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2024年下半期の日本経済はどうなる?
4つのポイントを解説

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今年の3月、日銀によってマイナス金利政策が解除され、17年ぶりの利上げが決定しました。この大きな政策変更は金融市場のみならず経済面への中長期的に影響をもたらすものと考えられています。
また、今もなお続く円安傾向や物価上昇、人手不足やアメリカとの金利差など、様々な課題を抱える日本経済。そのような中で2024年下半期の日本経済はどのように動くのか予測してみたいと思います。

自動車産業とインバウンドが牽引する実質GDP

自動車産業とインバウンドが牽引する実質GDP

まずは今年の実質GDP成長率について確認してみましょう。
2024年1〜3月期の実質GDP成長率は、前期比でマイナス0.5%。このマイナス成長は、一部の自動車メーカーの不正問題発覚にともなう工場の稼働停止、それにともなう輸出、設備投資、個人消費の減少が影響したと考えられています。
ただし、4〜6月期には先の自動車工場の再稼働によって自動車の生産、販売数の回復が見込まれていることから実質GDP成長率もプラスに転じることが期待されます。
円安傾向が続いていることもあり、日本最大の基幹産業ともいえる自動車生産の再活発化が進めば、下半期においても輸出による日本経済の成長の押し上げが見込めることは確かでしょう。
また、新型コロナ禍の規制解除や円安を背景にインバウンドが大きく伸びています。コロナ禍前の2019年を1割程度上回る水準で成長しているほか、一人あたりの消費額についても大きく増加しており、インバウンド消費は2019年の1.5倍ほどの水準にまで達しています。2024年の1年間におけるインバウンド消費額が7.9兆円ほどになると想定されていることから、今やインバウンドが日本の基幹産業として経済を支える屋台骨であることは明らかです。
このように、インバウンドのようないわゆる“サービス輸出”が好調な状況は今後も引き続き継続されると見込まれており、自動車産業とともに日本経済の復活と成長にあたる双肩を担うことが期待されます。

引き続き厳しさが増すであろう建設業や運輸業

引き続き厳しさが増すであろう建設業や運輸業

一方、下半期も厳しい状況が予測されるのが建設業や運輸業です。
建設業に関しては、工事にあたる人員不足に加えてマイナス金利政策解除によって生じると予測される企業の設備投資、個人の住宅購入控えが顕著になるのではないかと考えられます。
建設業者も依頼する側も“需要はあるのに対応できない”状況が見込まれるなか、資材の高騰が続いているといった要因も重なり、資金力と人員に欠ける中小零細の建設業者は今後も厳しさが増すのではないでしょうか。
また運輸業については、一時期続いた原油価格の高騰が落ち着きをみせているものの、建設業と同じように人員不足のほか、新たに施行された労働時間の規制も業界全体が悩まされる課題としてのしかかっています。“需要はあるのに対応できない”状況は、運輸業においても顕著です。
両業種ともに、成長や回復どころか減退傾向が続いているといっても過言ではありませんが、日本経済を維持するうえでは不可欠な産業であり、このまま衰退を許すわけにはいきません。外的要因に大きく揺さぶられる現状から脱せられるような経済政策に期待したいところです。

緩やかな上昇が期待される個人消費

緩やかな上昇が期待される個人消費

では、個人消費はどうでしょうか。
失業率は低い水準ではあるものの緩やかな改善がみられるほか、労働参加率もわずかながら上昇傾向となっています。さらに定額減税の実施が開始されたほか、主要企業における2024年の春季賃上げ、さらには先日決定された最低賃金の引き上げ決定により最低賃金の全国平均は1050円台半ばとなる模様です。
そうした要因から、個人の可処分所得の増加が期待でき、今後は個人消費についても緩やかに上昇するのではないかと見込まれます。
ただし、円安による物価高騰や金利の上昇が重なることもあり、住宅の購入や海外旅行といった大規模な支出は引き続き控えめになるのではないでしょうか。経済を底上げするほどに個人消費が活発化することは難しいといえ、やはりインバウンドを通じた外国人旅行客の消費活動に頼らざるをえない状況が続くことでしょう。

近い将来の縮小は期待できない日本とアメリカの金利差

近い将来の縮小は期待できない日本とアメリカの金利差

もうひとつ気になるのが、日本とアメリカの金利差です。
円安傾向の要因のひとつとされる日本とアメリカの金利差については、日本がマイナス金利を解除したとはいえ引き続き緩和を維持する一方で、アメリカは現状のインフレを注視したうえでの高金利維持の方針を貫く以上、近い将来に縮小する可能性は低いといえます。
また9月に控えたアメリカ大統領選において、トランプ氏が公約として金利の引き下げを示唆しているものの、FRB(米国連邦準備制度理事会)の方針変更がなければ実現することは考えられないでしょう。

まとめ

2024年の下半期も自動車産業やインバウンドが牽引することによって、実質GDPは緩やかに上昇することが見込まれます。一方で、建設業や運輸業をはじめとした一部の業種については下半期も引き続き厳しい状況が続きそうです。
失業率の低下や賃上げといった明るい兆しがわずかには見えるものの、それを覆うほどに日本経済を圧迫する課題や外的要因が存在しています。
急速な解決や解消こそ難しいものですが、2025年に向けて少しでも明るい兆しが拡大されることを望むばかりです。