経営者・社長

このままだとコロナ禍で倒産ピンチ!経営者は何をすべきか?

このままだとコロナ禍で倒産ピンチ!経営者は何をすべきか?【経営者・社長】

政府肝いりの経済政策「Go To キャンペーン」が開始したのも束の間。今月に入り、東京では2日連続で500人以上の過去最多となる新規感染者が報告されるなど、新型コロナの感染者数は全国で軒並み増加傾向にあります。

感染拡大の収束どころか、「第3波」が到来したともいえる現状にあり、今後も引き続き先行きが見えない状況が続くことが予想されます。

同時に不安視されるのは、やはり経済への影響でしょう。アメリカ大統領選挙などが影響し、一時的な株価の上昇などが見られたものの、決して日本経済が立て直されたことを意味するものとはいえません。

特に、大企業に比べて経営体力に欠ける中小零細企業の経営者の方々は、経済活動に対する不安が払拭されることはなく、「第3波」の到来によって、頭を抱える日々が続いていることかと思われます。

企業の倒産も他人事とは思えない状況が続く現状の中、経営者は経営を存続させるために何をするべきなのか。今一度考えてみたいと思います。

全国で相次ぐ企業の新型コロナ関連倒産

東京商工リサーチの発表によると、先月10月の全国の企業倒産件数は634件。これは過去50年間で、2番目の低水準とのこと。

政府や金融機関をはじめとする各種資金繰り政策の効果によって、7月以降は4ヶ月連続で前年同月を下回っているとのことです。

しかし、これはあくまで同月の倒産の総数であり、新型コロナ関連の倒産企業数だけを見れば104件。2月に新型コロナ関連の倒産が初めて発生してから、ひと月で100件を超えるのは初めてのことなのです。

各資金繰り政策の効果によって、4ヶ月連続で前年同月を下回っているとはいえ、新型コロナ関連の倒産件数は増加傾向にある。これは、裏を返せば資金繰り政策がまだまだ不完全であるといえ、やはり新型コロナの影響を大きく受ければ、容赦なく倒産に追い込まれるということを意味しているのではないでしょうか。

今月の新規感染者数急増により、「Go Toキャンペーン」の見直しが決定したなか、今後も観光業や飲食業、小売業などを中心に、新型コロナ関連の倒産は続いていくことが予想されます。

倒産を回避するためにとるべき経営者の行動

新型コロナ関連の倒産危機にある業種は、先述した観光業、飲食業、小売業だけではなく、またGo To キャンペーンの見直しだけが影響するものではありません。

これからしばらく続くことも予想される「第3波」による感染者急増によって続くであろう経済の落ち込みは、さまざまな業界に影響を与えるはずです。

巣ごもり消費の拡大にともない、IT関連企業や運送業などの好調な一部の業界をのぞけば、倒産の可能性は引き続き維持されることでしょう。

そのような危機的状況のなかで、経営者は何をするべきか。

いまや他人事とはいえなくなった新型コロナ関連倒産を回避するために、経営者の方々はとるべき行動は、主に「事業」「雇用」「資金繰り」の3つの見直しだと考えます。

事業の見直し

まずは現状展開している事業の見直しです。

すでに、新型コロナの感染拡大が顕著になった上半期や、それにともない発出された緊急事態宣言などを機に、これまでの事業を大幅に見直し、経営の存続に努められたという経営者の方々も多くいらっしゃるかと思います。

事業というのは、常に時代や社会、市場のニーズに合わせていく必要があります。今年に入り、人々の生活環境やライフスタイルはこれまでとは比べものにならないほどの猛スピードで変化しているといえ、それに適応させるべきビジネスモデルも大きな転換を求められる時代であることは間違いありません。

ですので、現状の事業が各ニーズに合っているのかを見極めるのは、経営者の急務であるといえます。

事業の中に不採算部門や赤字事業があるのであれば、思い切った切り離しの決断も経営の存続には不可欠です。また、今後、そのようになると予測される事業についても、見直しを計る必要があるでしょう。

事業の見直しといっても、それはなにも切り離しだけを指しているわけではありません。新型コロナの感染拡大を逆手にとり、ニーズに合っていると判断できれば新たな事業を開始することも、事業の見直しの一環といえます。

ただし、ニーズに合っているからと判断できたとしても、身の丈に合っていない事業の着手など、やみくもで計画性のない突発的な新規事業の着手は、経営にさらなるダメージを与える可能性が高いものです。

たとえば、経営者の方もスタッフの方も、これまでまったく経験がなく、知識もスキルも持ち合わせていない事業に着手するケースです。

これは、ある建設企業の失敗談なのですが、新型コロナの影響によって受注件数が大幅に減少したことにともない、世の中のニーズが大幅に高まったEC事業に着手したのです。

事業に必要な機器をそろえるなどの準備や、コンサルタントへの相談などを進めたものの、経験も知識もスキルも持ち合わせていないのはおろか、ニーズが高まっているとはいえ、もはやレッドオーシャンともいえるEC事業。そこに突発的に参入したところで既存他社に対抗できる戦略など、短期的には見つかるはずもなく、わずか3ヶ月ほどで撤退を決断したというものです。

結局、新規事業の準備に大幅な投資を行ったこちらの企業は、新型コロナの蔓延以前よりも負債を抱えることになり、経営の存続は絶望的な状況に陥っているといいます。

新規の事業に着手するのであれば、自社や経営者、スタッフのこれまでの経験や知識、スキルに基づき、なおかつ世の中のニーズに合った商品やサービスの見極めが重要です。

どれかひとつでも欠けるような中での新規事業着手は、経営を揺るがすほどの結果を生み出すリスクがあることを認識しておかなければならいでしょう。

雇用の見直し

次に従業員の雇用の見直しです。

言うまでもなく、経営者は雇用する従業員だけでなくその家族の「生活」を守る使命があります。大げさに表現するならば、従業員と家族の「命」を守っているともいうことができます。

新型コロナの感染拡大によって、社会も経済も不安定となっている現状での従業員の解雇は、まさに命の切り捨てといっても過言ではありません。

ですが、業績が悪化している企業であれば、従業員の雇用は真っ先に見直しが必要な課題であることも事実です。

ですので、業績が悪化したからといって解雇を即断するのではなく、雇用を維持しながら、人件費の削減につながる施策を検討するべきであるといえます。

たとえば、正社員の従業員の雇用形態をアルバイトに変換し、自由な副業を認めるものがあります。

給与額の減少はあれど、確実な収入が得られられる上に慣れ親しんだ職場での勤務を維持できる「保険」としての本業があることは従業員にとっては安心感にもつながりますし、副業にも積極的に臨めるはずです。

また、副業の解禁によって、従業員が本業とは異なるフィールドで新たな経験や知識、スキルを得られれば、先述した新規事業の立ち上げにも好影響を与えることにつながる可能性もあります。

命をおびやかす恐れもある新型コロナが蔓延する今だからこそ、「経営者は、従業員とその家族の命を守る使命がある」ことを再認識し、企業と従業員の双方にとって負担にならない雇用条件の創出を目指してほしいと考えます。

資金繰りの見直し

3つめは資金繰りの見直しです。

昨年までは、順調な資金繰りを維持できていたものの、今年の新型コロナの感染拡大によって、一気にそれが不安定になったという企業は数限りありません。

企業の資金繰りは、収支状況だけでコントロールしきれるものではなく、こうした社会に生じる不測の事態によって、たとえ、安定しているように思えても、瞬時にバランスが崩れるものです。また、新型コロナの収束が見通せない以上、現在は資金繰りが安定していたとしても、今後大きく崩れる可能性があることを覚悟しておく必要もあります。

このような事態を予測できる経営者など、まず存在しません。

ですので、現状で資金繰りが不安定になっている企業も、まだ安定していると判断できる企業も、まずは現状の収支バランスを冷静に見直し、不要な経費などの支出の削減を徹底的にすすめましょう。

たとえば、在宅勤務やリモートワークが可能な事業であれば、迷わず切り替えるべきです。それだけでもオフィスの賃料や従業員の交通費、事務用品の購入費やリース代といった経費を削減できます。

また、売り上げの減少にともなって、今後の現金の確保が難しいと判断できた場合は、早急に資金調達の準備をすすめるべきです。

おそらく多くの企業が、国が主導する新型コロナ関連の資金支援策の活用はすでにすんでいるものと思われますが、各自治体が主導する補助金や助成金をはじめとする資金支援策は、意外と知られていないものも多く、まだ申請の枠に空きがある制度もあるはずです。

もしも、売掛金が発生していながら、売掛先の都合によって支払いが遅れているなどのケースがあれば、ファクタリングの利用も現金確保に役立つ資金調達手段のひとつです。

今後も続くと予想されるコロナ禍

先日、アメリカの大手製薬会社によって開発された新型コロナのワクチンが94.5%の有効性があるという発表がありました。

日本への供給も決まっており、今後の感染症拡大防止に大きく期待されていますが、たとえこれが有効策となっても、この1年間でコロナの影響を受けた経済へのダメージは計り知れず、立て直しにはまだまだ時間がかかることでしょう。

そのような状況が続く中で、企業のトップである経営者はコロナ関連倒産を回避して、経営を維持していくために、考えること、できることは何か?

今後も続くであろうコロナ禍を乗り切るためにも、経営を支える「事業」「雇用」「資金繰り」の3つの要素を、もう一度冷静になって見直してみましょう。