ファクタリング

ファクタリングとどう違う?売掛債権を補償する取引信用保険とは

ファクタリングとどう違う?売掛債権を補償する取引信用保険とは

事業者が様々な商取引を通じて得られる売掛金。

現代のビジネスにおいては、売掛金の発生を原則とした「掛取引」による支払いが採用されており、経営や事業は、この売掛金の発生と回収の繰り返しによって成り立つものです。

しかし、もしも売掛金の発生から回収までの期間に売掛先が倒産や任意整理に至ってしまえば、回収不可となる可能性が生じるばかりか、たちまち自社の利益や資金繰りに大きなダメージを与えかねないことは言うまでもありません。

そのような回収リスクへの対応策のひとつとして知られるのがファクタリングです。

そしてもうひとつ、ファクタリングと同じように売掛金の回収リスクを回避するのに役立つ金融サービスがあります。それが取引信用保険です。

共に売掛債権を取り扱うことから、しばしば混同されがちな両者。では、取引信用保険とはどのような仕組みや内容で、ファクタリングとの違いはどこにあるのでしょうか。

取引信用保険とは?

取引信用保険とは?

ファクタリングは、発生済みの売掛金を債権として売却し、実際の支払い期日よりも早期に売掛金を受け取ることができる金融サービスです。

一方、取引信用保険は「保険」という名称がつくことからも分かる通り、売掛債権に保険をかけることによって、回収不可に陥った場合でも保険金が支払われるサービスであり、主に保険会社が提供しています。

また、ファクタリングでは取り扱い対象外である受取手形をはじめとする各種の「手形債権」も補償の対象となります。

保険料と縮小率

保険料と縮小率

ファクタリングは、利用ごとに売却する売掛債権に応じた「利用手数料」が発生しますが、取引信用保険はあくまでも保険であることから、「保険料」の支払いが必要になります。

保険料の設定は保険会社によってまちまちですが、おおよその相場は年間で1%〜3%ほど。もちろんこれは、保険会社が設定する支払い限度額や取引先数、信用情報などに応じて変動します。

もうひとつ、取引信用保険にはファクタリングにはない概念があります。

それが「縮小率」です。

これは支払われる保健金額を算出する際に使用されるものであり、実際の損失額にこの縮小率を掛けた金額と、前もって設定される支払い限度額のうち、少ない金額の保険金が支払われることになります。

なお、縮小率は一般的に90%〜95%程度に設定されるため、保険をかけたからといって、支払い限度内の債権が100%補償されるということは原則ありません。

対象債権の違い

対象債権の違い

ファクタリングでは、基本的に業種や事業内容を問わず、売掛金の発生さえ証明できれば、利用が可能になります。

対する取引信用保険では、保険会社にもよるものの、一般的には物販による売掛債権のみが補償対象となります。

したがって、建設業や運送業などの「請負債権」は対象外となることが多く、売掛債権を所有しているかといっても、すべての業種や事業者が利用できるとは限りません。

特定の売掛債権のみに保険はかけられない

特定の売掛債権のみに保険はかけられない

ファクタリングでは、特定の一社のみの売掛債権を売却することができますが、取引信用保険は複数社の売掛債権にまとめて保険をかけなければなりません。

ですので、例えば経営不振に陥っているA社のみの売掛債権に対して保険をかけるといったことができず、「10社以上」や「全取引先」など、それぞれの保険会社が設定する条件に応じた範囲が対象となります。

取引先への利用通知は無し

取引先への利用通知は無し

ファクタリングには、取引先への利用通知が必須となる「3社間ファクタリング」と、通知不要で利用可能な「2社間ファクタリング」があります。

取引形態によって、利用通知の有無が分かれるファクタリングに対して、取引信用保険は、保険対象となった売掛先に対して保険をかける旨を通知する必要はありません。

「資金調達手段」のファクタリングと「補償」の取引信用保険

「資金調達手段」のファクタリングと「補償」の取引信用保険

「ファクタリング」と「取引信用保険」。

どちらも売掛債権を取り扱うサービスでありながら、似て非なるものであることがお分かりいただけたかと思います。

また、細かな仕組みや内容の違い考慮に入れると、そもそも両者は利用目的が違うという点にお気づきいただけるのではないでしょうか。

売掛債権さえ保有していれば、いつでも何社の売掛金であっても気軽に売却して回収できるファクタリングと、即時の回収はできないものの、万が一の回収不能リスクに備えた対策として重宝する取引信用保険。

つまりファクタリングは緊急時や中長期を問わず、「資金の調達手段」としての役割を果たす金融サービスであり、取引信用保険は「資金の補償手段」であるということがいえます。

ですので、売掛金を早期に回収して有効活用したいと考えるのであればファクタリングを、将来的に訪れるかもしれない未回収リスクを回避して確実な回収を目指すのであれば取引信用保険といったように、両者のそれぞれの特徴を踏まえた上で、利用を検討してみてはいかがでしょうか。