私たちトップ・マネジメントが宮城県仙台市に営業所を開設してから、まもなく1年を迎えようとしています。
東京本社のみで営業をしていた頃から、東北地方の事業者さまとも数多くお取引を重ねて参りましたが、仙台営業所開設後はより身近になったことで、経営者さまと直接的に接する機会も多くなりました。
そんな日々を通じて解像度が高まっているのが、東北地方における企業の経営実態や経営者さまの特徴。
東北地方に拠点を開設したからこそ、これまで抱えてきた経営実態や経営者さまに対する理解や認識、イメージなどがより深まっていることを実感しています。
なお内容の一部については、大手コンサルティング企業であるM&Aキャピタルパートナーズが実施した意識調査の結果を参考に記述しています。
目次
東北地方における産業構造
まずは、東北地方の産業構造についてみていきましょう。
自然豊かな地域が豊富にある東北地方では、農業や林業、漁業といった第一次産業が強いイメージがあります。特に青森県以外の5県については、全国有数の米どころとして知られているように、米の産出額が農産物産出額のトップを占めています。
一方、東北圏内の総生産に目を向けてみると、農林水産業は2 %台。数字だけをみると決して高い割合とはいえないかもしれません。
しかし、全国の構成比が1%台という調査結果があることを踏まえると、やはり東北地方においては農林水産業が盛んに行われていることがはっきりとわかるものです。
では、東北地方における総生産のうち、もっとも高いウェイトを占める産業は何なのでしょうか。トップに立つのは製造業。次いで不動産業、卸売・小売業、建設業と続いています。
このうち、不動産業は全国の構成比とほぼ同値、建設業については農林水産業と同じく全国の構成比を上回っているという特徴があります。
実際に、私たちのもとにお問い合わせをされるのも、製造業者さまや建設業者さまが目立っており、東北地方では特に盛んな産業であることを実感しています。
ただ、「盛んに行われている、総生産において高い割合を占めている」とはいっても、当然ながら関連するすべての事業者さまの経営が順調であるというわけではありません。
「盛んに行われている」とは、言い換えればそれだけ事業者さまの数が多いということでもあり、経営や資金繰りに課題を抱えているケースの割合も高いということがいえます。したがって、製造業者さまや建設業者さまからのファクタリングの需要が特に高いという現状にも納得がいく次第です。
人材不足が顕著な東北地方における企業の経営実態
続いて、経営実態もみていきましょう。
現在の東北地方で特に顕著となっているのが経営者さまの高齢化。全国的にみてもその傾向は高いといえ、後継者不足に悩まされる企業は数多く存在しているようです。
特に先述した農林水産業や製造業、建設業など、古くから日本を支えてきた産業においては、資金繰りに問題を抱えていなくても、後継者不在により事業を畳まざるをえない、もしくはM&Aの活用などにより事業を譲渡する決断に至るといったケースをよく耳にします。
M&Aキャピタルパートナーズの意識調査の結果によれば、回答した東北地方の経営者のうち、約半数の49.5%が「後継者候補はいない」と答えているということで、いかに重大な経営課題として浮き彫りになっているかがわかるのではないでしょうか。
また、その他の経営課題としては、営業力や販売力の強化がもっとも多く挙げられており、次いで人材採用や育成面、資金繰りと続いています。
複数回答可の質問ではあるものの、営業力や販売力の強化と人材採用や育成面については、それぞれ41.7%と35.%の経営者さまが挙げているのですが、このどちらにも共通する点は「人材」と「教育力」だといえるでしょう。
企業に大きな利益をもたらす優秀な人材に育成するためには、新しい人材を確保するだけではなく、確保した人材を育成する既存従業員の存在も重要になります。したがって、確保する人材が見つからず、見つかったとしても育成に従事できる人材が不足しているというような、マイナスのスパイラルが働いている状態にある企業さまが多いことがうかがえ、東北地方においてはやはり「人材不足」という経営課題が顕著であるといえるのです。
私たちはファクタリング事業者ですので、資金繰りに関するご相談をいただくことは当然なのですが、ヒアリング時には経営課題についてもうかがうようにしています。
そのなかでよく挙げられるのは、このような人材に関する課題。発注の数は増加傾向にあるものの、人材不足によってやむなく受注を断ることや、対応に必要なスキルや知識の不足によって、相手方から契約を見送られるといった経験のある企業さまも珍しくないようです。
これから定年を迎える既存従業員が培ってきたスキルや知識、経験を何とか次世代に引き継ぎたいという想いを抱く経営者さまも少なくありません。これからも加速することが予想される高齢社会のなかで、人材不足に悩まされる企業が経営を維持しながら企業力の向上を目指していけるよう、東北地方全体の官民連携に期待したいところです。
東北地方の経営者の特徴
私たちがこれまで接してきた東北地方の経営者さまの多くは、とにかく誠実であり、胸の内に静かな情熱を抱いておられるという印象があります。
静かな情熱と表現すると、どこかアグレッシブさに欠けるイメージがあるかもしれませんが、そうではなく、大げさに理想を述べられることのない慎み深さのなかにも高い向上心を持っておられるということです。
ファクタリングに限らず、資金調達の際にはどうしても自身や業績を誇張したいという姿勢で面談に臨まれる経営者の方が少なからず存在するものですが、他の都道府県に比べるとほとんど目立つことはありません。
地に足のついた理想を掲げられ、それらを達成するためには何が欠けており、何を改善するべきかを丁寧かつ冷静に分析されている経営者さまに出会うと、“東北らしさ”を強く感じられ、嬉しくなります。
また、同業種や異業種、企業規模や事業形態などを問わず、事業者同士の連携によって東北全体のビジネスを盛り上げようとする協調性も非常に高い印象を受けます。
もしかすると、降雪量の多さや寒さといった冬場の厳しい環境をともに乗り越えようとする態勢や、東日本大震災で受けた甚大な被害からの復旧・復興を経験してきたことによって培われてきたものなのかもしれません。
ファクタリングは、売掛債権の売買による資金調達手段ではありますが、その根本にあるのは他のビジネスと同様に、「人と人とのつながり」です。
私たちと、ご利用いただく経営者さまとのつながりの中で互いの意思や意向を尊重し合い、納得のいくかたちで契約に至れることが何よりも大切であると考えています。
そういう意味では、仙台市に営業所を開設して以降、東北地方の経営者様とのお取引の多くは「つながり」を強く感じられるものとなっており、これらは「誠実さ」「情熱」「協調性」が重なる人柄の賜物であると感謝している次第です。
まとめ
今回は、東北地方における企業の経営実態や経営者さまの特徴について述べました。
全国的にみても、高齢化を伴う人材不足が顕著な東北地方における企業の経営実態ですが、経営者さまの特徴としてよくみられる「誠実さ」「情熱」「協調性」をもってすれば、どのような苦境も乗り越えられるはずであると信じています。
私たちトップ・マネジメント仙台営業所は、東北のビジネスを盛り上げるべく、これからもファクタリングや資金繰りに関するコンサルティングなどを通じて、皆さまの事業をサポートして参ります。
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