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最低賃金の引き上げで生じるメリットとデメリット

最低賃金の引き上げで生じるメリットとデメリット-【経営者・社長】

2019年7月に行われた、厚生労働省の諮問機関である「中央最低賃金審議会」の小委員会において、2019年度の全国最低賃金を時給901円とする方針を決定しました

政府は、2017年に発表した「働き方改革実行計画」にて、最低賃金の全国加重平均を1000円に引き上げる目標を掲げており、計画が着実に実行されていることがうかがえます

三大都市圏では前年度から28円上がり、東京都は1013円、神奈川県は1011円となり、ともに全国で初めて1000円を超えます。また大阪府は964円、愛知県では926円と、いずれも現在の全国平均である874円を上回っています。

一方で、青森県や鹿児島県などの17県では全国平均の874円どころか、800円にも達していません。

以降、3年連続で目標を達成しているものの       

まだまだ地域格差が生じているのが実情です

アルバイトやパートといった時給制で働く労働者にとって、最低賃金の引き上げ決定は、安定した生活を送るためにも嬉しい報せであるといえるでしょう。

では、多くの賃金の支払いが必要になる企業へはどのような影響を与えるのでしょうか。

今回は、最低賃金の引き上げによって生じるメリットとデメリットをご紹介します

最低賃金とは?

悩む男性

ところで最低賃金とは何なのでしょうか。

その言葉通り、雇用した従業員に対して支払わなければならない賃金であることは、理解できているかと思いますが、 “支払うべき賃金の目安”程度に軽く考えている事業者の方が少なからず存在します。

最低賃金とは、最低賃金法という法律に基づいて定められている金額です

つまり、最低賃金額は支払うべき賃金の目安ではなく、事業者は従業員に対して必ず最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません

最低賃金額は地域別に定められており、もしも従業員に対して最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合には、最低賃金法の違反によって50万円以下の罰則に科されることになります。

これはそれぞれの企業が個々に規定する就業規則にも適用されるものであり、例えば従業員と事業者の間で、最低賃金額以下の賃金による労働契約が結ばれたとしても、法律違反で罰則を受ける対象となります。
また実際に従業員が最低賃金額未満の賃金を受け取っていたことが発覚した場合には、事業者は最低賃金額との差額を支払わなければならなくなります。

最低賃金は、賃金の単なる目安として決められているのではなく、法律によって定められていることを理解しておきましょう

最低賃金引き上げによるメリット

メリット

それでは、最低賃金が引きあがることでどのようなメリットが生じるのか見ていきましょう。

地域経済の活性化につながる

多くの非正規雇用者は、正社員よりも手取り額が少ないのが現実であり、生活費のやりくりをするだけで精一杯だというのが本音でしょう。しかし非正規雇用者の収入がアップすれば、自由に使えるお金の捻出も場合によっては可能になるため、それぞれの地元や旅行先での出費に期待することができます。最低賃金の引き上げは、地域経済の活性化にも不可欠な策定だといえます

時間給のアップによって所得の格差が縮まる

最低賃金が引き上げられれば、当然ながらアルバイトやパートといった非正規雇用者の手取り額がアップします。つまり正社員との所得の格差が縮まるのは、非正規雇用者にとっては大きなメリットであり、仕事に対するモチベーションの高まりも期待できます

このように非正規雇用者や地域にとっては、大きなメリットを感じられる最低賃金の引き上げですが、雇用する事業者にとってはいくつかのデメリットが生じるとも考えられています。

最低賃金引き上げによるデメリット

デメリット

業種によっては経営を圧迫する

飲食店やコンビニなど、多くの非正規雇用者を雇っている業種にとって、最低賃金が引き上げられることによって人件費が高騰します。そのため、なるべく少ない人員で業務を行おうとする方針に転換せざるをえなくなるケースも生じ、雇用や労働時間の減少を加速させる可能性があります

正社員の手取り額の減少

大企業や中小零細企業といった規模に関係なく、非正規雇用者を最低賃金で雇っている企業であれば、最低賃金の引き上げにより非正規雇用者の手取り額がアップする代わりに、正社員の給料が減少することも考えられます。人件費の底上げが難しい企業にとって、最低賃金の引き上げは正社員の維持にも関わるほどの悩みの種となってしまうかもしれません。

このように最低賃金の引き上げはメリットとデメリットがつきまとうため、常に賛否両論がつきまとう問題です
政府が掲げる目標が順調に達成されれば、2023年には全国加重平均が1,013円に達すると予想されます。
最低賃金の引き上げに向けた対策の検討は、常に企業が持ち続けなければならない課題であるといえるでしょう