5月25日、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)と北海道の緊急事態宣言が解除されました。これにより、全国の都道府県に発出されていた新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言はすべて解除。
4月7日に東京都をはじめとする一部地域に発出されてから、およそ1ヶ月半に及んだ外出自粛や休業・営業時間短縮などの“要請”は今後、自治体の判断のもと、段階的に緩和されていくことになります。
従業員の出社制限や営業活動の縮小を実施していた企業様も、すでに制限を取りやめて通常営業を再開されているところが多いのではないでしょうか。
当サイトを運営する株式会社トップ・マネジメントが所在する東京の神田は、ビジネス街と歓楽街が共存する街なのですが、東京における新型コロナの新規感染者数の増加が緩やかになり始めた5月中旬あたりから、徐々にジャケット姿の方々の往来が戻りはじめています。
感染拡大以前に比べれば、まだまだ「活気を取り戻した」とは言えないものの、緊急事態宣言の解除によって、これから少しずつ以前のような賑やかさを取り戻すことを願うばかりです。
ただ、医療の専門家が度々、警告を続けている通り、新規感染者の増加が緩やかになっているとはいえ、感染拡大の第二波、第三波に対する警戒は常に持ち続けなければなりません。
通常通りの営業活動を再開された企業様や店舗様であっても、今後の情勢によっては再び活動の自粛や縮小を余儀なくされる可能性は十分にありえるのです。
同時に、今回のコロナ禍によって大きな経済的損失を被っているようであれば、経営や事業の少しでも早い立て直しこそが、今後の経済活動を左右する最重要課題であるといえます。
では、新型コロナの感染再流行が懸念される中で、経営者や事業主の方々はどのような点に気をつけながら経営や事業の立て直しを図っていくべきなのでしょうか。
身近な感染予防対策の徹底
日本におけるコロナの感染者数が、アメリカやイタリア、イギリスのような諸外国に比べて爆発的に増加しなかった要因のひとつに、日本人が常日頃から心がけている「清潔衛生習慣」が挙げられています。
清潔感の維持が日頃から身についていたわけですから、今回のようなウイルスの蔓延時においても、外出時のマスクの着用や、こまめな手洗い・うがいといった政府や各自治体が徹底を求めた身近な感染予防対策を自然と実行することができたと考えられます。
ですが、感染者数が減少したからといって気を緩め、それらの身近な感染予防対策を疎かにするわけにはいきません。
通勤時や外出時はもちろん、たとえ就業中であっても他の従業員や顧客との対話によるコミュニケケーションが発生する以上、マスクの着用を義務付けるべきだといえます。
手洗いやうがいに関しても同じです。オフィス内のコピー機や電話といった、複数の従業員が扱う機器などに触れたあとは手洗いやアルコールによる手指消毒を、オフィスへの出入りの際には、手洗いとうがいを励行するといった対策は継続して行う必要があります。
機器や事務用品へのこまめなアルコール除菌も欠かせないでしょう。
また、オフィス内の定期的な換気も忘れずに行う必要があります。これから暑い季節がやってくればエアコンを1日中フル稼働させることになり、窓を開けての換気を躊躇したくなる気持ちは分かりますが、換気の悪い密閉空間に複数の従業員が長時間滞在することは、空気中に含まれるウイルスで感染するリスクを高める可能性があります。
従業員と顧客、そして社会全体を新型コロナの第二波、第三波から守るためにも、身近な感染予防対策の徹底を継続させましょう。
従業員の健康状態に意識を向ける
これからの経営や事業の立て直し、そこからさらに業績を好転させるためには経営者様や事業主だけでなく、従業員一人ひとりの働きが不可欠であることは言うまでもありません。もちろんこれは、何も新型コロナの影響下にある現状に限っていえることではありませんが、やはり平時と比べて大きな経済損失を受けているようであれば、従業員のより一層の頑張りが求められます。
ただ、だからといって従業員の健康状態を無視したうえでの無理強いは厳禁です。
日本では、未だに「苦境は気合いと根性で乗り切るべき」という無根拠で健康状態を顧みることのない精神論を掲げる経営者の方が少なからず存在します。
こういった精神論を全否定するつもりはありませんし、従業員を鼓舞するうえで、時には情緒に訴えかける精神論が功を奏する場合もあるでしょう。
しかし、新型コロナの問題は一企業、一団体の中だけで発生しているものではありません。在籍する従業員の健康状態の確認や健康管理を有耶無耶にし、気合いと根性を標榜する精神論を掲げることが社会全体に新たな脅威を与える可能性もありうるのです。
ですので、従業員から少しでも体調変化の報告や体調を崩している様子がうかがえるようであれば、すぐに業務の中断を指示し積極的に休養を促すといった最大限の配慮が必要であるといえます。
「従業員が健康状態や体調の変化を報告することなく頑張りすぎてしまう」というお悩みがあるようなら、出勤時や外出先からの帰社時だけでなく、時間帯を決めて定期的に検温を実施するのもよいでしょう。
時差出勤・在宅勤務の継続
緊急事態宣言の発出や各自治体からの外出自粛要請を機に、従業員の時差出勤や在宅勤務の導入を決断された経営者や事業主様も多くいらっしゃるかと思います。
時差出勤や在宅勤務の実施は、通勤交通量を分散させて感染のリスクを抑えることができるほか、仕事と育児や家事の両立が可能になるなどのメリットがある反面、従業員が揃ってのミーティングや会議が臨機応変に開けない、業務に関する意思疎通が遅れるといったデメリットもあります。
特に在宅勤務に関しては、従業員の働く姿を逐一チェックすることができないために、「成果だけで評価せざるをえないのでは」との悩みを抱える経営者や事業主の方もいます。
しかし、時差出勤や在宅勤務の実施が感染拡大の抑制に効果が高いことは明確であり、国内で爆発的な感染に至らなかった大きな要因のひとつには、各企業や団体が早めにこれらの取り組みを開始したことが挙げられるかと思います。
したがって、今後も時差出勤や在宅勤務といった“新しい働き方”の実施を継続していくべきだといえるのですが、やはり上記のようなデメリットがあることから、いちはやく従来通りの勤務体制に戻したいと考えられる方もいるはずです。
ただ、ほんの少しの工夫や意識の変化だけで、それらのデメリットは解消できるものです。
たとえば、従業員が揃っての会議の回数が減ったなどの問題があるならば、今まで複数回にわたって開いていた会議やミーティングに無駄がなかったかを考える機会と捉えることができるでしょう。質の高い会議やミーティングを、少ない回数かつ短時間で開催できれば、業務の効率性と生産性のアップにもつながるものです。
勤務実態の把握が難しい在宅勤務に関しては、従業員に対して、今日の進捗と成果、翌日の予定を毎日の勤務時間終了前に申告させます。これに上司の助言や忠告、修正を受けるといった流れを組み合わせるができれば、出社を前提とする勤務体制と同じように、成果だけでなく過程の評価もできるようになります。
非対面の商談を推進
感染の再流行を防ぐためにも顧客との接触はなるべく控えたいものですが、事業を進める以上、顧客に対して商談の場を必ず設けなければなりません。
そんな時は、「リモート商談」を推し進めるべきでしょう。
リモート商談は、ZoomやSkypeのようなビデオ通話アプリを活用して進める商談です。
電話やメールによる交渉も決して不可能とは言い切れませんが、相手の何気ない表情の変化や場の空気を掴むことが難しいため、臨機応変の対応ができず、顧客に不安や戸惑いを与えかねません。
ですが、リモート商談であれば、対面の商談と同じように顧客の顔やしぐさを見ながら適当な対応にあたることが可能になりますし、仮に従業員や顧客が在宅勤務中であっても、適宜、商談に臨むことができます。また、移動による感染リスクの低減にもつながります。
PCやスマホの操作に不慣れな顧客が商談相手の場合は、各ビデオアプリの使用方法を案内する必要が生じるかと思いますが、その際のコミュニケーションが、その後の商談を好転させるきっかけになるかもしれません。
資金支援制度の積極的な活用
新型コロナの影響を受けた経営者や事業主の方にとって、最も大きな心配事のひとつといえば、やはり資金繰りの問題ではないでしょうか。
5月25日に東京商工リサーチが発表した「新型コロナウイルス関連倒産状況」によると、新型コロナの影響によって経営破綻した企業は、全国で合計176社。これは負債1000万円以上の企業が集計対象となっているため、負債1000万円未満の企業や商店を含めれば、さらに多くが経営破綻に至っていると思われます。
資金繰りの行き詰まりを感じている経営者や事業主の方は急速に増加しており、経営の存続を左右する資金繰りの改善をいち早く進めるべきであることが最重要課題なのは言うまでもありません。
現在は、「実質無利子・無担保の特別貸付」や「雇用調整助成金の特例措置」など、政府や各自治体が様々な資金支援制度を実施しています。
まずは、これらの資金支援制度を積極的に活用した資金繰り対策を講じて経営の存続に努めるべきでしょう。
ただし、新型コロナによって低迷した事業がすぐに緊急事態宣言前の水準に回復する見込みは薄いため、これらの資金支援制度を活用したとしても一時的な資金繰りの改善に止まる可能性も否めません。
さらに、これから仮に新型コロナの再流行となれば、資金支援制度の活用によってかろうじて経営を維持できた事業者であっても、中長期的な望みが絶たれ、いよいよ経営体力が限界を迎えることになるかもしれません。
トップ・マネジメントでは、資金繰りに行き詰まりを感じた場合であっても、逐一利用できるファクタリングを提供しているとともに、各種助成金申請のサポートサービスなども実施しています。
政府や地方自治体による資金支援制度の活用だけでは、今後の経営に不安を感じられる経営者や事業主の方はお気軽にご相談ください。
緊急事態宣言は解除されたものの、経営者や事業主の方々にとっては、まだまだ気の抜けない日々が続くことと思われます。
新型コロナの感染再流行が懸念される中で、従業員の管理や顧客対応をどのように進めていくべきか、また大きな経済的損失を受けているのであれば、どのようにカバーしていくべきか。
経営や事業の立て直しと感染再流行の防止を図るためにも、まずは今回ご紹介した5つの心がけを意識してみてください。