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AI投資とは?「AI技術を活用した投資手法」におけるAIの3つの役割を中心に解説

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「AI投資」。皆さんも、おそらく一度は見聞きしたことのある言葉かと思います。

新聞やネットメディアなどで頻繁に取り上げられるようになった「AI投資」という言葉ですが、その意味合いは大きく2つにわけられます。

1つは多くの人が思い浮かべるであろう、AI技術を活用した投資手法。

金融市場をはじめとした膨大なデータをAIの活用によって分析することで、投資リスクの早期検知や回避のための戦略を自動的に実行するなど、投資判断の精度向上や意思決定の迅速化を促進します。

もうひとつは、AI関連企業に対する直接投資です。

AIを活用した新しいビジネスモデルやサービスを提供することで、市場に大きなインパクトを与えることが期待される大企業やスタートアップへの投資により、高いリターンを期待するという投資手法を指します。

2つ目に紹介した「AI関連企業に対する直接投資」に関しては、容易にイメージがしやすいかと思いますが、「AI技術を活用した投資手法」は専門的な知識がないとなかなかイメージするのが難しいかもしれません。

そこで今回は、「AI投資」のうち「AI技術を活用した投資手法」とは具体的にどのようなものであるのかについて解説していきます。

「AI技術を活用した投資手法」におけるAIの3つの役割

「AI技術を活用した投資手法」におけるAIの3つの役割

「AI技術を活用した投資手法」におけるAIの役割は、主に以下の3つです。

アルゴリズムトレーディング
ポートフォリオ管理
リスク管理

このうち、AIを活用した具体的な投資手法となるのが「アルゴリズムトレーディング」。

そして、「ポートフォリオ管理」と「リスク管理」については、AIの活用によって投資におけるリスクとリターンのバランスを最適化するためのプロセスとなります。

ただし3つの役割が独立して存在し、それぞれを活用していくというわけではなく、それぞれの役割を噛みわせて総合的に活用することが、「AI技術を活用した投資手法」であるといえます。

AI活用による自動取引手法「アルゴリズムレーティング」

AI活用による自動取引手法「アルゴリズムレーティング」

アルゴリズムトレーディングとは、コンピュータプログラムによって事前に設定されたルールに基づいて自動的に取引を行う手法です。

ここにAIが活用されることにより、膨大なデータがリアルタイムに分析され、最適な取引のタイミングの見極めが可能になるわけです。

たとえば、過去の市場データやニュース、SNS上での発信内容や経済指標など、様々なデータを統合して分析することによって、市場のトレンドや価格変動のパターンが予測され、取引の意思決定が促進されます。

また複数の取引戦略をリアルタイムでテストすることもでき、その結果から最も効果的な戦略を選択した実行も可能。これにより、リスクとリターンのバランスを最適化することができます。

取引のスピードを大幅に向上させることも、AIの役割のひとつ。人間ではなかなか難しいミリ秒単位での取引も行えることから、市場のわずかな価格変動のタイミングを逃すことなく自動的に精度と効率の高い投資の実行が可能になります。

このようにアルゴリズムトレーディングは、これまで人間のトレーダーが行っていた、複雑な判断が求められたり迅速な操作が必要であったりする取引を、高い精度と効率性、迅速性を備えたうえで自動的に行えるという先進的な投資手法だといえるのです。

ポートフォリオの動的な管理を実現

ポートフォリオの動的な管理を実現

ポートフォリオ管理とは、投資家が設定した目標に合わせて複数の資産を組み合わせ、リスクとリターンのバランスを最適化するプロセスのことをいいます。

このポートフォリオ管理にAIを導入することによって可能になるのは、投資家のリスク許容度や市場の動向に応じたポートフォリオの“動的”な管理。

たとえば、市場の動向を常に監視、または予測することによってリスクを見極め、その状況に応じて資産配分を自動的に調整します。

これにより、リスクを抑えたうえでの目標リターン達成につなげられるようになります。
また、各投資家の個別のニーズやリスク許容度に応じてポートフォリオをカスタマイズすることができるため、投資家ごとに異なる最適な投資戦略が提供されます。

つまり、AIの活用を続けることによってポートフォリオのパフォーマンスも向上を続けるため、投資家は常に効率的な資産配分を実現できるようになるということがいえます。

リスクの正確かつ迅速な検知と適切な対策の実行

リスクの正確かつ迅速な検知と適切な対策の実行

3つ目のリスク管理とは、投資における予測不能なリスクを抑えながら目標とするリターンを達成するためのプロセスのこと。

投資におけるリスクには、主に市場リスク(価格変動のリスク)、信用リスク(返済不能のリスク)、流動性リスク(資産の売却不能リスク)の3種類がありますが、AIを活用したリスク管理の実行により、これらの正確かつ迅速な検知と適切な対策が講じられるようになります。

リスクの予測と検知にあたって用いられるのは、主に「機械学習モデル」と「異常検知アルゴリズム」という2つの手法。

「機械学習モデル」は、過去の市場データや経済データを参照したAI学習によって、将来発生する確率の高いリスクを予測します。一方の「異常検知アルゴリズム」は、AIが通常のパターンから逸れた異常な市場動向を検知することにより、即座の対処を実現できるというものです。

どちらの手法も、従来のリスク管理手法と比較して高精度であることは確かです。

一方で、未経験の市場変動や突発的な出来事が発生した際などでは予測精度が低下することもあり、誤った判断を下す可能性があるため、リスク管理をAIに一任するのは危険だとする見解もあがっています。

まとめ

「AI投資」という言葉には、「AI関連企業に対する直接投資」と「AI技術を活用した投資手法」という2つの意味合いがあります。

今回はそのうち、「AI技術を活用した投資手法」について解説しました。

「AI技術を活用した投資手法」におけるAIの役割には、「アルゴリズムトレーディング」「ポートフォリオ管理」「リスク管理」の3つがあり、それぞれを機能させることによって投資判断の精度向上や意思決定の迅速化の実現が可能になります。

しかし、現段階においてもAI産業自体がまだまだ発展途上の分野。AIの進化とともに、AI投資においても今後はさらに精度が向上していくと予想されます。