2019年9月25日、ファクタリング業を装ったヤミ金業を営む経営者らが逮捕されたというニュースが報じられました。
当サイトでも、何度か悪質なファクタリング業者による詐欺手口や特徴などをご紹介してきましたが、今回の事件はファクタリングを名目として法外な利息をだまし取るという、代表的な詐欺手口でした。
ファクタリングは、今や企業の資金口には欠かせない金融サービスとなっており、売り掛債権の売却によって事業資金を調達できるという特性から、最近では審査の厳しい融資と比べても需要が高まっているといわれています。
しかし需要の高まりを逆手にとることで、今回報じられたような詐欺行為が今後も増え続けていくことが懸念されています。
また認知度と需要が高まっているとはいえ、ファクタリングが融資に比べても世の中に浸透しきれていない点もあることから、ファクタリングに対して不信感を抱いている経営者の方が多く存在するのも事実です。
そのような中で起こってしまった今回の事件。
健全なサービスを展開するファクタリング業者にとっては、極めて遺憾であり、業界全体とサービスに対する信頼をさらに失墜させる要因となってしまうことも否めません。
そこで今回は、事件の概要を解説するとともに、なぜこのような事件が起こるのか。また健全なファクタリングサービスと悪質な業者の見分け方などをご紹介します。
事件の概要
東京都内のコンサルティング会社の社長ら11名が貸金業違反と出資法違反の疑いで逮捕された今回の詐欺事件。
事件を起こしたのは「高橋企画」という会社で、どうやらコンサルティングの一環としてファクタリングという名目のサービスを提供していたようです。
しかしコンサルティングもファクタリングも偽装であり、実態は貸金業の登録を行わず、法定金利の約13〜47倍もの利息を要求していたヤミ金業者でした。
被害にあったのは、東京都や静岡県の中小企業の経営者5名で、被害額は2018年10月から2019年の3月までの間に合計で約530万円。利息は約184万円であると判明しています。
https://www.asahi.com/articles/ASM9T32W3M9TUDCB001.html
なぜこのような事件が起きるのか
ファクタリングと偽って、実際は売り掛債権を買い取ることなく担保にした上での融資は、悪質なファクタリング業者の代表的な手口のひとつとして知られています。
ではなぜ、ヤミ金業者がファクタリング業であると偽るのでしょうか。
これにはファクタリングに対する法規制の有無が関係しています。
現在の日本では、ファクタリング会社の設立にあたって、貸金業のように免許や登録、営業許可といった特別な届け出が必要ではありません。
そのため、ファクタリングサービスの提供は会社の設立さえできれば、誰でもたやすく開始することができます。もちろん会社を設立せずに、個人で悪質なサービスを展開している者も存在しています。
近年では、ヤミ金をはじめとする違法な融資業者を厳しく取り締まるために、貸金業法の改正などよる法規制が強化されていることから、営業が困難になった違法貸金業者が参入障壁の低いファクタリング業界へと次々に参入し、悪質な詐欺行為を続けているケースが多々みられるようになっています。
つまり「ファクタリングの看板」は、違法貸金業者にとって実態をカムフラージュするための隠れ蓑となっているわけです。
代表的な手口
今回の事件のように、ファクタリングを装って実際には売り掛債権の買い取りを行わず、法外な利息を付して貸し付ける手口は、ファクタリングの看板を掲げたヤミ金業者の代表的な詐欺の手口です。
ではファクタリングを装ったヤミ金業者による詐欺行為にあわないためには、どうせればよいのでしょうか。
詐欺被害にあわないために
上述した通り、残念ながらファクタリング会社には国に認可された貸金業者ように「貸金業登録番号」のようなものは存在しません。
したがって、健全なファクタリング会社と悪質なファクタリング会社の判別は非常に難しく、明確な判断ポイントがないのが現状です。
ただ、詐欺被害にあわないためにもファクタリング会社を選別する際に最低限押さえておきたいポイントがいくつかあります。
そのひとつが営業の連絡には決して応じないことです。
電話やメール、ダイレクトメールなど、営業手段は多々ありますが、健全なファクタリング会社は執拗な営業行為を極力控えています。
もしも営業の連絡があっても、相手の話や内容を鵜呑みにするようなことはせず、まずはインターネット上に利用者の口コミ情報やオフィシャルのホームページがあるかなどの確認を行うようにしてください。
次に、サービス内容に納得して契約を決心した場合であっても、口頭でのみの約束は交わすことなく、契約書の発行を必ずお願いしてください。
ファクタリングを装ったヤミ金業者は、書類などで証拠を残すことを頑なに拒む特徴があります。
もしも契約書の発行を拒絶、もしくは口頭説明と異なる内容が記載されていた場合には速やかに断りを申しいれる必要があります。