税金

経営者の社用車はなぜ中古の高級車が良いのかをわかりやすく解説

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社用車の購入代金を経費として計上できることは、経営者であればすでに多くの方がご存知かと思います。
従業員が日々活用する営業車であればまだしも、経営者自身が乗るのなら、せっかくであれば高級車を購入したいと考える人も多いことでしょう。
では、社用車は新車で購入するべきなのでしょうか。それとも中古車を購入するべきなのでしょうか。
様々な価値観があるため、その答えを一元化することはできませんが、経費計上という観点のみで考えれば、中古車、それも「4年落ち」の中古車を購入することがひとつの答えとなります。
さらに、会社の売上に応じて、なるべく高額となる「4年落ち」の高級車を購入したほうが、経費計上の面において高い効果を発揮するのです。
今回は、なぜ社用車として購入するのであれば「4年落ち」の高級車を購入すべきなのか。その理由を解説します。

車の購入代金の経費計上においてポイントとなる減価償却

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社用車の購入代金を経費計上する上でポイントとなるのが、減価償却という税制上のルールです。
減価償却とは、法人や個人事業主を問わず、事業を行う団体や個人が固定資産といった設備投資などの高額な費用を一定期間に分けて経費計上しなければならないという会計処理上の決まりであり、その配分は各資産の「耐用年数」に応じ決められるのが原則です。
社用車の購入代金を経費に計上する上では、普通自動車か軽自動車かによって耐用年数が異なります。

<普通自動車の耐用年数>
新車 6年
中古車1年経過 5年
中古車2年経過 4年
中古車3年経過 3年
中古車4年経過 2年
中古車5年経過 2年
中古車6年経過 2年

<軽自動車の耐用年数>
新車 4年
中古車1年経過 3年
中古車2年以上経過 2年

なお、中古車の耐用年数は新車の耐用年数を基準にし、下記の計算式で求められることになります。また、計算結果が2年以内となる場合、耐用年数はすべて2年となります。
中古車の耐用年数=(法定耐用年数−経過年数)+(経過年数×0.2)

減価償却費の求め方

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それでは、この耐用年数を基に減価償却費を求めてみましょう。
減価償却費を求める計算式は以下の通りです。

「所得金額×償却率」

ここに関わる「償却率」とは、耐用年数に応じて算出される数値となりますが、これは「定額法」と「定率法」の2つの方法があります。

・ 定額法
定額法は、同じ金額を毎年減価償却していく方法です。

計算方法は「1÷耐用年数」
つまり新車の普通自動車を購入した場合の減価償却率は

1÷6(耐用年数)=0.167

新車の軽自動車を購入した場合の減価償却率は

1÷4=0.25 となります。

・ 定率法
もうひとつの方法である定率法は、資産の残存価値に対し、一定の割合で減価償却する方法です。したがって、年数が経過していくごとに減価償却費が減っていくことになります。
計算方法は「未償却残高(取得価額−期首までの償却累計額)×定率法の償却率」

500万円の普通車(新車)と130万円軽自動車(新車)の比較

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では、500万円の普通自動車(新車)を購入した場合と、130万円の軽自動車(新車)を購入した場合について、「定額法」に基づいた減価償却額を比較してみましょう。

「500万円の普通車新車(新車)」
500万×0.167(耐用年数6年)=835,000

「130万円の軽自動車(新車)」
130万×0.25(耐用年数4年)=325,000

500万円の普通自動車(新車)を購入した場合は6年間、毎年835,000円、130万円の軽自動車(新車)を購入した場合は4年間、毎年32,5000円を経費として経費として計上することが可能になります。

500万円の普通車(新車)と500万円の普通車(4年落ち中古)の比較

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続いて、500万円の普通自動車(新車)と、同じく500万円ですが4年落ちの普通自動車(中古)の場合を比較してみましょう。

「500万円の普通車新車(新車)」
500万×0.167(耐用年数6年)=835,000

「4年落ちで500万円の普通車新車(中古)」
500万×0.5(耐用年数2年)=2,500,000

500万円の普通車(新車)を購入した場合は6年間、毎年835,000円に対し、同じく500万円ながら4年落ちの普通車(中古)を購入すると、2,500,000万円を2年に分けて経費計上できるという計算になります。

「4年落ち」高級車の購入が有利な理由

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ただし、税法上においては「耐用年数2年の資産は1年で償却可能」という決まりが定められています。つまり、購入代金である500万円を1年間で丸々、経費として計上することができるわけです。
また、普通車の場合、「4年落ち」以降の中古車であれば、5年落ちでも6年落ちでも、耐用年数は同じ2年です。
したがって、車の耐久性を考慮に入れれば「4年落ち」の中古車購入が経費計上の面において最も有利になるということがいえます。

まとめ

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中古車であれば、新車と同じ価格でそれ以上にグレードの高い高級車を購入できる可能性が高い上、4年落ち以上であれば1年で購入代金を減価償却できる。
これが、社用車として購入するのであれば「4年落ち」の高級車を購入すべき理由となります。
一方、社用車として中古車を購入し、購入代金を一度で減価償却するためにはおさえておきたい注意点もあります。
ひとつは「決算期の翌月に購入すること」です。
減価償却費は、該当の資産を使用する期間に応じた分を経費計上できるという決まりがあります。したがって、購入代金の全額を経費として計上するには、決算月の翌月末日までに購入かつ使用を開始しておかなければなりません。
もうひとつは「ローンでの購入時は仕訳が異なる」という点です。
ローンで購入した場合は、月々に支払う元本は減価償却で処理し、支払い利息は経費計上するという2つの仕訳が必要になることを念頭においておきましょう。