「都市銀行」「地方銀行」「信用金庫」その違いと、融資先を選ぶ上でのポイント
「まとまった資金を調達したい」「信頼のおける金融機関から融資を受けたい」などと考えるのであれば、やはり銀行や信用金庫といった金融機関を選びたいものです。
金融機関からの融資を検討した場合、皆さんは何を基準にして融資先を選ぶでしょうか。
ビジネスローンやフリーキャッシングといったノンバンク系の融資は、審査も簡易的で即日対応が可能な場合が多いため緊急の資金調達には向いていますが、借り入れの限度額が少なかったり信頼性に欠けるといったデメリットがあるため、あまり利用はしたくないと考えている経営者の方も多いことでしょう。
では、銀行や信用金庫にはどのような違いがあり、またどの金融機関で借入れをおこなうべきであるのか。
それぞれの概要を確認しながら、最適な借入れ先を選びましょう。
ここでいう融資とは、各金融機関が独自で貸付けを行うプロパー融資を指します。
まずはそれぞれの金融機関の概要をみていきましょう。
都市銀行
いわゆる3大メガバンクと呼ばれる「三菱UFJ銀行」、「みずほ銀行」、「三井住友銀行」に「りそな銀行」と「埼玉りそな銀行」を加えた5行を指します。
大都市圏に本支店を構える巨大規模の銀行であり、主に大企業を相手にした大口の融資を行います。
地方銀行
上記の5つの都市銀行を除いた銀行で、「第一地銀」と「第二地銀」の2種類があります。
「第一地銀」とは、一般社団法人全国地方銀行協会の会員である銀行です。
「横浜銀行」や「京都銀行」など、北海道や東京都など一部をのぞき、本店所在府県において最大規模の金融機関であり、その数は64行。
このうち、福岡県には4行、静岡県には3行あり、2行ずつ存在するのは、青森県、岩手県、秋田県、山形県、茨城県、千葉県、新潟県、富山県、岐阜県、三重県、大阪府、長崎県及び沖縄県の13府県です。
「第二地銀」とは、一般社団法人第二地方銀行協会の会員である銀行のこと。
大半が、中小企業などを対象に相互掛金を行っていた相互銀行や、信用金庫から転換した銀行であり、営業基盤が地方である点は「第一地銀」と変わりありません。
大規模な利益を追求する都市銀行とは異なり、地域に根ざした経営を心がけているのが特徴なので、地方に本社をおく中小企業にとっては融資の強い味方となる存在です。
また、地方銀行だからといって利用できる地域が制限されるわけではなく、他県に本社をおく地方銀行に融資を申し込むことも可能です。
信用金庫
業務の内容に関していえば銀行とほとんど変わりはありませんが、信用金庫は営利追求型である株式会社形態の銀行とは異なり非営利法人です。
主に、地域の企業や住民の中から会員や組合員を募り、そこから得られる出資金によって運営されています。
その性質から、地方銀行と同じように地域に根ざした金融機関であり、地方の中小企業にとっては融資を受けやすい金融機関といえます。
ただ、どんな企業も無条件に融資の申請ができるわけではなく、信用金庫を利用するには会員や組合員となるのが条件であり、出資金が必要となります。
出資金の額は最低でも10,000円程度がボーダーライン。会員には出資金の額に応じた配当金が支払われますが、仮に追加融資が必要な経営状況に陥ったとしても、問題なく支払われます。
どの金融機関で融資を受けるべきか
さて、「都市銀行」「地方銀行」「信用金庫」の3つの金融機関の概要について説明しましたが、実際に融資を受ける際の判断基準はどこなのでしょうか。
考慮にいれるポイントは、自社の企業規模です。
「都市銀行」は、低い金利で莫大な資金を調達することも可能なほか、保険や投資といった融資以外の金融商品の品揃えも多いため、融資を受けられれば、様々な面でのサポートも追加で期待できます。
また、行員の金融に関する知識レベルも高く、常に世界規模の金融市場に向けたアンテナを張り巡らせているため、地域に根ざす地方銀行や信用金庫とは違い、グローバルな視点での幅広い情報提供も期待できるでしょう。
ただし、「都市銀行」で融資を受けるために必要な年商の目安はおよそ10億円以上ともいわれているため、中小の零細企業や創業間もない企業にとっては高いハードルとなります。
年商がそれ以下であっても、早々の額の利益を着実に上げ続けられる企業であれば融資審査に通過できる可能性もなくはありませんが、いずれにせよ困難であることに変わりありません。
「地方銀行」や「信用金庫」の融資を受けるためにも、年商がひとつの基準となることには変わりありませんが、「都市銀行」に比べればハードルが下がるのは確かです。
具体的には、「地方銀行」の融資を受けるための年商目安はおよそ3億円。
それ以下であれば信用金庫を利用するのがおすすめです。
特に「信用金庫」は地域密着型という特性を活かして、中小の零細企業や個人に対するサポート体制に尽力しているため、1,000万円以内の融資であれば比較的、柔軟に応じてもらえる可能性が高まります。
銀行の貸し出し額に比べると格段に下がりはしますが、融資審査に関しても「数字」だけに重点は置かず、経営者個人の人格や資産状況、企業の将来性なども判断材料にいれられるため、十分な年商の見込みがなくても融資を受けられるチャンスは高まるといってよいでしょう。