融資

コロナ融資の返済が難しい場合に
検討したい3つの方法を解説

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新型コロナウイルスの流行期には、事業者へ向けた経済面での様々な支援策が実施されました。そのなかでも「コロナ融資」や「ゼロゼロ融資」などと呼ばれた実質無利子・無担保融資は、コロナ禍において業績が落ち込んだ多くの事業者が活用したのではないでしょうか。

利息は最大3年間の猶予という期限こそあれど、借り入れにあたって担保を用意する必要もないという好条件のコロナ融資は、倒産の危機に陥っていた事業者に対する救済措置としての役割を果たしただけでなく、失業者の急増に歯止めをかける効果も発揮したといえます。
ただ、そのような結果はあくまでも“延命措置”に過ぎなかったといえるのが事実。
コロナ融資を活用したほとんどの事業者が、ポストコロナにて業績のV字回復を期待したものの、今度は物価高騰や円安などの波に押され、コロナ禍以上の経営危機に陥っているケースが少なくありません。

もちろん、コロナ禍を抜けて一気に業績を回復し、コロナ前を上回るほど好転した事業者も多々存在するようですが、帝国データバンクの調査結果をみると、2023年の4月〜9月における倒産件数は4年ぶりに増加。さらに、コロナ融資を受けたのちに倒産にいたった企業は、半期ベースで増加を続けている状況にあります。

コロナ融資で一時的な延命を遂げられたとしても、物価高騰や円安といった現在の情勢に加え、借入金の返済も大きな負荷としてのしかかり、ますます経営は悪化の一途をたどる。このような状況に置かれた事業者の数は、今後も増加することが予想されています。
では、コロナ融資の返済に窮した場合は、どのような手を打つべきなのでしょうか。

コロナ借換保証の利用

コロナ借換保証の利用

コロナ融資の返済が難しい場合にまず検討したいのが、「コロナ借換保証」の利用です。
コロナ借換保証とは、コロナ融資を信用保証協会の保証付融資で借り換えるという制度であり、中小企業庁が推進する「経営力再構築支援ガイドライン」に基づいた経営支援策のひとつです。保証限度額は1億円であるほか、保証期間は10年以内、据え置き期間は5年以内など、返済に窮する現状を打開するにあたっては非常に有用な制度であるといえます。

利用にあたっては、売上または利益率が5%以上減少などの要件を満たす必要があるほか、コロナ融資の借入元である金融機関への相談後、現状認識や今後のアクションプランを策定する「経営行動計画書」の作成、その実行と報告が求められますが、返済に関する負担が軽減されるいくつかのメリットが得られます。
たとえば、元金の返済額の減額や、設定した据え置き期間に応じた元金返済の猶予。また、 他行からの“追加融資”ではなく“借り換え”であることから、金融機関からの評価に影響を与える心配もありません。コロナ融資に限らず、複数の融資をまとめるという利用方法も可能です。

補助金や助成金の積極的な申請

補助金や助成金の積極的な申請

ふたつめは、補助金や助成金を積極的に申請することです。
コロナ融資の返済が難しい状況では、「コロナ借換保証」による借り換え承認の可能性こそあるものの、金融機関からの追加融資は期待できません。だからといって、比較的に審査がゆるいノンバンクのビジネスローンを利用すれば、高金利の利息でますます経営危機を加速させることになりかねないでしょう。

資金繰りになるべく負荷をかけることなく返済を続けていくためには、今以上に負債を抱えるわけにはいかないものです。
その点を踏まえるのであれば、やはり返済が不要である補助金や助成金の利用は欠かすことのできない策のひとつといえます。
補助金や助成金を活用しながら経営や事業の継続や改善、発展を図り、売上の向上と安定につなげるという方法は、負債を抱える事業者にとってもっともリスクが少なく確実性の高い、返済金の確保手段です。

ファクタリングの利用

ファクタリングの利用

最後におすすめしたいのは、ファクタリングの利用です。
ファクタリングは、発生済みの売掛金を実際の支払い日よりも前倒しで回収できる資金調達手段であり、借り換えと同様に金融機関からの評価に影響を与えることはありません。
また、「コロナ借換保証」のように「経営行動計画書」の作成や、その実行と進捗報告といった手間がかかることもないため、早急かつ後腐れもなく資金を調達でき、返済金の補填にあてることが可能です。

まとめ

貸付条件が実質無利子・無担保だったとはいえ、コロナ融資も他の借り入れと同様に利用した以上は返済から逃れることはできません。
当然ながら、返済の滞りが続けば、法的手段である支払督促や訴訟、財産差し押さえの可能性が生じるほか、融資を保証する信用保証会社から一括返済を求められることあります。
コロナ融資の返済が厳しいのであれば、まずは融資元である金融機関に相談する。そのうえで、現状に応じた方法によって返済に対応するようにしましょう。