今回は、宮城県仙台市を拠点に運送業を営むA社様の2社間ファクタリングご利用事例を紹介します。

創業から現在に至るまで、一貫して東北地方全域を対象にした陸運業を続けておられるA社様。
車両数とドライバー数は共に10以下であることから、企業規模こそ大きくないとはいえますが、その地域密着型の事業展開により東北地方の幅広い事業者から厚い信頼を得ており、長きにわたって取引を継続されています。

燃料費の高騰

そんなA社様がここ数年にわたって悩まされ続けている問題が、燃料費の高騰。
最近では高止まりしているといえるものの、燃料費の高騰は物流のみならず、タクシーやバスといった旅客業など、運送業界全体にダメージを与えている問題のひとつであり、捻出が困難に陥ることによって廃業や事業の縮小を決断せざるをえないケースも珍しくありません。

A社様の場合、軽油を燃料とするトラックのみを活用しているため、ガソリン車に比べれば燃料費を抑えられると考えられそうですが、東北地方を拠点にする運送業者ならではといえる苦悩が伴うようです。

それが冬場における、燃料の消費量増加による資金繰りの悪化。

周知のとおり、東北地方全域は冬になると積雪に見舞われやすい地域です。日本有数の豪雪地帯も複数あり、そのような地域への運送も日常的に行われる冬場は、燃料の消費量が大きく増加するため、当然ながら燃料費も嵩むことになります。また、積雪による長時間の立ち往生も少なくないなど、トラックの“走行時”以外の場面での燃料消費も大きくなるとのことです。

A社様は、発注元に対して燃料費の上昇分を運送料金に転嫁したいと願いでるものの、応じてもらえたのは、わずか3割ほど。
そのほか、宮城県内の貨物運送事業者に対し、貨物車両の保有台数に応じた燃料費を補助する「宮城県運送事業者原油高騰緊急支援補助金」など、あらゆる支援策を活用しながら資金繰りの安定化を図ってきたものの、一時的な効果に限られてきたといいます。

ファクタリングの検討

次第に、燃料費のみならず、人件費や車両のメンテナンス費など、様々なコストの捻出が厳しくなり、とうとう2024年の年初には現金が枯渇する「資金ショート」の状態にまで陥ることに。
最近の運送業界では、「走れば走るほど赤字」というフレーズで現状が表現されがちですが、A社様はまさにこの状態から抜け出せず、結果的に経営難にまで突入してしまったわけです。

こうした状況下で、直近の燃料費をはじめとした支払いに対する資金を確保するために、利用しようと検討されたのがファクタリングだったといいます。

ファクタリングによって売掛金を早期に回収し、資金ショートの原因をカバーする。
ファクタリングを活用した典型的な資金繰り改善策ではありますが、代表を務めるB様は、冬場さえ乗り越えられれば、経営の立て直しに移行できると考えていたため、借入には頼らない資金調達手段を選択したと話しておられました。

2社間ファクタリング

取引先には知られることなくファクタリングを実行したいというご希望もあり、選択されたのは2社間ファクタリング。
ひと通りのヒアリング内容と提出いただいた資料を基に、弊社は以下のような契約内容を提示しました。

<2社間ファクタリング>
【売却対象売掛金】 1,500万円
【弊社買取対象額】 1,400万円
【買取代金】1,250万円(お客様お渡し代金)
【買取率】 93%
【ファクタリング手数料】 11%

今回のファクタリングによって得られた資金を元手に、宮城県、ひいては東北地方の運送業にとって鬼門ともいえる冬場を乗り越えられたA社様。

ガソリン補助金が2024年6月末まで延長されることが決定してはいるものの、燃料費の捻出をはじめとしたコストに関する課題の解決は容易とはいえないことでしょう。

そのような中でも経営を立て直し、引き続き地域密着型の運送業者様として、東北地方の物流を支えていただきたいと願うばかりです。