中小企業の事業主の皆さんは、どのような手段で資金調達をされていますか?
株主からの出資はもちろん、銀行からの融資やノンバンクのビジネスローン、ファクタリングのほか、最近ではインターネット上で資金を募るファンディングも話題になっています。
ビジネスの世界には、あらゆる資金調達法が存在しますが、中でも忘れてはならないのが補助金・助成金です。
補助金・助成金は、返済のリスクが生じないだけでなく、出資元も国や地方公共団体といった信頼の置ける機関であるため、事業主の皆さんにはぜひとも活用してほしい制度です。
しかし、補助金・助成金はいつでも公募されているわけではありません。
基本的に、助成金は4月の新年度に改訂があり、補助金は1年の間に様々なタイミングで公募が開始されます。
したがって、公募の開始時期をこまめにチェックしておかなければ、せっかくの返済不要な資金の調達チャンスを逃してしまうことになりかねません。
そこで今回は、2020年に公募が開始、または予想されている代表的な補助金と助成金をご紹介します。2月時点では正式な公表が未だされていないものもありますので、自社に関係性の高い補助金や助成金に目星をつけておき、公募のタイミングを逃さないよう、各機関の公表に注視しておきましょう。
目次
2020年に活用すべき補助金・助成金
2019年12月13日に公表された経済産業省資料によると、中小企業生産性革命事業の予算として3600億円が計上されました。これにより、2020年から3年間にわたって「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT補助金」の実施が予定されています。
【補助金】
補助金を所轄するのは主に経済産業省です。申請すればすべての事業者が受給できるわけではなく、受給要件を満たしている場合も審査が必要となります。
補助金は、新商品やサービスの開発、それに伴う設備の導入や改良といった事業の発展を目指す企業の支援を目的に資金を支給される制度です。
受給可能な枠が制限されているため、公募が開始されたら早めに申請することが確実な受給への一歩となります。
ものづくり補助金
2020年に交付が予定されている補助金のなかで最も注目度が高いのが「ものづくり補助金」です。
「ものづくり補助金」とは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称で、新商品やサービスの新規開発や生産プロセス改善などのための設備投資を目的とした補助金です。
「ものづくり補助金」の概要・条件は以下の通りです。
補助対象者 | 中小企業・小規模事業者等 |
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上限額 | 下限は100万円 一般型(新商品やサービス開発のための設備投資・試作開発など) 1,000万円 グローバル展開型(海外事業の拡大や強化、それにともなう設備投資など) 3,000万円 ビジネスモデル構築型(中小企業30者以上のビジネスモデル構築・事業計画策定にための面的支援) 1億円 |
補助率 | 原則として補助対象経費の1/2 一般型・グローバル型に応募の小規模事業者は2/3 |
補助対象経費 | 主に機械装置費(ソフトウェアも含む)の設備投資 |
申請方法 | ミラサポ 補助金申請システム(Jグランツ)を使用 |
公募開始 | 3月(予定) |
小規模事業者持続化補助金
業務の効率化と利益の拡大を図ることで事業を持続させるとともに、地域の発展を目指す小規模事業者を支援することを目的に支給される補助金です。ホームページ作成や決済・会計ツールの導入などに役立てられます。
「小規模事業者持続化補助金」の概要・条件は以下の通りです。
補助対象者 | 小規模事業者等 |
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上限額 | 50万円まで |
補助率 | 原則として補助対象経費の2/3以下 共同申請(補助上限額×事業者数)可 |
補助対象経費 | 賃料・広報費・機械装置費など |
申請方法 | 日本商工会議所 |
公募開始 | 3月(予定) |
IT導入補助金
2017年に支給が開始された、比較的新しい補助金がIT補助金です。
IT補助金は、経済産業省によって提供される補助金であり、中小企業のソフトウェア導入やクラウドの活用といったITツールの導入を支援します。
補助対象者 | 中小企業・小規模事業者等 |
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上限額 | 30万円〜450万円 |
補助率 | 補助対象経費の1/3以下 |
補助対象経費 | 事前登録されたソフトウェア、サービス導入費。ハードウェアは対象外 |
申請方法 | 一般社団法人 サービスデザイン推進協議会(2019年度 |
公募開始 | 4月(予定) |
【助成金】
対する助成金を所轄するのは主に厚生労働省です。補助金とは対照的に、
基本的には公募期間中に申請し、条件を満たしていれば受給が可能です。
助成金は、非正規雇用者の正社員化や人材の育成などの雇用に関する課題解決を目指す事業主に支給される制度です。
現時点では、来年度の助成金は正式に発表されてはいませんが、厚生労働省が発表した「令和2年度予算概算要求のポイント」によると、前年度の309億円から16%アップした359億円の予算が要求されています。
したがって、時間外労働の削減をはじめとした働き方改革を積極的に進める企業への助成金が、前年度よりも拡充されることが期待されます。
中でも注目されるのが、時間外労働等改善助成金から名称変更される予定の「働き方改革推進支援助成金(仮称)」です。
支給要件や助成額は以下の通りです(予想)
働き方改革推進支援助成金(仮称)
労働時間短縮・年休促進支援コース
労働時間の短縮や生産性向上に役立つ設備や機器の導入などを支援
支給要件 | 「36協定」の月の時間外労働時間数の削減 所定休日の増加 特別休暇の整備 時間単位の年休の整備 |
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助成額 | 上限250万円 助成率3/4 従業員が30人以下で、経費が30万円を超える場合は4/5 |
勤務間インターバル導入コース
時間外労働時間削減を目的としたインターバル制度の導入
支給要件 | 労働時間短縮 年休促進支援コースと同じ取り組みを行った上で、9時間以上のインターバル制度を導入 |
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助成額 | 11時間以上で100万円 9時間以上11時間未満で80万円 |
補助金も助成金も現時点では未公表のものが多く、それぞれ3月〜4月頃に全容順次公表されるものと思われます。
特に高額の資金を調達できる可能性が高い補助金は人気が高く、一定の申請数に達すると締め切られるため、経産省のホームページをこまめにチェックするなどして申請に備えるようにしましょう。