経営者の方であれば、「経営者交流会」または「異業種交流会」と名のつく会に一度は参加した経験があるかもしれません。
こういった会に参加することにより、普段のビジネスでは関わることのない様々な業種の経営者や専門家との交流を通じて、新たなビジネスパートナーの獲得だけでなく、自身の価値観や創造性のブラッシュアップにも期待できるものです。
また、他社の経営スタイルや将来的なビジョンをうかがい知ることによって、現状で抱えている社内の課題や障害の解決策を見出だせる可能性なども考えられるでしょう。
よく「経営者は孤独との戦い」などということが言われますが、経営者としての苦悩や葛藤、そして喜びまでを共有することによって「孤独からの解放」を感じられる場でもあるかもしれません。
このように、「経営者交流会」や「異業種交流会」に参加できれば、数多くのメリットが得られるものですが、一方で、参加する目的や姿勢が曖昧だと、メリットが得られないどころか、他の参加者からのイメージ悪化を招く結果になる恐れもあります。
では、「経営者交流会」や「異業種交流会」の参加を有意義にするためには、どのようなポイントを意識するべきなのでしょうか。
目次
経営者交流会と異業種交流会の違いとは
SNSやメルマガなどで、「経営者交流会開催」や「異業種交流会参加者募集」といった投稿やメッセージを目にすることがよくあるかと思います。
これらの会にすでに参加した経験がある方であれば、さほど気に留めるようなことではないかもしれませんが、参加経験のない方からすれば、「経営者交流会と異業種交流会に違いはあるのか」と疑問に思うことがあるかもしれません。
これらの名称には特に定義が存在するわけではありませんが、経営者交流会は、読んで字のごとく原則として「経営者のみ」が参加できる交流会です。
それぞれの会によって参加条件は様々ですが、法人や個人事業主といった事業形態や業種は問わないものもあれば、法人限定や個人事業主限定、士業限定といったものもあります。
一方の異業種交流会には、経営者はもちろん、一般のサラリーマンやフリーランスなど、社会人であれば役職や雇用形態などを問わず参加できる会も存在します。
経営者交流会とは異なり、あらゆるビジネスマンが集う会であることが多く、他業種の経営者とサラリーマンなど、普段は接点のない者同士が交流を図れる貴重な場ともいえます。
中には、起業を考えるサラリーマンが先輩起業家にアドバイスを求めるといったシーンもよく見られます。
参加によって得られるメリット
「経営者交流会」や「異業種交流会」に参加することによって得られる最大のメリットといえば、やはり業種を超えた出会いや交流ができることでしょう。
普段の業務をこなしていく中では、どうしても同業者同士の交流に終始しがちになってしまうこともありますが、こういった会に参加できれば他業種の経営者や専門家などとの交流も図れるため、これまで知り得なかった情報のインプットや最先端の技術を学ぶ機会になります。
また、それぞれの経営哲学や経営理念などについて語り合うことによって価値観や思想のブラッシュアップにつながり、経営者として、ひいては人間としての成長を促すきっかけにもなるはずです。
もう一つのメリットを上げるとすれば、新たなビジネスパートナーの獲得に期待できるという点ではないでしょうか。
普段の商談の場に比べると、はるかにリラックスした状態で臨めるかと思いますので、肩の力を抜いて自社の事業をアピールすることができるでしょう。
実際に、「経営者交流会」や「異業種交流会」の参加を通じて、直接的な新規契約を獲得するだけでなく、見込み客の紹介を受けたり、ともに新規事業を立ち上げたりといったケースはよくみられ、経営者の中にはこれらの会への参加を最高のビジネスチャンスと捉えている方もいるようです。
「経営者交流会」や「異業種交流会」の参加を有意義にするポイント
いくつものメリットが考えられる「経営者交流会」や「異業種交流会」への参加。
ただし、「なんとなく参加するだけ」「手当たり次第に名刺を配るだけ」というような参加の仕方では、メリットを得られることなく、ただただ時間の無駄に終わってしまうなんてことも珍しくありません。
ここからは、「経営者交流会」や「異業種交流会」への参加を有意義にするために意識しておいてほしいポイントについて紹介していきます。
・参加する目的をしっかりと決めておく
「なぜ参加するのか」、「参加してどんな収穫を得たいのか」など、参加する目的を決めておかなければ、ぎこちない振る舞いが続いたり、時間を持て余してしまうようなことにもなりかねません。
具体的には、「少なくとも5業種の経営者から話を聞いてみたい」、「現在考案中の新規事業のパートナーを探す、または意見をうかがう」など、事前に細かく目的を設定しておけば、自然と頭も体も積極的に働くはずです。
ただし、目的とはいっても「異性と出会いたい」、「個人的にお金を借り入れたい」など、まるでビジネスには関係のないような不純な気持ちで参加することは、真剣な気持ちで参加している他の参加者からすれば不快極まりない行為ですので、絶対に控えなければなりません。
・コミュニケーションは朗らか丁寧に
商談の場でも同じことが言えますが、「経営者交流会」や「異業種交流会」でも第一印象は非常に重要です。
ですので、参加者と会話をする際には、暗い表情や聞こえるか聞こえないか分からないようなボソボソとした口調は避け、朗らかな表情とはっきりとした口調、それに丁寧な姿勢で臨みましょう。
また、「資金繰りに不安を抱えている」「利益の低下が続いている」といったようなネガティブな話題を持ち出すことも、なるべく控えたいところです。
経営者交流会や異業種交流会で多くの人脈を築くため、さらには得られた人脈を長く維持するためにも、明るく前向きな人物であることを積極的にアピールし、第一印象からポジティブな関係性を築ける可能性を感じとってもらえるよう振る舞うことが大切です。
・ビジネスだけでなく人柄のアピールも忘れない
「経営者交流会」や「異業種交流会」はビジネス関連の交流の場ですので、会話においても、ついビジネスに関する話題ばかりに意識を集中してしまいがちです。
ですが、もしかすると相手からすればそのビジネスに興味をひかれず退屈に思われてしまうかもしれません。
また、ビジネスには興味を持てるものの、人柄が分からないために信頼を置けるか不安なまま会話が終了してしまうなんてこともあるでしょう。
ですので、ビジネス関連の話題とともに自身の人柄が伝わるような話題の会話を交わすことも忘れないようにしたいものです。
たとえば、趣味や特技、プライベートでの活動についての話題など。
もちろんわざわざ話を強引に遮ってまで、そういった話題に切り替えようとするのは厳禁です。
うまく会話の流れを読み、ふと途切れた瞬間にさりげなく趣味をうかがい、その答えに応じながら徐々に自身の話をしていくといった対応がベストです。
互いの人柄を認識し合い、そこから意気投合してビジネスに発展するケースはとてもよくみられますので、ビジネス以外の話題も積極的に交わせるよう心がけるようにしましょう。
・強引なアピールや売り込みは厳禁
「経営者交流会」や「異業種交流会」に参加するメリットのひとつとして、新たなビジネスパートナーの獲得や、商品やサービスの新規契約に期待できることを挙げましたが、それらを達成するために強引にアピールしたり、売り込んだりする行為は避けなければなりません。
どんなに魅力のある商品やサービス、新たな事業の提案であっても、強引に迫られると、それだけで相手はゲンナリとし、聞く耳を持ちたくないと感じるものです。
もちろん、その場で事業や人柄を気に入られ、すぐさま何らかの約束を取り付けられることもあるでしょう。
しかし、そのようなケースはそう多いものではありません。
あくまでも可能性のある人脈としての関係性を築いた上で、互いの考えやビジョンを熟成させていくなど、焦ることなくじっくりと時間をかけてビジネスに発展させていくことが求められます。
・交流会後のお礼メールは控えめに
名刺を交換した相手には、なるべく早めにメールでお礼の気持ちを伝えましょう。
ただし、お礼メールはなるべく控えめにシンプルな内容に止めるようにしてください。
具体的な話が進んだわけでもないのに、「コミュニケーションをたくさん取れた」、「商品やサービス、事業に関心を持ってくれていた」などと思い込んで、お礼とともに売り込んだり、いきなり商談日時を提案するような内容を添えると、相手は不快に感じるとともに、せっかく築きかけた人脈も台無しにしてしまう恐れもあります。
まとめ
今回は、経営者交流会や異業種交流会への参加を有意義にするためのポイントを中心にご紹介しました。
経営者交流会も異業種交流会もシビアな商談の場ではありませんので、まずは難しいことは考えることなく、リラッスクスして臨むことを心がけましょう。
そして「目的をしっかりと持つ」「明るくポジティブに振る舞う」「人柄も伝える」「強引なアピールや売り込みは避ける」という4つのポイントを意識するだけでも、自身だけでなく他の参加者も有意義な時間を過ごすことができ、良好で将来性のある人脈形成にも期待が持てるはずです。