円安、物価高騰、人材不足や人件費の高騰などの要因が重なり、全国的に企業の倒産が増加傾向にあります。
東北6県に目を向けてみると、2023年度の倒産件数は489件。前年度と比較すると47%の増加であるほか、2011年度以降で最多の件数になったとのことです。
そこで今回は、東北6県における倒産件数を具体的に確認したうえで、倒産を回避するためには何が必要になるのかなどについても解説したいと思います。
目次
東北6県のすべての県で全国平均を上回る倒産件数
先にも述べた通り、東京商工リサーチが発表した調査報告によれば、宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県の東北6件における2023年度の企業倒産件数は489件であり、前年度と比較すれば47%の増加となりました。
リーマン・ショックによって世界的に経済への大打撃を受けた2010年度は576件でしたが、これ以降では最多の件数に達したということになります。
東北の県別の倒産件数は、宮城県が35%増の146件、福島県は37%増の92件、青森県は37%増の59件、岩手県は52%増の64件。山形県と秋田県は特に増加率が高く、それぞれ83%増の64件と73%増の64件。東北6県はすべての県で、倒産件数が前年度よりも増加しました。
ちなみに増加率については、全国平均をみると前年度比31.58%の増加という結果が出ており、東北6県のすべての県で全国平均を上回っていることもわかります。
では、業種別の件数はどうでしょうか。
もっとも倒産件数が多かったのは、サービス業で17%増の129件。建設業は68%増の116件、運輸業は65%増の33件、小売業は50%増の60件、製造業は2.5倍となる75件など、昨今の情勢が直撃しているような業種は、軒並み増加しているといえます。
倒産件数増加の要因のひとつとなったゼロゼロ融資の返済
新型コロナウイルスに関する規制が大幅に緩和されて久しい昨今。流行期には、業績の回復と発展を図るべく、様々な経済支援策が実施されていたものの、結果的には倒産件数は増加しており、未だに「ポストコロナの明るい未来」は訪れていないといえます。
その理由としては、物価や人件費の高騰、円安、改善の兆しがみられない人で不足など、昨今の経済・社会情勢がまず挙げられますが、それらと同列に並ぶほどの大きな課題が、経営を圧迫している状況にあります。
その課題が、「ゼロゼロ融資」の返済。
コロナ禍における経営維持とポストコロナでの業績の回復と発展を図るために、政府の肝入りで実施されたゼロゼロ融資は、中小企業や零細企業などの事業者を対象に、実質無利子・無担保で貸付けを行う特例の融資制度でした。
東北地方でも多くの中小零細企業や個人事業主が利用されたものと思われますが、果たしてこの制度で調達した資金がどれだけ経営に貢献したのでしょうか。
当然、新型コロナの流行期では業績の回復や発展に至らなかったとしても、経営の維持には貢献したことかと思います。それを証明するかのように、ゼロゼロ融資のみならず資金面での様々な支援策が実施された新型コロナの流行期には、全国的にも倒産件数が減少傾向にありました。
しかし、現在もコロナの感染が続いているとはいえ、ポストコロナ期に入った2022年後半以降、そして2023年と上昇していることを考慮すれば、結局のところすべての支援策は一時的な「延命措置」にすぎなかったという企業が数多くいるといえるのではないでしょうか。
倒産件数増加の傾向は今後も続くと予想される
「借りたものは必ず返さなければならない」。これが世の常です。
業績が未回復であったり、どれだけ落ち込み続けているという現状があっても、それらが“返済しない”理由にはなりません。いくら好条件の融資制度であっても、最終的に完済できなければ、債務超過などによる倒産に至ることは言うまでもないでしょう。
ゼロゼロ融資では、政府系金融機関や民間金融機関からの借入れに関して、公的機関が3年間にわたって利子を負担し、最長5年間は返済が猶予されます。2020年に導入された制度ですので、猶予期間が3年だった事業者はその期間が満了し、2023年から返済が本格化したことになるわけです。
したがって、ゼロゼロ融資に本来期待されていたはずの業績回復と発展という役割を発揮させることができず、結局は常時の融資と変わらない負債として残り、返済期間に入ってもすぐさま返済不能へと陥る。
こうした“負のコース”を辿っている事業者の数は非常に多く存在しており、ゼロゼロ融資の返済と2023年度の倒産件数が上昇した事実が結びついていることは明らかであるほか、今後もその傾向が高まることは目に見えているのが現状だといえます。
ファクタリングで倒産回避のきっかけを手繰り寄せる
物価や人件費の高騰、円安、そしてゼロゼロ融資の返済など、資金繰りの悪化とその果ての倒産につながる要因がいくつも絡み合うなかで、おそらくすべての経営者の方が望むことといえば、まずは「経営の維持」なのではないでしょうか。
その経営の維持を実現させるために必要な要素を挙げるとすれば、売上の安定。これに尽きることでしょう。物価や人件費の高騰に耐えられ、ゼロゼロ融資を利用したのなら、その返済を滞ることなく進められるほどの売上を得続ける。そうなれば、当然ながら倒産に至る可能性は低下させられるはずです。
どのような施策を用いて売上の安定を図るべきかという話はさておき、どのような施策を講じるうえでも必要になるのは、やはり資金の投入です。つまり資金が枯渇している、または資金の調達ができないようでは、売上の安定を図るのは難しく、結果的に倒産の可能性も高めることになるといえます。
さらにいえば、情勢の先行きを見通すことがなかなか難しい現状ですので、一刻も早く売上の向上を図るためにも資金の投入は迅速に進めなければなりません。
しかし、仮にゼロゼロ融資の返済期間中であるのなら、金融機関から追加融資を受けられる可能性は限りなくゼロに近いもの。また、ノンバンクのビジネスローンを契約しようものなら、資金の投入はできたとしても、さらに負債の返済が経営を圧迫することになります。
そうした状況でこそ活用してほしいのがファクタリングです。
以前の「事例紹介」でも述べましたが、ファクタリングは運転資金の補填という使い方がもっとも多くみられるものの、実際にはそれに限られることはなく、将来的な投資を前倒して実行する際にも有用です。
売上の安定を図る策として、たとえば人材教育や生産性の向上に向けた新たな設備の導入など、様々あるかと思いますが、それらを迅速に実行へと移すうえで投じる費用を、すでに発生している売掛債権を原資として調達することが可能になるのです。
また、売掛債権を原資にするということは、もちろん新たに負債を抱えることにはならず、金融機関からの評価を落とすこともありません。
私たちファクタリング事業者としては、ゼロゼロ融資の返済に窮するなかで金融機関からの資金調達が限られる、そしてそれにともなう倒産の増加傾向が続くと予想されている今こそ、ファクタリングの真価が発揮されるタイミングであると考えています。
経営維持の一助として、ぜひファクタリングの活用をご検討ください。
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