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株式会社設立のメリットとデメリット
職場を退職して、これから起業を考えている方も、個人事業主を経て法人化を検討している方であっても、会社の設立を目指している方であれば、まずは株式会社を思い浮かべるのではないでしょうか。
誰もが知っているはずの会社形態である株式会社を設立すれば、一体どのようなメリットがあり、またどんなデメリットがあるのでしょうか。
株式会社とは?
株式会社が「株主から資金を調達して会社を運営する」というスタイルになっていることは、起業を目指している方なら何となくは理解しているかと思います。
基本的には、出資者(株主)と経営者は別々であり、出資者が出資した資金を元手に経営者が会社を運営し、獲得した利益を出資者に配当することで成り立っている会社形態です。
もちろん、出資者と経営者が同一人物であっても問題はありません。
これらの形態は「一人会社」や「オーナー株式会社」などと呼ばれ、若手の起業家が立ち上げた株式会社や中小株式会社に多くみられます。
10数年前までは資本金1,000万円の規制があったため、株式会社の設立には高い壁がありましたが、現在では規制は大きく緩和され、少ない資本金であっても株式会社を設立することも難しくはなくなりました。
株式会社設立のメリット
高い認知度と社会的信用度
現在、日本には「株式会社」のほかにも「合同会社」、「合資会社」、「合名会社」がありますが、一般的な知名度だけでいえば「株式会社」が最も知名度の高い形態であることはいうまでもありません。
企業名を思い起こしてみてほしいのですが、やはり世間に広く知られている会社の形態は「株式会社」です。
つまり「株式会社○○」と名乗るだけで、企業間だけではなく、サービスや商品の販売対象である一般消費者からも高い信用度を得られるため、利益の拡大にも大きな役割を果たすことになります。
増資や資金調達を行いやすくなる
個人事業主を経験し、一度でも融資を検討された方なら、ご存知かと思いますが、民間の金融機関やビジネスローンなどでは法人のみを対象とした融資を行っているところが多く、法人でなければなかなか審査に通らないのが現実。
財産管理がしっかりと行われ、所有する資産を判断しやすい法人、特に信用度の高い株式会社であれば資金調達の幅が広がり、審査通過の可能性もアップします。
また、株式会社は設立後であっても、新たに株主を募って増資ができるので資本金を増やすことができます。
その他にも、少人数私募債と呼ばれる中小企業向けの社債が発行できます。
大企業でなくとも社債が発行できる点も株式会社の大きなメリットといえるでしょう。
出資者は出資の限度でのみ責任を負うだけでいい
株式会社の出資者は、「合名会社」や「合資会社」とは違い、出資した責任を無限に負う必要はなく、あくまで出資の限度でのみ責任を負うことになります。
簡単にいえば、出資する会社が多額の負債を抱えた場合であっても、出資した範囲内(資金)の責任を負うだけで構わず、それ以上の負債は負いません。
ただし、中小企業の多くは経営者が株主を兼ねていることが多いため、もしも多額の負債を抱えてしまえば、経営者が保有する資産が凍結される可能性があることを忘れないでおきましょう。
株式会社設立のデメリット
設立・運営コストが高い
規制の緩和によって、株式会社は資本金が1円からでも設立できますが、定款認証費の6万円や設立登記の登録免許税15万円など、設立費用の負担は他の形態よりも大きくなります。
また、設立後に従業員を雇い入れる予定があるなら、社会保険料や雇用保険料などが必要になるほか、株式会社はたとえ赤字決済でも年間7万円の法人税を支払う義務が生じます。
役員の変更登記が必要
役員(取締役、監査役)の任期は最大で10年まで延長することができますが、10年が経てば必ず役員の変更登記をしなければなりません。
変更する際の登記手続きの費用は1万円で済むものの、もしも改選せずに放置すれば過料が科せられる上、さらに最後の役員改選から12年後には「みなし解散」となるので注意しましょう。
もしも、任期が残っている役員を強制的に解雇した際には損害賠償が生じる恐れがありますが、役員が辞職した場合はこの限りではありません。
決算公告義務
決算期ごとに、決算を公告する義務があるため決算書を公開し官報に掲載しなければなりません。
その際の費用は6万円。
設立間もない会社であれば、その負担は大きいでしょう。
また、経営が軌道に乗っている会社であれば、情報を公開することにより信用度の向上も期待できますが、赤字が続けば、いくら企業間や世間一般からの信用度が高い株式会社であっても、信用度がガクッと下がってしまう可能性があります。
株式会社の設立を検討しているのであれば、あらゆる側面からメリットとデメリットを比較し、少しでも資金面に不安があるのであれば他の会社形態を検討するべきでしょう。