資金調達

エンジェル投資家とは何か?メリットや注意点を分かりやすく解説

エンジェル投資家とは何か?メリットや注意点を分かりやすく解説【資金調達】

企業に対して資金を提供する個人のことを「投資家」と呼びますが、最近では「エンジェル投資家」と呼ばれる投資家の存在が目立つようになってきています。

「エンジェル=天使」という意味からも、初めて耳にしたという人は「慈悲深い投資家」などというイメージを持たれるかもしれません。

そのイメージは、あながち間違いではなく、実際にエンジェル投資家と呼ばれる投資家たちは、創業資金の調達を必要とする起業家などに対して、銀行融資などのように厳しい条件を設けることなく積極的に資金援助を行う、まさに「天使のような投資家」であるといえます。

では、エンジェル投資家とは具体的にどのような投資家のことを指すのか。また、エンジェル投資家に資金援助を受ける際にはどのようなメリットや注意点があるのかなどについて解説していきます。

エンジェル投資家とは?

エンジェル投資家とは?
エンジェル投資家とは、創業間もないベンチャー企業やスタートアップ企業へ資金を出資する個人投資家のことです。

もともとはアメリカで誕生した言葉であり、エンジェル投資家からの資金援助を受けることによって、後に大きな成功を遂げた起業家も少なくありません。

したがって、未だ十分に実績を挙げられておらず、銀行融資の審査通過にも期待できないベンチャー企業やスタートアップ企業にとっては強力な資金支援者ということになります。

エンジェル投資家の投資条件

エンジェル投資家の投資条件実績に乏しい若い企業への出資を積極的に行うエンジェル投資家ではあるものの、資金調達に苦労している企業に対して、誰彼構わず無条件に資金を援助するわけではありません。

エンジェル投資家が投資先として選ぶ条件は、「将来有望な若い企業」であることです。

「将来有望」というと少し漠然としてしまいますが、要するに社会や人々の生活に変革を与えるような期待値の高い事業計画はもちろん、起業家個人の能力や人間性なども慎重に考慮して将来性を見極めた上で出資先を決めるということになります。

エンジェル投資家の投資目的

エンジェル投資家の投資目的ではなぜエンジェル投資家は「将来有望な若い企業」に対して積極的に出資するのでしょうか。

これには主に3つの理由が挙げられます。

次世代の起業家を応援

ひとつは次世代の起業家を応援するためです。

エンジェル投資家の多くは、自身もかつては若い起業家として事業を立ち上げ、大きな成功を遂げるとともに莫大な個人資産を手にしている人たちです。

こうした人たちにとって、自分たちの後に続く可能性を感じさせる将来有望な若い起業家や企業は興味深い対象であり、未だ見ぬ革新的なビジネスモデルの誕生に大きな期待を寄せていることから、資金援助を通した応援を行なっているというわけです。

将来的なハイリターンの可能性

ふたつめは将来的なハイリターンの期待です。

創業間もないスタートアップ企業やベンチャー企業が、いきなり株式市場に上場することはまずありえませんが、中には著しい成長を遂げることによって上場企業となるケースも少なくありません。

そもそもエンジェル投資家の出資は、あくまで“資金支援”という名目で行われるものであって、多くのエンジェル投資家は、出資に対するリターンを期待していませんし、当然ながら返済を求めるようなこともしません。

ですが、もしも創業時に出資した若い企業が後に上場を果たすようなことになれば、思わぬハイリターンにつながる可能性もあるのです。

確固たる名声の獲得

3つめは、投資家としての知名度が向上することです。

前述の通り、エンジェル投資家の多くは莫大な富を築き上げた人がほとんどであり、金銭的な不足などはまずないと考えられます。

こうした人たちの多くが次に欲するのが、確固たる「名声」ではないでしょうか。

もちろん、事業の成功によってすでに大きな知名度を得ているエンジェル投資家は数多く存在しますが、それは起業家や経営者としての名声であり、一個人としての名声の獲得にいたってはいないということができます。

創業間もない若い企業に対して個人的に資金を援助し、その企業が後に社会を大きく変えるようなビジネスモデルを構築する企業へと成長を遂げれば、初期の出資者としてクローズアップされる可能性もあるため、一個人としての確固たる名声獲得にもつながるといえます。

エンジェル投資家から出資を受けるメリット

エンジェル投資家から出資を受けるメリット次に、エンジェル投資家から出資を受ける側には、どのようなメリットが生じるか考えてみましょう。

いかなる事由があっても返済は不要

上記「将来的なハイリターンの可能性」の項目でも説明していますが、エンジェル投資家から受けた出資金は、企業や経営者自身の将来性を担保とした“支援金”であるため、返済する必要は原則ありません。

つまり、たとえ事業に失敗して倒産に至るようなことになっても、受け取った出資金が負債として残ることはありません。

エンジェル投資家は、企業や経営者に大きな期待を込めながらもそのようなハイリスクも十分に考慮にいれた上で出資を行なっているということになります。

経営に対するアドバイスや人脈の拡大

エンジェル投資家の多くは、自身も大きな成功を挙げた起業家や経営者であるケースがほとんどです。

したがって、エンジェル投資家からの出資を受けるということは、優れた起業家や経営者との関係性の構築と強化につながることを意味します。

これにより、エンジェル投資家自身が事業の成功に導いたノウハウや経験に基づく信頼度の高いアドバイスを受けられるというメリットが生まれるのです。

また、エンジェル投資家の多くは、ビジネス界隈だけにとどまらず、政治や芸能、スポーツ界など、ジャンルを超えてあらゆる分野にまで拡がる強力な人脈ネットワークを築いているものです。

エンジェル投資家からの出資を受けるということは、こうした強力な人脈ネットワークの一部になることも意味します。

このような人脈ネットワークを活かすことによって、起業家や経営者とはまた違った多角的なアドバイスやサポートに期待できるという点も、メリットのひとつといえるでしょう。

エンジェル投資家から出資を受けるデメリット

エンジェル投資家から出資を受けるデメリット返済不要の資金が手に入るほか、人脈の構築・強化にも期待できるエンジェル投資家の出資ですが、当然ながら出資を受けることで生じるデメリットもあります。

調達金額が不十分の場合もある

莫大な資産を抱えるエンジェル投資家からの出資とはいえ、あくまでも個人投資家ですので、銀行融資などに比べると金額が低くなることが多く、想定する事業によっては調達金額として不十分になる場合もあります。

これは、いくら「期待を込めた出資」ではあるものの、回収ができないことや将来的なリターンが不確実である上で多額の出資を行うことは、あまりにもリスクが高いためです。

経営に対する過干渉の可能性

エンジェル投資家は株主ではないため、経営に口出しをする権限は持ち合わせていませんが、中には資金援助の見返りを名目に、経営に大きく関与してくるケースも想定されます。

もちろん経営権を奪われるようなことにはならないでしょうが、せっかくの資金を調達できたとしても、過干渉が続くことによって雑音が気になりはじめ、思い通りの経営を目指す上での障害になることも考えられます。

このような事態を避けるためにも、エンジェル投資家から出資を受ける場合であっても必ず互いの意向を確認し合うようにしましょう。

エンジェル投資家との出会い方

エンジェル投資家との出会い方エンジェル投資家とは、どのような投資家であるか。

またそのエンジェル投資家から出資を受けることによって生じるメリットやデメリットは分かったものの、どうすれば出会えるのか疑問に感じている人も多いはずです。

最後にエンジェル投資家との出会い方をいくつかみていきましょう。

セミナーや交流会への参加

まずはビジネス系のセミナーや交流会への参加です。

このようなセミナーや交流会には、必ずといっていいほど、事業で大きな成功を遂げて莫大な資産を保有する起業家や経営者が参加するものです。

そういった“成功者”に対して積極的にアプローチをかけることによって親密な関係性を築くことができ、自身の事業計画に可能性を感じてもらえるようなことになれば、出資につながる可能性も生まれるでしょう。

マッチングサイトの利用

最近では、起業家や経営者とエンジェル投資家を結びつけることを目的としたマッチングサイトもリリースされています。

有名なものとしては、「Angel List」「ANGEL PROT」といったサイトがあり、これらを利用すれば気軽に出資者を探すことができます。

ただし、中にはマッチング後に出資を前提としながらも高額なセミナーに招待したり、教材を売りつけるといった詐欺まがいの行為も少なからず存在するようです。

また、エンジェル投資家を騙りながら、実際には法外な利子の支払いを要求する個人融資を提案されるといった悪質なケースも発生しています。

ですので、たとえマッチングしたとしても悪徳業者である可能性を考慮に入れながら、相手に対する注意と警戒を怠ることのないようにしましょう。

まとめ

まとめ資金調達が満足に行えないであろう創業間もないベンチャー企業やスタートアップ企業にとって、“好意”による出資を行うエンジェル投資家の存在は大変こころ強いものです。

出資条件としては「将来有望」な企業や起業家、経営者であること。

この条件は、ほぼエンジェル投資家の主観によるものですので、一概に正解を示すことはできませんが、将来性や可能性を認められて出資を受けられれば、事業の早期成長にも期待できるでしょう。