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企業がコロナウィルスによる不安と心配に立ち向かうための意識付け

企業がコロナウィルスによる不安と心配に立ち向かうための意識付け【コンサルタント】

東京発着の旅行もGoToトラベルキャンペーンの対象になって早数日。発着の主要拠点である羽田空港や東京駅、また観光地の浅草や上野周辺などは人通りが多くなり、新型コロナ蔓延以前ほどではないものの賑わいが戻りつつあります。

また、主要なビジネス街や飲食店が立ち並ぶ歓楽街にも徐々に人が戻り始めていることからも、いよいよ本格的に経済活動の再興が進むのではないかと期待せずにはいられません。

しかし、新型コロナウイルスは依然として世界中で猛威をふるっており、収束まではまだまだ長い道のりになることが予想されます。

そんな中で不安になるのが、やはり各企業単体の今後の経営についてではないでしょうか。

いくら日本全体の経済活動が再興への道のりを歩み始めたとしても、企業単体が抱える不安や心配を解消することに直結するとは限りません。

解消のためには、収益の増加や資金調達を進める必要があるのはもちろんです。

一方で、企業努力だけでは乗り越えきれないであろう、自然災害ともいえるこの苦境の中で経営を維持していくためには、経営者ご自身や従業員の方々が抱える不安や心配に対する向き合い方や考え方も重要になってくることを忘れるわけにはいきません。

そこで今回は、経営者の方にぜひ参考にしてほしい「企業がコロナウィルスによる不安と心配に立ち向かうための意識付け」についてご紹介していきます。

従業員の心身に対するケア

従業員の心身に対するケア

「そんなことは平常時の経営においても心がけている」と憤る経営者の方も多くいらっしゃるかと思いますが、今一度、従業員の心身に対するケアを見直してみてください。

従業員は企業の経営を下支えし、経済活動を活発化させる原動力であり宝です。

経営状況の改善には欠かせない収益の増加も、従業員の力なくしては見込めないという企業がほとんどではないでしょうか。

おそらく多くの従業員が、平常時と変わらず懸命に各々の業務に邁進されていることかと思いますが、今後に対する不安や心配を内に秘めているはずです。

また、その不安や心配によって精神的のみならず肉体的な疲労や不調を抱えているにもかかわらず、経営のピンチにおいて迷惑になるわけにはいかないと口に出すことなく日常を過ごしているかもしれません。

特に、経験や在籍期間が浅い新人の従業員は、「この非常事態の中でいつ自分が解雇対象となるか・・・」「真っ先に切られるのは力不足の自分かもしれない・・・」などという不安に駆られている可能性もあります。

ですので、この機会にこそぜひ、従業員に対して「会社にとっていかに必要な存在であるか」「経営の立て直しには不可欠な人材であること」を伝えてみましょう。

また、これまでは業務に支障をきたさないような軽い体調不良の申告があった場合など、少しでも従業員の肉体的な疲労がみられた場合は、休養や在宅勤務を進めるといった対応も必要です。

従業員ひとりひとりに対する何気ない心身のケアが、経営立て直しへ向けた企業全体の大きなモチベーションアップへと変わることも期待できます。

顧客や取引先との関係性維持

顧客や取引先との関係性維持

以前は頻繁に取引を交わしていた顧客や取引先とも、新型コロナの影響によって取引の機会がなくなり、すっかりやりとりが途絶えてしまっているという企業も多くあるのではないでしょうか。

「連絡をとったところで今は契約が難しいし、利益にはつながらないから・・・」という理由だけで、関係性をおろそかにしてしまうことは“もったいない”の一言に尽きます。

このような非常時だからこそ、今まで以上に顧客や取引先との関係性維持に努めていなければ、気づいた時には他社へと流れてしまっていたなどという事態に陥る可能性が増すばかりです。

連絡をしたからといって、なにも無理矢理に商談を交わそうとする必要はありません。顧客や取引先が置かれている現状をさりげなく聞いてみたり、近しい間柄であればプライベートに関する雑談を交えるのもよいでしょう。

取引が行えないからという理由で顧客や取引先との関係性を疎遠にすることなく維持し続けられれば、今まで以上に関係性が強化される可能性も高まるはずです。

内部成長に意識を向ける

内部成長に意識を向ける

新型コロナの蔓延によって経営が傾いた企業は、一部の業種を除けば、たちまちのV時回復を見込むことは困難であるといえます。

そのような状況下において勝算の見えないビジネスを仕掛けるには非常にリスクが高いため、売り上げやビジネス拠点を拡大するような外部成長を望むことは、経営をさらに悪化させる要因にもなりかねません。

そんな時だからこそ意識を向けてほしいのが内部成長です。

内部成長とは、組織の仕組みや商材の品質向上など、企業内の様々な資源や環境の強化を目指す戦略です。

もちろん従業員はもとより、経営者の知識やスキルの習得・発展も内部成長戦略のひとつです。

収益が不安定の中で、外部成長よりも内部成長に意識を向けることは、経営者にとっては不安が募る要因にもなりかねませんが、現状を企業全体の成長のチャンスであると前向きに捉えてみてください。

外部成長が見込めない今だからこそ、じっくりと企業力を高めておくことによって、いざ外部成長を図る際には、必ず大きな成果を生み出す力を発揮できるはずです。

新型コロナの収束が見通せない中、多くの経営者様が不安と心配を抱えていることでしょう。しかし、それは従業員のほか取引先や顧客も同じです。

縦にも横に拡がる不安や心配の中で新型コロナに立ち向かうためにも、まずは重要な経営資源である従業員に対するケアや外部との関係性の維持、そして企業全体の企業力強化に努められるような意識付けを心がけてみてはいかがでしょうか。