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補助金や助成金の申請にも審査あり。審査に通過するために押さえておくべきポイントとは?
主に国や自治体、商工会議所からの金銭的支援である補助金や助成金は、返済の必要がなく、担保や保証人を用意する必要も基本的にはないため多くの経営者が受給を考えたことがあるかと思います。
ただし、補助金も助成金も企業に対して勝手に支払われるわけではなく、それぞれの機関に対して申請を行い審査に通過しなければなりません。
そこで今回は、これら補助金や助成金を申請し、審査に通過するために押さえておきたいポイントをご紹介します。
まずは補助金と助成金の違いについて、簡単におさらいしておきましょう。
助成金を管轄している機関は、基本的には厚生労働省です。
「雇用関係」と「研究開発型」という2つの支給目的が定められており、主に従業員のキャリアアップのための費用であったり、雇用の安定を図るために支給されます。
助成金は申請のための厳しい制限や期限などが定められていないため、交付元が提示する要件さえ満たしていれば、原則誰でも受け取ることが可能です。
受給される金額は数十万円〜数百万円程度と、銀行の融資などに比べれば小額であることは否めません。
一方の補助金の管轄は経済産業省や地方自治体です。
雇用関係に役立てるための資金として支給される助成金とは対照的に、補助金は企業の経済状況の拡大や地域活性への貢献のために支給される資金とされています。
こちらは公募制となっており、助成金のように申請すれば誰でも受給ができるとはかぎりません。
申請にあたっては、事業計画書をはじめとする書類の提出や面接を通した厳正なる審査に通過しなければならないため、助成金の申請に比べると手間と時間がかかります。
公募制であるため、支給先が定員数に達し、予算の限度額に達した時点で募集を打ち切られることもあるため、申請期間を迎える数ヶ月まえから入念に準備し、余裕をもって申請する必要があります。
補助金の限度額は数百万円から数億円程度までともいわれ、助成金よりも多額の資金が調達できるでしょう。
さて、このように要件を満たしていればあっさりと審査を通過できる助成金に対して、補助金はたとえ要件を満たしていても厳正な審査に通過する必要があり、数多く集まる他社の申請に差をつけ、いかにして審査員の興味関心を惹きつけられるかがポイントとなります。
審査は誰が行うのか?
国や地方自治体に申請するからといっても、審査を行うのは公務員ではなく、主に税理士や中小企業診断士といった外部の有識者によって行われます。
申請する補助金によって異なるものの、基本的には3~4名が審査にあたり、その内2名が経営面、あとの1〜2名が技術面といったように分担されます。
これらの審査員は経営や資金繰りに関するプロであることは間違いありませんが、どんな業界にも精通しているわけではないため、見識が欠けている、または興味関心が薄い事業に対しては低く評価するといったことも少なくないそうです。
こればかりは運としか言いようがありませんが、審査員は定期的に交代されるので、たとえ落選した場合であっても時期をずらして再び申請することで自社の事業に関心の強い審査員にあたり、審査に通過できる可能性もあります。
分かりやすい書類を作成する
審査員が自社の事業に詳しくはない場合であっても、提出する書類や面接、プレゼンテーションによって事細かく説明ができれば興味関心を強めることができます。
誤字脱字に注意する
提出を求められる書類は、申請する助成金や補助金によっても異なりますが、応募申請書、事業計画書、経費明細書、事業要請書などが一般的です。
どの書類を提出するにしても必要最低限の注意を払うべきポイントは「誤字脱字」をなくすことです。
どんなに質の高い書類を作成したとしても、誤字脱字が多ければ、ガサツなイメージを与えてしまい読むのも躊躇われます。
細心の注意を払って、ていねいな書類作成を心がけましょう。
専門用語は控えめに
次に、専門用語の使用は極力避けること。
前述の通り、すべての審査員が自社の事業に対する見識を備えているわけではありません。
ですので、業界では当たり前となっているような専門用語を羅列しても審査員が意味を理解できなければ評価を下げてしまう恐れがあります。
他の言葉に置き換えが不可能な専門用語を記載する際には、注釈を加えたり、図やグラフ、写真などを活用すると有効的です。
具体性を高める
提出書類に記載する内容は、具体的であるほど分かりやすく、評価が高まります。
例えば、多くの助成金や補助金の申請に必要となるのが事業計画書ですが、これは経営者の熱意を伝えるための書類ではありません。
助成金や補助金は財源が公的資金であるため、そのような「気持ち」を示すよりも「計画」を淡々と示さなければなりません。
「計画している事業によってどのくらいの利益を上げられるのか」「その根拠はどこにあるのか」といったような内容を、具体的かつ客観的に説明できるように記載しましょう。
自社の事業を説明できる資料を用意する
提出を求められる資料はあらかじめ決められているものの、それ以外の書類や資料を追加してもかまいません。
例えば、販売している商品のパッケージやそれを紹介するチラシなど、事業を詳しく説明できるものがあれば積極的に提出しましょう。
また、競合他社との比較ができる資料(口コミや通販サイトでの売上げ順位が証明できるもの等)の提出も非常に効果的です。
面接やプレゼンテーションも重要
申請する助成金や補助金によっては面接やプレゼンテーションを課される場合もあります。
面接やプレゼンテーションにおいても、書類と同じように「分かりやすさ」と「具体性」に重点をおく必要があります。
まずは「結論」を伝える
内容にまとまりがなく、ダラダラと論点からズレないように注意しましょう。そのためにも、まずは「結論」から先に伝え、一通りの説明が終わったら最後にもう一度「結論」を伝えると審査員も理解がしやすくなります。
プレゼン資料に工夫を
基本的には、提出した書類を元に説明を進めるのがセオリーですが、文面をそのまま読み上げるのは厳禁です。
読めば分かる内容を、さらに噛み砕いて分かりやすく説明するのがポイント。
そのためにも、提出した書類とは別に、画像や映像を多く盛り込んだ資料を用意しておくのもよいでしょう。
補助金や助成金の審査通過のためには、書類に加えて面接やプレゼンテーションの評価も重要なポイントです。
質の高い資料を作成し、より分かりやすいプレゼンや面接での説明を心がけて、確実に資金を調達しましょう。