近年増加傾向にある個人事業主ですが、法人と比べて信用力に欠けるため、融資をはじめとする事業資金の調達が難しいといわれています。
しかし事業を展開する以上、個人事業主であっても資金を調達しなければならないケースは必ず訪れます。
では個人事業主が利用できる資金調達制度にはどんなものがあるのでしょうか。
今回は、個人事業主でも利用が可能な資金調達法をご紹介します。
目次
日本政策金融公庫の融資
「日本政策金融公庫」は政府が100%出資している金融機関です。
企業や団体、個人などの経営や生活目的を達成させる目的で設立された団体ですので、信用力に欠ける個人事業主であっても比較的、利用のハードルは低いといえます。
また「日本政策金融公庫」の融資は変動金利が低く、返済期間も5年以上から選択できるというメリットもあります。利率は変動こそあるものの0.66%〜2.90%。制度によっては保証人や担保も不要になので、計画的に利用できれば、大変こころ強い融資元になってくれます。
個人事業主が利用すべき融資制度は以下の2つです。
・新規開業資金
・新創業融資制度
新規開業資金
新規事業資金は、「雇用の創出を伴う方」や、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」などが利用できる制度です。
つまり、起業して従業員を雇う予定のある個人事業主や、前職の経験を活かして独立する個人事業主向けの融資制度だといえます。
新創業融資制度
新創業融資制度は、新規事業資金と同じように、雇用創出などの利用対象に加えて、「事業開始後税務申告を2期終えていない方」などが対象となる制度で、原則、無担保・無利子で融資を受けられる制度です。
銀行・信用金庫
銀行
融資先と聞いてすぐにイメージできるのは銀行ではないでしょうか。
銀行には「都市銀行」と「地方銀行」があります。
「都市銀行」は、低い金利で莫大な資金を調達することも可能なほか、保険や投資といった融資以外の金融商品の品揃えも多いため、融資を受けられれば、追加で様々な面でのサポートも期待できます。
しかし都市銀行の融資は、審査ハードルが高く、信用力を蓄えていない個人事業主や創業間もない新規企業がスムーズに借り入れするのは難しいといえます。
一方の「地方銀行」は、都市銀行に比べると融資対象となる年商の目安が下がります。
信用金庫
信頼できる金融機関から融資を受けたいという個人事業主には、信用金庫をおすすめします。信用金庫は、営利追求型である株式会社形態の銀行とは違い、主に、地域の企業や住民の中から会員や組合員を募り、そこから得られる出資金によって運営される非営利法人です。
地域に根ざした金融機関である信用金庫であれば、中小の零細企業や個人に対するサポート体制にも注力しているため、個人事業主も利用しやすいでしょう。個人事業主であっても、事業内容や資金額次第で1,000万円以内の融資であれば比較的、柔軟に応じてもらえる可能性が高まります。
なお、個人事業主が銀行や信用金庫で融資を受ける際には、「全国信用保証協会連合会」を保証人に立てると審査で有利になります。
この制度を「信用保証協会による保証付き融資」といいます。
「信用保証協会による保証付き融資」は、審査を有利に進められるほか、担保や連帯保証人が不要になります。
ただし「信用保証協会による保証付き融資」利用するには、「全国信用保証協会連合会」に信用保証料を支払わなければなりませんので注意が必要です。
ビジネスローン
日本政策金融公庫の融資や銀行、信用金庫といった金融機関からの借り入れが難しいようであれば、ノンバンク系のビジネスローンも選択肢のひとつになります。
ノンバンク系のビジネスローンとは、事業者金融会社、消費者金融会社、信販会社などからの融資を専門事業とした会社からの借り入れを指します。
ビジネスローンの最大の魅力は、なんといっても審査基準の低さです。税金滞納やクレジットカードの事故など、信用情報によほど大きなキズがない限り、審査落ちの心配はいらないでしょう。
ただしノンバンク系のビジネスローンは金利が高いことでも知られています。銀行融資の年率0.9~3.5%程度に対して年率〜18.0%なのが一般的です。
また金融機関に比べて、借り入れ可能な融資額も下がります。
融資先の貸し倒れを回避するため少額の融資額を設定している事業者がほとんどです。
補助金・助成金
信用力に欠ける個人事業主に、もっともおすすめの資金調達法が補助金や助成金の利用です。
補助金や助成金の提供元には、政府が運営する日本政策金融公庫のほか、各自治体や商工会議所があります。
補助金や助成金は、金融機関の融資やビジネスローンとは異なり、実際に使用した資金額に応じて入金される制度ですので、もちろん返済のリスクはありません。
個人事業主向けの主な制度は以下のようなものです。
・ 創業補助金
・ キャリアアップ助成金
・ 小規模事業者持続化補助金
・ トライアル雇用補助金
創業補助金
創業補助金は、新たな需要や雇用の創出を促し、創業時に必要となる経費の一部を受給できる補助金で、起業家向けの補助金制度としてはもっとも有名です。
経費の補助金は2分の1に設定されており上限は200万円です。外部資金調達がない場合は、上限が100万円です。
原則として、従業員を1名以上雇い入れることが条件になりますが、新たに事業を立ち上げようとする起業家と、その企業をサポートしてくれる制度ですので、ぜひ利用を検討するべきでしょう。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、有期雇用した従業員を正社員として雇用したい場合や、社員に研修を受けさせたい場合に支給される助成金です。
事前に労働局に社員のキャリアアップ計画書を提出して認可を受けなければなりませんが、従業員の正社員転換では、一人当たり40万円、研修であれば、一人当たり10万円+給与額の一部が支払われます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、卸売業・小売業・サービス業・製造業などの小規模事業者を対象にした補助金です。
補助対象となるのは経費の3分の2以内で、補助額は上限50万円とやや小額ですが、複数の事業者が連携して取り組む共同事業の場合は100~500万円まで増額が可能です。
トライアル雇用補助金
トライアル雇用補助金は、知識や経験の不足を理由に就職できない求職者を試験的に雇用することで受給できる補助金です。
支払い期間は最長3ヶ月で、支給金額は最大で4万円です。
クラウドファンディング
「クラウドファンディング」とは、「クラウド=群衆」と「ファンディング=資金調達」を掛け合わした造語です。つまり、アイデアやプロジェクトを実行させるために、インターネットを通して資金を調達する仕組みです。
銀行や信用金庫といった金融機関から融資審査が厳しくなる個人事業主にとっては、リスクもなく比較的利用しやすい資金調達法といえます。
クラウドファンディングは、主に以下のような仕組みに分けられます。
金銭的な見返りが不要なクラウドファンディング
⑴寄付型
⑵購入型
金銭的な見返りが必要なクラウドファンディング
⑶融資型
⑷投資型
⑴寄付型のクラウドファンディング
自分のための資金や利益を確保するためではなく、主に人や社会に役立てるための資金調達を目的として利用される方法で、金銭や物品などの見返りを求めるものではありません。
⑵購入型のクラウドファンディング
個人が企画やアイデアを実現させるために資金を募り、実現すれば、完成した製品やサービスを出資者に特典つきで提供するといった仕組みです。基本的には金銭のリターンは行われません。
⑶融資型のクラウドファンディング
融資型のクラウドファンディングは、「ソーシャルレンディング」とも呼ばれる、投資商品としての性質が強い仕組みです。
基本的には、クラウドファンディングサービスの提供会社が、資産運用を希望する企業や個人から小口の資金を集め、それらを融資として貸し出します。融資ですので当然ながら返済義務が生じますので、利用の際は注意が必要です。
⑷投資型のクラウドファンディング
投資型のクラウドファンディングは、非上場企業が持つ未公開株を公開して資金を調達する仕組みです。
この仕組みを利用することで、投資家は企業の詳細を事細かに調べて投資をし、未公開株を取得することができます。
ファクタリング
最後はファクタリングです。
補助金や助成金と同じく返済不要の資金調達法ですが、ファクタリングは発生済みの売掛け債権(発行済の請求書)を売却することによって現金を得る手法です。
ファクタリングなら、売掛け債権の範囲内でのみの利用となるため、融資のように大きなリスクを背負うことなくスピーディーに事業資金の調達が可能です。
ファクタリングはもともと企業向けの金融サービスでしたが、最近では、GMOインターネットグループの「GMOクリエイターズネットワーク株式会社」が、個人事業主のファクタリングサービスである「フリーナンス」をリリースして話題になっています。
とはいっても、ファクタリング会社の多くが、未だに個人事業主の信用力のなさを問題視しているため、まだまだ個人事業主向けのファクタリングは少ないのが現状です。
そこで、これまで数多くの企業向けファクタリングを提供してきたトップ・マネジメントでは、個人事業主の方でも気軽に売掛け債権を売却して資金を調達できるよう、「個人事業主向けのファクタリングサービス」の強化を進めています。
「GMOクリエイターズネットワーク株式会社」が展開する「フリーナンス」と比べても、煩わしい登録の必要もなく、よりスピーディーに請求書を現金化できますので、まずは一度オフィシャルホームページをご覧ください。