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失敗しない税務会計!後悔しないために意識したいたった3つのポイント

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売上や利益の最大化といった成長を目指す会社にとって避けられない義務といえば納税。そして、正しく納税を行うために必須となる会計処理が税務会計です。
会社にとって、納税と税務会計は連携した行いであり、どちらも適切な処理を通じて誤りのないように進めなければなりません。
しかし、会計業務が苦手分野である経営者は、誤った認識や勘違いをしたままこの税務会計に向き合ってしまう場合が多く、納税後に後悔してしまうといった人も少なくないようです。
そこで今回は、税務会計とは具体的にどのような会計処理であるかを解説するとともに、失敗や後悔を避けるうえで意識しておきたいポイントを3つ紹介します。

「制度会計」と「管理会計」

税務会計の基本的な概要

そもそも、会社における会計処理の種類は大きくわけて「制度会計」と「管理会計」のふたつがあります。
このうち、「制度会計」は外部への報告を目的に行う会計処理。一方の「管理会計」は、会社内部での経営判断を目的として行われます。
「管理会計」は、会社内部での閲覧が目的という性質に限られるため、実行の判断は任意ですが、「制度会計」については、外部への報告を目的としているため、原則として必ず行わなければなりません。
税務会計は、その「制度会計」に含まれる会計処理の種類です。
ちなみに「制度会計」には、ほかにも財務会計がありますが、こちらは株主をはじめ金融機関や投資家といった経営に関係する外部に対して、財務状況と業績を報告する目的で行う会計処理。たとえば、金融機関が融資の可否を決定する際に財務状況を把握するうえで必要になる財務諸表などは財務会計として作成する書類となります。

税務会計の基本的な概要

税務会計の基本的な概要

さて、ここからは税務会計についての基本的な概要を解説します。
前述のとおり、税務会計は正しく納税を行うために必須となる会計処理。国や地方自治体に収める税金額を、所得税法や法人税法といった法律に基づいて算出します。
もう少し細かく説明すると、まずは「日々、帳簿をつける」「帳簿の記載内容をもとにして、税金の計算や申告書を作成する」そして「税効果会計として処理する」という主に3つの手順になっています。
ただし、会計上の利益と税務上の課税所得を調整する手続きである税効果会計については、財務会計と税務会計の内容に不一致が生じがちな大企業に求められるものであるため、中小企業は省略されるケースがほとんどです。
したがって、規模に関係なく会社に求められる税務会計は「日々、帳簿をつける」「帳簿の記載内容をもとにして、税金の計算や申告書を作成する」という2つの処理ということになります。
税務会計で求められることは、何よりも法律を遵守したうえでの正確な税金額の算出と申告。2つの処理というシンプルな手順ではありますが、それらを細分化すれば複雑なものとなりますので、万が一、法律から逸脱した計算や申告がされれば、経済的な損失はもちろん、法的なトラブルによって社会的信用の失墜にもつながりかねません。
同じ「制度会計」である財務会計でのミスについては、金融機関や投資家からの信用を損ねるものの、重い罰則を受けることはまずありません。これに対し、税務会計のミスは納税のミスにも直結するもの。つまり、納税義務を疎かにするという結果を生み出すと同時に重い罰則を受ける可能性があることを忘れないようにしましょう。

失敗や後悔を避けるうえで意識しておきたいポイント

失敗や後悔を避けるうえで意識しておきたいポイント

では、税務会計を実施するにあたって意識するべきポイントには、どのようなものが挙げられるのでしょうか。失敗や後悔を避けるためにも、以下のポイントを意識するようにしましょう。

1 法遵守と節税のバランスを適度に保つ

会社にとって、節税対策は利益を確保するうえでは欠かせない対策のひとつです。
しかし、あまりにも過度な節税対策は、どれだけ正しく税務会計の手順を踏んでいたとしても、結果的に脱税を疑われかねません。
節税は法的にも認められた行為であるとはいえ、節度を守ることが大切。法遵守と節税のバランスを正しく把握した処理を行うようにしましょう。

2 税制改正は必ず確認する

税務会計で遵守が求められる税制については、基本的に1年に一回のペースで改正されます。
もちろん毎年のように、税務会計に関する改正が含まれるとは言い切れませんが、改正内容の確認を怠ると、思わぬ計算ミスや申告ミスが生じる可能性があります。
納税義務を負う立場であることを自覚して、必ず税制改正を意識するようにしてください。

3 法人税などの申告時期を正しく把握する

会社は法人税をはじめとして、消費税や法人事業税、法人住民税などの税金を納めなければなりませんが、これらの申告時期や納付時期は正しく把握しておかなければなりません。
これは、遅延による重加算税などの措置を回避するためだけでなく、納付が厳しい場合などにおいて、法律で認められる期間の延長を申し出る際にも必須の知識となります。