経営者・社長

中途採用した際に生じがちな問題を回避するために効果的な策とは?

少子化に伴う労働人口の減少に対する対応や、急速な変化を遂げるビジネス環境への素早い適応を望み、昨今では新卒採用よりも中途採用に注力する企業が多いようです。

また、停滞気味となった企業の成長を加速させるべく、経験豊富な即戦力の確保を目指す企業も少なくありません。

このような傾向は、売り手市場が続く大手企業はもとより、従業員数が300人未満の中小企業でも顕著にみられています。

中途採用の大きなメリットとして考えられるのは、これまでに培った能力や知識を活かして採用後からすぐに実務での活躍が期待できるほか、たとえ実務経験がなくても社会経験さえあれば、新卒採用者よりも早くビジネス環境に順応できる可能性が高いと考えられる点です。

しかし、一方ではそのような期待の高さとは裏腹に、経験者でありながら実際に採用してみると思ったほどの活躍ができなかったり、面接時には申告のなかった事情が発覚してトラブルの寸前にまで至るといった問題に頭を抱える採用担当者も少なくないようです。

採用活動に費やす時間やコストを無駄にしないためにも、なるべくそういった問題の発生は抑えたいところですが、未然に回避できる策はあるのでしょうか。

実際に入社させなければ本当の実力も人柄もわからない

実際に入社させなければ本当の実力も人柄もわからないとある企業の人事担当者が「新卒採用や中途採用を問わず、採用活動は結局のところ、運任せな面もある」と話していたのを耳にしたことがあります。

確かに、どれだけ同じ業界で経験や実績を培っていたとしても、企業によって社風や方向性は異なるものですので、必ずしも期待通りの活躍をみせてくれるとは限らないでしょう。

同様に、鳴り物入りで入社入りしたにもかかわらず、新しい環境に馴染めなかったり、自身の流儀や哲学を柔軟化できずに、早期離職してしまう中途入社者も多いものと思われます。

やはり、前出の人事担当者が話した通り、採用活動は運任せ。つまり、実際に入社させてみなければ本当の実力や人柄を把握するのが難しいのは確かだといえます。

ただ、時間とコストを費やして採用活動を行う以上は、可能な限り自社にフィットして、なおかつ自社の成長を促進するような高い成果をあげる人材を確保しなければなりません。

また、採用後に何らかの事情が発覚して早期退職を求めざるを得なくなったり、社員の士気を低下させてしまうようなことも避けたいところです。

ここからは、中途採用後に生じがちないくつかの問題点を挙げながら、それぞれの回避策について考えていきたいと思います。

実務経験や実績がありながら期待通りの成果が上げられない

実務経験や実績がありながら期待通りの成果が上げられない同業界で、または関連する業務での実務経験や実績を培った人材の確保は、中途採用における最大の目的でもあるでしょう。

ところが、いざ採用してみると思ったように成果は上がらないどころか、実務に関する技術や知識も曖昧で作業スピードも遅いなどというケースはよくあるものです。

もちろん、誰もが新しい環境に慣れるまでには時間を要するものですから、1、2ヶ月ほどは許容範囲内ともいえますが、それが1年、1年半と続けばさすがに我慢の限界だといえます。

このようなケースの回避策のひとつとして考えられるのが、採用試験の一環として簡単な実務テストや専門用語のテストなどを実施してみることです。

たとえばデザイン職であれば、DTPソフトを利用してもらっての作品作りやラフ画の作成など、また営業職であれば営業資料の作成といったように、実際に自社で取り扱う案件に類似した案件を設定して実施すれば、実力が自社にフィットするか否かを測ることができます。

また、作業スピードを測りたい場合であれば、来社してもらい面接と併せて実施するのも効果的でしょう。

ワンマンプレーに走る可能性もある大型新人

ワンマンプレーに走る可能性もある大型新人期待度が非常に高い大型新人は、自身の高い能力や実績、そしてそれに伴う自信から、時に自らの考えや意思だけに基づいた行動を取ろうとすることが多い傾向にあります。

しかし、どれだけ高い貢献度が期待できたとしても、会社という組織に所属する以上は、ワンマンプレーは許容できるものではないでしょう。

それでも、企業としてはそれほどの優秀な人材であるのであれば、是が非でも確保したいと思うのも事実。

そこで、面接時や雇用契約時などに、しっかりと自社の流儀や哲学、社風や方向性などを事細かく伝えるように心がけ、さらにそれらに対して共有や受容が可能かどうかの確認は必須だといえます。

無申告であった事情が入社後に発覚する

無申告であった事情が入社後に発覚する面接時には健康面に問題はないと話していたにもかかわらず、入社後に持病が発覚する。

また、こちらも無申告であったにもかかわらず、家族の介護が必要であるとの理由から頻繁に早退や欠勤の申請を繰り返す。

これらは、中途採用後の問題としてよくみられるケースであり、なおかつ非常に対応の難しい問題でもあります。

昨今では、社会全体で多様な働き方が求められていることもあり、福利厚生として通院はもちろん、介護や育児のための特別休暇を認める企業も多くありますが、このケースで最も大きな問題は「虚偽の申告」があったことです。

入社希望者としても、もしも持病などの特別な事情が発覚すれば採用試験の合否に影響があると考えるため、申告は控えたいと考えるのも無理はありません。

しかし、虚偽の申告を通したままの中途入社者を迎え入れることによって、社員の士気にも影響を与える可能性があるほか、社内全体としての心構えも出来ておらず、対応の準備にも時間を要してしまうことも考えられます。

ですので、そういった事情を受容できるような福利厚生をはじめとする体制を整えているようであれば、面接開始前に伝えて入社希望者が申告しやすい空気をつくる。

そのほか、仮に入社後に虚偽の申告が発覚した際には、採用の取り消しなど、 でしょう。