皆さんの会社では、従業員の定着率は高い方ですか?
それとも、1〜2年で退職してしまうようなケースが多いでしょうか?
せっかく時間とお金をかけて新たに従業員を雇い入れても、会社への貢献度が低いままわずかな期間で退職されてしまっては、採用活動も水の泡。
会社側からすれば、「期待していたのに」だとか「もっと忍耐力のある人材が欲しい」といったような不満が出るのも無理はないでしょう。
しかし、一方の退職した従業員側からしてみれば、会社に対して「この会社には在籍していたくない」と思えるような実態があり、不満や不信感を募らせてしまった結果なのかもしれません。
もちろん、従業員が実際に業務に触れる中で、「自分がイメージしていた業務や事業とは違った」などと感じ、退職を決断する場合もあるかと思います。
けれど、従業員が早期に退職を決断する理由には、会社側の環境や体制が挙げられるケースが多いのが事実です。
では、従業員の早期退職が多くみられる会社にはどのような特徴があるのでしょうか。
目次
優秀な人の流出が多い
ひとつめは「優秀な人の流出が多い」という特徴です。
仕事をバリバリとこなし、会社の業績に大きく貢献する。
そんな優秀な人材が、どのような業種の企業においても1人はいるはずです。
新入社員としては、そういった優秀な人に憧れを持ち目標にしていこうと考えることでしょう。
しかし、入社からわずかな期間で目標に掲げた優秀な人が退職してしまったら、新入社員は途端に不安を感じることになります。
さらに優秀な人が2人、3人と次々に退職していくようなケースとなれば、今度は不安から会社に対する不信感に変わる可能性もあるわけです。
当然ながら、その優秀な人たちは以前から退職を考えており、たまたま入社時期が重なってしまったということも考えられますし、退職理由のすべてがネガティブなものではないかもしれません。
しかし、新入社員からすれば、「それだけ多くの優秀な人が流出していくのには、会社側に何らかの問題があるのではないか」などと訝しむことにつながり、結果として早期での退職を検討するといったことにもなりかねないといえます。
優秀な人が会社に対する不満や愚痴を頻繁に漏らす
前項では、「優秀な人の度重なる流出」を挙げましたが、今度は優秀な人が在籍を続けているものの、会社に対する不満や愚痴を頻繁に漏らすというケースです。
もしかすると、その人は新入社員をリラックスさせようと、軽い雑談のつもりで会社の不満や愚痴を漏らしているのかもしれませんが、それが毎日のように繰り返されるようなことになれば、新入社員としてはやはり会社に対してネガティブな印象を持つことになりかねないでしょう。
ましてや優秀な人は、新入社員から目標にされ信頼を置ける存在でもありますので、そのような人から聞かされる愚痴や不満であればなおさら真に受けてしまうはずです。
教えを乞う相手がいなくなる
入社時は先輩社員が在籍しており、業務に関する質問や教えを乞うことができたものの、そこから早い段階で先輩社員たちが退職し、入社からわずか数ヶ月ほどで最長在籍者になってしまうというケースがあります。
これは、規模の小さな会社でたまに発生するケースなのですが、新入社員はまだ十分な経験を積めていない中で、教えを乞う相手を失ってしまうことになるわけです。
こうなってしまうと、頼れる相手は経営者、もしくは業務に関連した書籍やネット上のTIPSを参考にしながら、業務を進めていかなければならなくなります。
しかし、経営者だからといって、すべての業務に精通しているわけではない場合も多く、知識や経験不足から十分に教えられないなどというケースに陥ることがあるほか、独学で業務を進めようとしても、書籍やTIPSのみでは情報量に限界があるほか、必ずしも直面する課題や問題の解決に結びつく答えが得られるというものでもありません。
その社員は不安や疑問を抱えながら自分なりに業務を進めていくことになるわけですが、課題や問題の解決には至らないまま成果をあげることができず、結局、業務を外部の業者に委託するといった結末に終わってしまうなんてことがよくあります。
人は、成功体験の喜びを得られなければ、なかなか成長には至れないものですし、自信にもつながりません。
そのような環境のなかに身を置いていては、次第に業務に対するやりがいを失うと同時にフラストレーションも溜まってしまい、結果として退職を決断するということにつながる可能性があると考えられます。
プロセスに対する評価がない
「ビジネスは、結果がすべて」。
この考え方はビジネスを行う上では当然のものです。
良い結果が生まれなければ利益を上げられない。
したがって、会社は常に結果にこだわり続けるのが正しい方向性なのは確かであり、従業員に対する評価は結果を基にして行われるものです。
では、結果に至るまでのプロセスについてはどうでしょうか。
もちろん、結果に結びついたプロセスに対しては大いに評価されることがほとんどでしょう。
しかし、失敗に終わり利益にならない結果を生み出したプロセスに対する評価は、その多くが好ましいものではない、もしくはまったく触れられないといった会社はいくつも存在します。
どれだけ質の高い資料を作成しようとも、商談にて完璧なアピールができたとしても、それが100%の確率で結果に結びつくとは限りません。
結果至上主義の会社では、こういったプロセスに対する評価がなされず、従業員の不満や不信感を膨大させる一因になっていることは容易く想像できます。
プロセスに対する評価がないということは、努力は評価の対象には含まれないということにも言い換えられます。
努力への評価がされなければ、従業員は徐々に自信を失っていき、自分は必要のない社員であると思い込む可能性もあります。
経験の浅い新入社員となればなおさらではないでしょうか。
プライベートでの付き合いを強要する
ひと昔前であれば、上司や経営者に誘われれば、終業後であろうが休日であろうが、迷うことなく誘いに乗るのが“常識”のような風潮がありました。
しかし現代は、社員一人ひとりの気持ちと生活を尊重が叫ばれる時代。
一人ではもちろん、家族や友人と過ごすプライベートを最重視したいと考える社員は数多く、社外で自社や取引先の人との付き合いは控えたいと考える傾向が強まっているものです。
それにもかかわらず、プライベートでの付き合いを強要するような会社は未だに数多く存在するようです。
たとえば、休日のゴルフや夜の飲み会など。
また、業務とは関係のない連絡が平日休日を問わず繰り返されるなどというケースもあるようです。
自身が満足感を得たいがために部下の時間や予定を問答無用に奪うような会社に、長く在籍したいと思うことはないでしょう。
なかには、付き合いを断ることによって昇給や昇進に影響を及ぼすような会社もあるようで、そのように業務以外が評価の対象になってしまっては、社員の気の休まる時間は削られていく一方です。
会社側は、社員のプライベートを尊重する。
そんな簡単で当たり前な心構えを持つだけでも、社員は安心して業務に打ち込むことができ、早期退職に至る可能性も抑えられるはずです。
経営者や上司による責任逃れが目立つ
たとえば、社員が重大なミスを犯し、取引先からの大クレームが発生したとします。
この場合、当然ながら直接的な責任の所在はミスを犯した社員にあります。
しかし、その社員を管理する立場にある上司も責任を負う義務はあり、ひいては会社全体の責任として、対応にあたる必要があるのは明確です。
にもかかわらず、上司はただただミスを咎めるだけに終始して、責任を負うような素ぶりもみせず、対応もミスを犯した社員に押し付け、取引先に対しても自身は無関係であるかのような振る舞いをみせる。
会社側からのフォローを得られなくなった社員は孤立してしまい、自分を攻め続けることになり、やがて退職という決断が脳裏をよぎるようになります。
社員の定着率の高い会社では、組織としてのまとまりがよく、成果もミスも個人としての結果としてだけではなく、会社全体の結果として受け止めるような寛容さがあります。
もちろん、ミスを犯した社員に対する指摘や指導は必要です。
ただ、それだけにとどまることなく、会社全体で受け入れて対応策と改善策を共に模索する。
部下が犯したミスだからと責任から逃れるような態度や行動を避けることで、社員は会社に対して信頼感を置くことができるのではないでしょうか。
試用期間中の社会保険未加入
多くの会社が、新入社員に対して3ヶ月間ほどの試用期間を設けることかと思います。
この期間は、新入社員の能力や適性を見極める期間といえるものですが、期間自体の設定に法律上の決まりはありません。
しかし、加入要件を満たしている事業者の場合は、試用期間中であってもその社員は本採用時と同様に社会保険に加入する義務が生じるのです。
それにもかかわらず、どうゆう理由であれ社会保険の加入申請を怠るのは、会社側の怠慢のなにものでもなく、新入社員からの大きな不信感につながる可能性があります。
新入社員からすれば、たとえ本採用となっても、会社の怠慢な一面に疑問を感じ続け、早々に見切りをつける決断を下そうとするのも無理はありません。
まとめ
今回は、従業員の早期退職が多くみられる会社の特徴を紹介しました。
皆さんの会社にも当てはまるような特徴があったでしょうか。
従業員が早期退職する理由には、もちろん業務が自身に適していないとか、イメージとは異なっていたというものもありますが、多くは会社の環境や体制にあると考えられます。
従業員が会社に対して信頼感と寄せ、心地よく仕事に打ち込めるよう、この機会にぜひ見直しを検討してみてはいかがでしょうか。