インターネットで、融資について調べていると、「ノンバンク」という言葉をよく見かけるかと思います。
その名称を見る限り、なんとなく「銀行ではない金融機関」であることは、認識できるかもしれませんが、どんな金融機関がノンバンクに含まれるのか、またどのようなサービスを展開しているのかをしっかりと把握しているという人は意外に少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、「ノンバンク」とはどのような金融機関であるのかを説明するとともに、融資に関しての銀行との相違点やそのメリットなどについても解説していきます。
目次
ノンバンクとは
ノンバンクとは、その名の通り「銀行ではない金融機関」です。
銀行のような預金業務を行うことなく、銀行や保険会社からの借り入れや社債によって資金を調達し、企業や個人に融資を行う金融機関を指します。
ちなみに「ノンバンク」以外の金融機関としては、銀行のほか、信用金庫や信用組合などが挙げられます。
そのため、ノンバンクは「お金の貸付けを専門業務とする金融機関」であると覚えておくとよいでしょう(貸付けではないファクタリングなどの例外もあり)。
では、ノンバンクの金融機関には、どのような種類があるのでしょうか。
具体的には、以下のような6種類があります。
1 消費者金融
現在、ノンバンクの代表的な存在として知られているのが消費者金融です。
消費者金融は、個人に対して無担保や保証人不要で貸付けを行う金融機関であり、比較的、少額から借り入れできるのが特徴です。
また、三菱UFHフィナンシャルグループのアコムや、三井住友フィナンシャルグループのプロミスなど、銀行のグループに属した、いわゆる「銀行系」の消費者金融会社も存在します。
これらは、あくまで「銀行系」の金融機関であり、貸付を専門業務としているため、当然ながらノンバンクにあたります。
利用にあたっては、継続した安定収入があることを最低条件としている事業者が多く、収入さえあれば正社員やアルバイト、パートなどの雇用形態を問われることはほとんどありません。ただし雇用形態や収入に応じて、借り入れ可能額は制限されます。
2 ビジネスローン会社(事業者専門金融会社)
個人向けの貸付けを行う消費者金融に対して、事業者向けの融資を提供するのがビジネスローン会社(事業者専門金融会社)です。
主に運転資金やつなぎ資金といった事業資金の調達に役立てられ、銀行からの融資が厳しい事業者にとっては心強い存在であるといえます。
また企業向けだけでなく最近では個人事業主向けの融資サービスも増加しています。
消費者金融に比べると借入可能額が大きく、中には10万円といった少額から1億円までを融資する事業者もいるほどです。
3 信販会社
オリエントコーポレーションや、ジャックス、セディナなど、ショッピングローン(割賦販売)を提供するのが信販会社です。中には、小売などを営む企業もいますが、主な事業は販売信用であり、利用者の信用情報に基づいた金融サービスを提供しています。
信販会社の多くは、基本的にはショッピングローンの提供を専門に行なっていますが、企業によっては貸付けにあたるキャッシングを扱っていることもあります。
4 クレジットカード会社
クレジットカード会社は、クレジットカードを発行して融資を行う企業です。
クレジットカードの仕組みは、利用者が支払うべき料金の立替えが基本となりますが、利用者の希望があれば審査次第でキャッシングを利用することが可能です。
また事業構造が共通することから、現在では大手の信販会社の多くがクレジットカードビジネスにも参入しています。
5 リース会社
リースとは、事業で使用する機器や設備などを賃貸することです。
つまりリース会社は、企業の代わりに機器や設備を購入した上で、それらを貸し出し、中長期にわたって利用料金を回収するという融資を行っています。
6 不動産金融専門会社
不動産金融専門会社は、別名「住宅金融専門会社(住専)」とも呼ばれ、その名の通り、主に個人に対する住宅ローンの提供を行なっている事業者です。
7 ファクタリング会社
ファクタリングサービスの提供を主要事業とするファクタリング会社も、もちろんノンバンクです。
ファクタリングは融資ではありませんが、企業で発生している売掛け債権の売却によって資金を調達する、近年もっとも注目度の高い金融サービスです。
また以前のファクタリングは、企業を対象としたサービスのみが目立ちましたが、多様化する働き方にマッチさせるために個人事業主向けのサービスが充実し始めています。
銀行融資とノンバンク融資の違い
それでは、銀行融資とノンバンク融資の違いを具体的に確認していきましょう。
大まかにいうと、冒頭でも説明した通り、ノンバンクの融資会社は「預金業務を行うことなく、個人や事業者にお金を貸し出す金融機関」を指しますが、その他の細かい違いがいくつかあります。
貸金業法と銀行法
まずは、それぞれに適用される法律の違いです。
ノンバンクに適用されるのが貸金業法。
一方、銀行に適用されるのは銀行法です。
このようにノンバンクは、貸金業法が適用されるため、消費者金融などが個人に対して融資を行う場合は、「年収の3分の1以上の貸し出しが規制される」総量規制の対象になります。また借り手側も、「1社から50万円まで、複数社から100万円以上の借り入れをする際は、収入証明書の提出が必須」となります。
金利の違い
次は、金利の違いです。
現状のノンバンクの上限金利は18%程度となっています。
対する銀行は、フリーローンの場合は14%前後、教育ローンの場合は4.3%前後のように各銀行や融資商品によって金利が異なります。
ノンバンクの金利が高い理由は、審査基準や保証会社の有無、また使用用途が関係しています。
銀行での借り入れの場合、ノンバンクよりも審査の難易度が高くなるほか、保証人の代わりとなる保証会社の保証が必須となります。
一方のノンバンクでの借り入れの場合は、ノンバンクが保証会社も兼ねているため保証会社を利用する必要はなく、審査も「安定収入」があり、「信用情報」に大きな傷がなければ、比較的スムーズに通過できます。
つまり保証会社が不要であるため、ノンバンクは貸し倒れが起きた場合のリスクを軽減する目的で、金利を高めに設定しているのです。
また利用目的に合わせた金融商品を扱う銀行の融資に対して、ノンバンクで借り入れた資金は自由に使用できることも、高金利の原因となっています。
融資可能額の違い
ビジネスローン会社の融資の場合は、上限が1億円単位としているノンバンクも多くありますが、個人向けのノンバンク融資の上限額は500万円程度が一般的です。
対する銀行の個人向け融資の上限額は、800万円〜1000万円に設定している銀行もあるため、多額の融資を必要とする場合は銀行融資のほうが多く借り入れることができます。
安全性の違い
銀行系の消費者金融やビジネスローンを除いたノンバンクの中には、法外な金利を要求する闇金業者や強引な取り立てを行う融資会社も紛れています。
そのためインターネット等で、「低金利・即日融資可」などと大々的に謳ったノンバンクへ安易に申し込みを行うのは危険性ですので、利用を検討する際には必ず「登録貸金業者情報サービス」で確認を行うようにしましょう。
ノンバンク融資のメリット
上記のようにノンバンクと銀行には、適用される法律や設定される金利といった違いがあります。一見すると、ノンバンクにはあまりメリットがないようにも思えますが、銀行にはないメリットもあり、融資の目的や緊急度によっては、銀行よりもノンバンクのほうが長けているのが事実です。ではノンバンクを利用する上でのメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
審査スピードが早く即日融資が可能
審査が厳しい銀行の融資に対して、ノンバンクの審査のハードルは低く、スピーディに行われるため、申込当日に現金を入手できる可能性が高いといえます。
また最近では無人契約機やスマートフォンから気軽に利用できるなど、申込方法も簡易的になってきており、利便性の高さにおいては銀行を上回ります。
特に消費者金融やビジネスローンの審査は早く、提出書類に不備がなく、信用情報などに大きな問題がなければ最短30分で完了させる企業もあるほどです。
緊急を要する資金調達の際は、ノンバンクを選択するのがベストだといえます。
利用用途に制限がない
銀行の融資にも利用用途が自由なフリーローンもありますが、基本的には利用用途に合わせた融資商品が多いため、自由に扱うことが制限されてしまいます。
対してノンバンクの借り入れは、利用用途の制限がないことがほとんどであるため、たとえば個人向けの消費者金融で借り入れた資金を事業用として利用することも可能です。
定期的に金利の見直しを行なっている
ノンバンクの上限金利は18%であり、ほぼすべてのノンバンクが上限いっぱいの金利を設定しています。
しかし、企業によっては借り入れ状況が優良な利用者に対して金利を下げるなど、定期的な金利の見直しを行なっているほか、利用限度額の引き上げにも柔軟に対応する姿勢が見られるようになっています。
ノンバンクには、どのような種類があるのか。
またノンバンクの融資と銀行融資の違いや、メリットについて紹介しました。
安全性と信用度の高い銀行に対して、ノンバンクの融資は、審査のハードルの低さやスピーディな対応が大きなメリットであるといえます。
資金の利用目的や緊急度に応じて、銀行とノンバンクを使い分けるようにしましょう。