経営において欠かせない資金調達。なかでも積極的に活用したい資金調達手段といえば、補助金と助成金ではないでしょうか。
補助金と助成金は融資と異なり、利息をともなう返済が不要な“給付される事業資金”です。
申請のためには、それぞれの制度で規定された要件を満たす必要があるため、すべての企業がすべての補助金や助成金を受給することは難しいですが、どのような業種であっても適合する制度が必ずひとつはあるはずです。
そこで今回は、2024年における宮城県の中小企業や小規模事業者を対象とした補助金と助成金の制度をいくつかピックアップして紹介します。
要件を満たす補助金や助成金の制度があれば、ぜひ申請を検討してみてください。

補助金や助成金の実施機関はさまざま

補助金や助成金の実施機関はさまざま

補助金と助成金の実施機関には、国や各地方公共団体のほか、民間のさまざまな支援団体等もあります。
たとえば、革新的な商品やサービスの開発、生産プロセス改善に向けた設備投資を支援する「ものづくり補助金」や、ポストコロナ時代の新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編などを支援する「事業再構築補助金」などは、経済産業省や中小企業庁が実施機関となります。
また助成金制度においては、事業活動の縮小に至った事業主が、従業員の雇用維持に向けた教育訓練や出向、休業手当に要した資金を助成する「雇用調整助成金」、賃金の引き上げとともに生産性向上につながる機器や設備の導入による業務改善を支援する「業務改善助成金」などは、厚生労働省が実施しています。
これらのような国が実施機関となる制度に関しては、地域を問わず日本全国の経営者がよく知るところではありますが、地方公共団体や民間の支援団体等が実施する補助金や助成金は、大々的に告知がされないものも多く、「気づいたときには申請期限を過ぎていた」となることも頻繁に耳にする話です。
国が実施する制度に比べると補助率や助成率は低い傾向にあるものの、各地方公共団体や支援団体の制度も活用できれば、さらなる経営の一助となることは確かです。要件を満たす制度に漏れなく申請できるように、関連するホームページなどを日頃からチェックする習慣をつけておきましょう。

宮城県で実施されている補助金と助成金

宮城県で実施されている補助金と助成金

ここからは、2024年5月時点で公募が続いている宮城県の補助金と助成金の制度について紹介していきます。
なお、あくまで概要や要件の一部紹介となりますので、申請にあたっては必ず公式ホームページを一読するか担当者へ問い合わせてください。

【宮城県】令和6年度女性にやさしい職場環境づくりモデル事業の実施企業等への補助金

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kyosha/yasasiihojyo.html
女性専用施設の新設や増設など、女性が働きやすい職場環境づくりを支援する補助金制度。

・対象事業者
1 宮城県内に本社または事業所のある中小企業と小規模事業者
2 女性を正社員として新たに雇用、もしくは雇用予定であること

・補助対象経費
女性専用、または女性が働きやすい環境に必要な設備や備品の新設、増設、改修、購入にかかる経費
<一例>
トイレ、更衣室、託児所、授乳室などの女性専用設備
スロープ、滑り止めなどの安全確保設備
調理設備など、県知事が認める福利厚生施設
※他者が所有する施設の整備は対象外。また中古品の導入については、耐用年数の残存年数が5年以上であること

・補助金額
・補助率 補助対象経費の2分の1以内
※備品については総額10万円以上が対象

・上限額 50万円

・申請期間
令和6年5月31日まで

【宮城県】宮城県倉庫事業者エネルギー価格高騰緊急支援補助金

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/syokokin/souko-hojyo.html

エネルギー価格の高騰にともない、業績が悪化している宮城県内の中小倉庫事業者に対し、費用の高騰分の一部を支援する補助金制度。

・対象事業者
東北運輸局に倉庫業者として登録中である大企業以外の事業者

・対象倉庫
1 令和5年10月1日から令和6年3月31日までの期間において使用していた倉庫
2 東北運輸局長の証明書もしくは倉庫明細書に記載された倉庫
以上のすべての要件を満たすこと

・補助単価
1類倉庫・2類倉庫
補助単価 受寄物在貨面積平均(㎡)90円

冷蔵倉庫(C級)
補助単価 受寄物在貨面積平均(㎡)275円

冷蔵倉庫(F級)
補助単価 受寄物在貨面積平均(㎡)570円

・申請期間
令和6年6月28日まで

【宮城県】みやぎ中小企業チャレンジ応援基金事業

みやぎ中小企業チャレンジ応援基金事業

宮城県内の中小企業のうち、農林水産物や鉱工業品といった地域資源等を活用した新商品やサービスの開発にかかる経費の一部を助成する制度。
「一般型」と「技術志向型」の2種類があり、後者を希望するには「高付加価値製品に関する研究開発」、「産学連携により取り組む研究開発」、「高度な技術を活用した研究開発」のいずれかひとつの研究開発の実施も求められます。

・対象事業者
1 宮城県内に事業所を置く中小企業またはそのグループ
2 宮城県内に事業所を置くNPO法人など
3 助成金の募集開始から6ヶ月以内に宮城県内で創業する人

・助成対象経費
新商品やサービスに関する研究および開発にかかる経費
<一例>
研究材料費、原材料費、備品、試作用器具、専門家への謝礼金や旅費、外部への委託費、展示会等への出展費など
※従業員や役員にかかる人件費は助成対象外

・助成金額
「一般型」
・補助率 助成対象経費の3分の2以内
・上限額 200万円以内

「技術志向型」
・補助率 助成対象経費の2分の1以内
・上限額 300万円以内

・申請期間
「一般型」
令和6年4月10日〜令和6年5月20日

「技術志向型」
令和6年5月下旬より開始予定

【仙台市】令和6年度仙台市地域企業スケールアップ補助金

https://www.city.sendai.jp/kikakushien/scaleup/r6.html

仙台市内に本拠を置く中小企業の競争力強化や変革促進を目的に、新事業展開や生産性向上などを支援する補助金制度。

・対象事業者
1 仙台市に本社または本店を置いていること
2 会社法第2条第1号に規定する会社(有限会社は対象外)
3 資本金額10万円未満または常勤の従業員数が2,000人以下
4 令和5年3月31日以前に設立した会社
5 大企業に該当しない会社

以上のすべての要件を満たすこと

・補助対象経費
新規事業展開、生産性向上、高付加価値化、販路開拓、ブランディング等にかかる事業において必要な経費。それらを明確にする証拠の提示必須。
<一例>
店舗の改修費、設備導入費、システム開発費、デザイン費、試作品の加工費・原材料費、技術導入費、運搬費、旅費、資料購入費、外注費、広告宣伝費など
※令和6年4月11日以降に発注もしくは契約しており、令和7年2月28日までに支払う経費

・補助金額
・補助率 補助対象経費の2分の1
・上限額 補助対象経費が600万円以上の場合300万円(下限150万円)
※補助対象経費が300万円未満の場合は補助対象外

・申請期間
令和6年4月11日〜令和6年5月31日

【仙台市】宿泊事業者採用活動支援補助金

https://www.city.sendai.jp/kankokikaku/syukuhakujigyou/saiyou.html

ホテルや旅館の従業員採用にかかる費用を補助する制度。

・対象事業者
仙台市内で旅館業法に基づいたホテルや旅館を経営する企業や個人
※「性風俗関連特殊営業」や暴力団との関係を有する事業者、宗教および政治的な活動を目的とした事業者、市税の滞納事業者は対象外

・補助対象経費
1 求人情報誌や就職情報サイトへの掲載費
2 人材紹介サービスの利用費
3 採用活動における説明会会場の会場使用費、装飾購入費、資材搬入費など

・補助金額
・補助率 補助対象経費の2分の1
・上限額 各事業合計20万円

・申請期間
令和6年5月1日〜令和7年2月28日

【石巻市】プロフェッショナル人材雇用助成金制度

https://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10452000a/0003/555/20240326170501.html

石巻市の事業者が、経営体質の強化や新事業展開などを目指す目的として、プロフェッショナル人材を雇用する際にかかる経費を助成する制度。

・対象事業者
1 石巻市内に事業所等を設置する中小企業者か小規模事業者
2 宮城県プロフェッショナル人材戦略拠点を通して、民間の人材ビジネス会社から紹介された人材の雇用
3 同趣旨の補助金や助成金を受給していない、もしくは申請していない

以上3つの要件をすべて満たすこと

・助成対象経費
年度末までに支払った最大3ヶ月分の基本給

・助成金額
1 プロフェッショナル人材の雇用
・助成率 助成対象経費の3分の1
・上限額 75万円

2 1を満たし、さらに市外から石巻市内への移住もともなう雇用
・助成率 助成対象経費の2分の1
・上限額 100万円

・申請期間
随時受付中
※雇用する人材の雇用開始日までの申請必須

まとめ

東北地方のなかでも、宮城県は特に補助金や助成金の制度が豊富にある印象を受けました。
今回紹介した制度以外にも、中小企業や小規模事業者を対象としたものが複数ありますので、要件を満しているようであれば迷うことなく申請しましょう。