回避したい」などの理由から、在庫はできるだけ多く保管しておきたいと考えるのむ無理はありませんが、在庫は保管するだけでも保管費用が発生します。また製品によっては、賞味期限や使用期限に応じて廃棄しなければならず、当然ながら一切の収益は得られないことになってしまうわけです。
在庫は、内外的な要因から販売予測をしっかりと立てて、常に適切な数を保てるようにしておきましょう。

3ヶ月先までの支払いに対応できる資金計画を立てる

3ヶ月先までの支払いに対応できる資金計画を立てる

一般的に、会社の資金繰りについては3ヶ月先までの支払いに対応できるようなら、正常であるといわれています。これは、多くの業種が請求書の発行から1ヶ月後、もしくは2ヶ月後に売掛金の回収が行われるためです。
ですので、基本は3ヶ月先までの収益と支出のバランスを考慮に入れた資金計画を立てることが重要だといえます。ただし、突発的に多額の支出が発生するケースもあるはずですので、資金繰り対策は長い目でみて、継続的に進めていくことが重要です。

まとめ

今回は、資金繰り悪化を防ぐために効果的な改善策を6つ紹介しました。
改善策の実行前には、必ず資金繰りを正確に把握するための表を定期的に作成・確認しておき、そこから浮き彫りになった課題に対する最適な改善策を講じていくようにしましょう。