近年、大きな価格上昇や下落を繰り返しながら急激に成長し続けている仮想通貨業界。 2023年1月に16,541USDまで下落したビットコイン価格は、1年後の2024年1月4日に44,980USDまで回復。
その後もビットコインは順調に価格上昇を続け、2024年4月2日に71,306USD、2024年12月18日にはなんと過去最高値である107,318USDまで上昇。 現在の1ビットコインあたりの価格は、日本円に換算すると1600万円まで上昇しました。
また、ビットコインにつられる形でEthereum(イーサリアム)やSOL(ソラナ)など他のアルトコインも価格上昇しており、XRP(リップル)やBNBなどのアルトコインもビットコインと同様に過去最高値を更新する高騰をみせています。
数年間で昔に宝くじ感覚で仕込んでおいた仮想通貨が、近年の高騰により資産倍増している方も多いでしょう。
仮想通貨で儲けたからと不動産や車、時計などを買ったという話をよく耳にしますが、売却時に得た利益額によっては多額の税金を納めねばならず、全て使ってしまった場合、後々税金の支払いに追われるというケースもあるため、売却時には注意する必要があります。
本記事では、仮想通貨取引に係る税金やその節税方法などについて詳しく解説していきます。納税は国民の義務である以上免れることはできませんが、法律上認められている減税措置もあるので、積極的に活用しながら投資をおこないましょう。
目次
仮想通貨取引にかかる税金
仮想通貨取引により利益が生じた場合、確定申告を行い納税を行う必要があります。
では、具体的にどのようなケースの場合だと、課税対象となるのでしょうか?
仮想通貨を売却せず保有している状態や、購入時の仮想通貨価格よりマイナスが出ている場合では税金は発生しませんが、売却時点で利益が出ている場合には課税対象となり、税金支払いが発生します。
また、仮想通貨で物を購入した場合や別の暗号資産などと交換を行った場合でも、仮想通貨取引による含み益が発生していれば課税対象となってしまうため、気をつけて行動する必要があります。
その他にも、仮想通貨取引などのデータをブロックチェーンに記録する作業を行うことで、対価として仮想通貨を取得できる「マイニング」や、ステーキングの対象となる仮想通貨をブロックチェーンネットワークへ預け運用する対価として仮想通貨が得られる「ステーキング」、保有する仮想通貨を仮想通貨取引所などの第3者に貸出し、利息や賃借料を得ることが可能な「レンディング」などの場合においても、利益に応じた課税が生じます。
そのため、仮想通貨取引にかかる税金の知識を高め、節税方法なども知っておくと、今後の仮想通貨取引において大いに役立つでしょう。
ここから仮想通貨取引にかかる税金について解説していきます。
副業として得た所得は雑所得に分類される
勤め人やアルバイトなど副業として仮想通貨取引をおこなう個人の場合、仮想通貨取引により発生した所得は、税制上所得税の『雑所得』として取り扱われます。
雑所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給料所得、退職所得・山林所得・譲渡所得および一時所得のいずれにも該当しない所得のことを指し、公的年金や非営業用貸金の利子、副業に係る所得などが該当します。
仮想通貨取引で確定申告が不要なケース
雑所得は、原則として所得があれば確定申告は必要ですが、確定申告が不要となるケースもあるため、以下のポイントを押さえておくようにしましょう。
ただし、申告が不要となるケースは年末調整をうけた勤め人のみしか対象とならないため、注意しておきましょう。
逆に、個人の方が仮想通貨取引を「事業」として行っている場合では、事業所得に区分される可能性があるでしょう。
個人の仮想通貨の税率は最大55%
続いて、仮想通貨取引で利益確定した場合の税率について説明していきます。
個人の方が仮想通貨取引により得た利益は、所得税の『雑所得』として課税の対象となり、5%~45%の税率が課されます。
雑所得は給料所得などど併せて課税される仕組みとなっており、所得額に比例して税率も増えます。 日本における所得税では『超過累進課税』(課税所得が一定の額を超えた時、超過部分に対して高い税率が適用される)が適用されています。
以下は所得税の税率表です。課税所得に応じた所得税率が記載してあるので、仮想通貨取引を行っている方は参考までに覚えておくと良いでしょう。
課税所得額 | 所得税率 | 控除額 |
1000円~1,949,000円以下 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円以下 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円以下 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,990,000円以下 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,990,000円以下 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~40,000,000円以下 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
(※上記の表は右にスクロールできます)
仮に、課税所得額が1000万円であった場合、超過累進課税での所得税計算を行うと以下のようになります。
- 課税所得額1000円~1,949,000円以下は5%=1,950,000円×5%=97,500円
- 課税所得額1,950,000円~3,299,000円以下は10%=1,350,000円×10%=135,000円
- 課税所得額3,300,000円~6,949,000円以下は20%=3,650,000円×20%=730,000円
- 課税所得額6,950,000円~8,990,000円以下は23%=2,050,000円×23%=471,500円
- 課税所得額9,000,000円~17,990,000円以下は33%=1,000,000円×33%=330,000円
上記①~⑤の合計額=所得税額となるため、①97,500円+②134,900円+③364,900円+④469,200円+⑤330,000円=1,764,000円
以上の計算方法により、課税所得額が1000万円あった場合の所得税額は、1,764,000円になります。
課税所得額に応じ、段階的に適用税率が上がっていく計算となるため、実際に支払う税金の実効税率は、17.64%(1,764,000円÷10,000,000円)です。
また上記の算出方法以外にも、所得税の早見表の課税所得額に税率を掛け、控除額を差し引く方法でも所得税額は算出できます。
課税所得額1000万円の場合、1000万円(課税所得額)×33%(税率)‐1,536,000円(控除額)=1,764,000円となり、どちらの計算方法でも所得税額は計算可能です。
個人に課される仮想通貨の税金においては、上記で解説した所得税額に加え、復興特別所得税(平成25年から令和19年までの各年分)の合計税率および住民税の税率10%を併せて申告・納付する必要があり、最大で55%もの税率がかかることも想定しておかなければなりません。
仮想通貨の税金対策は?
昨今のビットコイン価格の上昇やアルトコインも上昇によって、仮想通貨の含み益が出ている方も少なくないでしょう。
ここまで解説した通り、仮想通貨取引により得た利益に対する税金負担はとても重いため、節税対策は欠かせません。ここから、仮想通貨取引においての節税対策にはどのような方法があるのか具体的に解説していきます。
1.法人として開業する
仮想通貨取引で所得が発生すると、個人に対しては『所得税』、法人に対しては『法人税』が課されます。
年間課税所得800万円以下の場合での、一般的な普通法人の法人税率は15%であるのに対し、個人事業主の場合所得税が5%~23%、年間課税所得800万円以上のケースでは法人税率が23.2%であるのに対し、個人事業主の所得税は23%~45%もの税率が課されることになります。
よって、個人として仮想通貨取引の税金を納める場合、住民税の税率も考慮すると最大55%の税率となりますが、法人税として納税する場合は15%~23.2%の税率で済みます。
ただし、法人であっても住民税や事業税などの税金がかかるため、実際に支払う税金の実効税率は10%程加算され25%~35%程になります。
とはいえ個人で所得税を納めるよりも、法人化を行い法人税を納める方が最大で20%程節税できるのは大きなメリットとなるでしょう。
法人化することで最高税率が低めに設定されている法人税の恩恵をうけることが可能となり、大きな節税効果が期待できると言えます。
法人化による法人税率以外のメリットは?
法人化をおこなうことで法人税率による節税が可能となりますが、他にも法人化による節税ポイントがいくつかありますので、解説していきます。
損失の繰越控除ができる
給与所得控除が利用できる
経費として認められる幅が広がる
1.損失の繰越控除ができる
法人が行う仮想通貨取引によって損失が発生した際、その損失を来期以降最大で10年間繰り越すことができます。
損失の繰越控除とは、発生した損失を翌期以降の利益と相殺できる制度であり、この繰越控除を利用することで期末の利益額を圧縮できるため、法人税を節税する方法のひとつとなるでしょう。
逆に個人の場合では、原則損失の繰越しはできません。例外として、仮想通貨取引を事業化している個人事業主に限り、青色申告をおこなうことで3年間の繰越控除をおこなうことが可能となります。
法人による繰越控除期間は最大10年間と長く、青色申告を行う個人事業主よりも節税効果は高いと言えるでしょう。
2.損益通算がおこなうことができる
法人企業が仮想通貨取引において損失を発生させた場合、本業である事業収益(利益)と相殺することができます。また、本業である事業の損失(赤字)を仮想通貨取引によって得た利益と相殺することも可能となります。これを『損益通算』と呼び、年間の法人事業の収益や損失を、仮想通貨の利益や損失で相殺することで、税金負担を削減することができます。
個人の場合においては、雑所得の中だけでの損益通算であれば可能ですが、雑所得以外の所得との損益通算はおこなうことが出来ません。
3.給与所得控除が利用できる
給与所得控除とは、会社員やアルバイトなど企業から給与が支払われる給与所得者が、年間の給与所得額に応じて一定額を控除できる制度のことを指します。
法人化して代表取締役になると、一般的に役員報酬として給与が支払われることになりますが、この役員報酬も1200万円以内であれば給与所得控除の対象となり、恩恵をうけることができます。ただし、年収1200万円を超える部分に関しては、給与所得控除の恩恵をうけることが出来ません。
また、一定の条件を満たせば役員報酬も経費としての算入が認められ、法人として所得額を抑えることができるメリットがあるでしょう。
2.個人事業主として開業する
個人として仮想通貨取引を行って利益が出た場合、「雑所得」として申告しなければなりませんが、個人事業主として開業届を提出することで、得た利益を「事業所得」として申告できる可能性があり、税制上の優遇措置をうけることが出来ます。
確定申告の方法には「青色申告」と「白色申告」があり、不動産所得・事業所得・山林所得のある方は、「青色申告承認申請書」で申請することで、青色申告による確定申告が可能となります。
税制上優遇されるのは「青色申告」ですので、仮想通貨取引の節税対策を個人事業主として行うのであれば、「青色申告承認申請書」で開業届を提出すると良いでしょう。
青色申告とはどんな制度?
青色申告とは、個人事業主が確定申告をおこなう場合の申告方法のひとつです。
複式簿記に基づいた帳簿をつけ、所得税や法人税を正確に計算し申告するための納税制度です。所得税の申告は、納税者が所得税法に伴い所得税額を算出して納税をおこなう「申告納税制度」が採用されています。
申告納税制度では、1月1日より12月31日までの年間発生所得を計算し、発生した所得に関する帳簿や書類などの「証憑書類」を5年間保存しておかなければなりません。
また、白色申告と青色申告では所得計算におけるルールが異なり、税制上の優遇メリットが高い青色申告の方がより厳格な申告を求められます。
赤字を3年間繰越しできる
30万円未満の減価償却資産をその年の経費として計上可能
家族の給料を経費として計上が可能
貸倒引当金を経費にすることが可能
仮想通貨取引の税金対策を検討している場合、個人事業主として青色申告を行う最大のメリットは、最大65万円の特別控除がうけられる点や3年間赤字を繰越しできる点と言えます。
ただし、青色申告特別控除をうけるためには、複式簿記による記帳方法により、確定申告書に貸借対照表及び損益計算書を添付し、e-Taxによる電子申告をおこなう必要があります。
3.経費として計上する
仮想通貨取引に直結する支出は、基本的に全額を経費として計上し、得た利益を圧縮することで節税効果が期待できます。
仮想通貨で利益を確定申告するケースにおいて、以下の項目は経費として計上可能です。
仮想通貨取引に係る売却手数料や送金手数料
仮想通貨取引に係る飲食代や交通費
確定申告に利用するための会計ソフト代金やツール利用代金など
仮想通貨取引に係る経費として、上記に掲げる項目などが経費計上可能です。
ただし、仮想通貨を購入した時に係る「取得費」の算入方法には特殊なルールがあるため、単純に領収書の額面をそのまま計上するような経費の扱いとは異なります。1年間で反復して売買を繰り返した場合、法人は「移動平均法」を用いて計算をおこない、個人は「総平均法」で計算をおこなうことが原則となっているため、気をつけましょう。
4.利益額を年間20万円以下に抑える
開業届けを提出せず、副業として仮想通貨取引をおこなう個人のケースでは、仮想通貨で得た収益が年間20万円以下ならば確定申告が不要となりますが、住民税の申告は必要です。ただし、仮想通貨取引で得た所得以外に別の所得(給料所得など)がある場合は、所得の合計金額で判断されます。
また、利益を意図的に20万円以下にする行為は、税務上グレーな部分を含む可能性もあるため、税理士など専門家のアドバイスをうけた方が良いかもしれません。
5.損益通算を適用する
損益通算とは、年間で得た利益から他の所得の損失分を控除できる制度のことを指します。
具体例をあげると、仮想通貨取引で100万円の利益が生じている一方で、株式投資での損失が50万円出ているケースでは、仮想通貨取引で得た利益と株式投資で発生した損失を相殺することができ、利益額を50万円に圧縮することが可能となります。このようなケースも損益通算に該当します。
また、節税を行う上でも損益の予想も行っておく必要があるでしょう。損益がどの程度出ているのか正確に算出するための計算ツールなどもあるので、活用することで税金の計算なども楽になります。 仮想通貨売買により得た収益は、原則総合課税である「雑所得」として分類され、他の所得と損益通算をおこなうことが出来ません。
ただし、他の総合課税の雑所得との損益通算は可能(上記具体例のようなケースの場合)であるため、含み損の出ている銘柄を売却し損益を出すなどの調整をおこない、トータル利益を圧縮して納税額を落とすことも、節税対策として有効と言えます。
6.住宅ローン控除を適用する
仮想通貨取引で大きな利益が出ている場合、住宅ローン控除による節税効果は大きいと言えるでしょう。
理由は、住宅ローン控除は所得控除とは異なり「税額控除」であることから、算出された所得税から更に節税できるためです。
住宅ローン控除は、借入残高の1%が税額控除となり、控除期間も10年間と長いため、仮通貨取引で儲かり税金対策でお悩みの方にも、おすすめの節税対策の1つであると言えるでしょう。
7.売却せずに長期保有する
仮想通貨売却したり、支払いとして利用しない限り、保有しているだけならば含み益が出ていても課税されることはありません。
今後も更なる価格上昇の可能性も含む仮想通貨は、長期的な運用戦略として売却せずに保有し続けることも、節税対策のひとつです。
ただし今後、税制が変わることもあるというリスクも考慮したうえで、節税対策を行いましょう。
8.仮想通貨担保ローンを活用する
仮想通貨の節税方法は複数ありますが、仮想通貨担保ローンを活用する方法がもっとも節税効果が高いおすすめの方法であると言えるでしょう。
保有する仮想通貨を担保として資金調達を行うことで、借入した資金を納税資金に充てたり、新たな投資の元手として資産運用を行いつつ、その運用益を今後の納税資金に充てることも可能となります。
仮想通貨取引では、仮想通貨を売却し利益を確定しなければ、税金の支払いは発生しません。
仮想通貨担保ローンは売却ではなく借入に該当するため、仮想通貨を担保に資金調達を行っても課税されることはなく、眠らせたままの暗号資産活用が可能となる画期的なサービスです。
デジタルアセット担保ローン
以下に、仮想通貨担保ローンを提供している『デジタルアセット担保ローン』(運営会社:Fintertech株式会社)の詳細記事を掲載しておきます。
Fintertech株式会社は、国内大手証券グループである「株式会社大和証券グループ本社」と国内クレジット大手の「クレディセゾン」の共同出資によって、2018年に設立した金融会社です。
同社のデジタルアセット担保ローンを活用することで、仮想通貨を売却せずに最大で5億円までの調達が可能となります。金利は年率4%~8%の低金利で利用でき、毎月の返済も不要となるかわりに、1年間の契約期間最終期日に元金と利息を一括で清算する仕組み(期間更新も可能)となっているため、調達した資金を最大限のパフォーマンスで利用できることが同サービスの最大の特徴と言えます。
現在、『デジタルアセット担保ローン』で担保として取り扱われている暗号資産は、ビットコインとイーサリアムのみですが、今後取引可能な通貨も増えていく可能性もあるため、仮想通貨の節税対策でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、Fintertech株式会社では仮想通貨による不動産購入(NOT A HOTEL)事業にも、注力しているので、不動産購入での節税対策を検討している方は、一度同社へ相談してみるのも良いでしょう。
仮想通貨における節税対策まとめ
本記事では、仮想通貨取引における節税対策の方法について詳しく解説いたしました。仮想通取引では、利益確定後の税率が最大で55%もかかるため、適切な税金対策が欠かせません。
本記事で解説したように、仮想通貨取引による利益が1000万円を超えるような場合は、法人化による節税効果は非常に高いため、法人化を検討してみるのも良いでしょう。
個人として継続したい場合では、仮想通貨を売却せずに資金調達が可能となる仮想通貨担保ローンなどを利用し運用できれば、今後の納税資金分を確保したりする余裕もでてくるため、ぜひ有効活用してみると良いでしょう。