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急増中?地方での起業のメリットやデメリットをまとめて解説

急増中?地方での起業のメリットやデメリットをまとめて解説【起業】

一昔前までは、「地方での起業は難しい」といわれており、起業家の多くが起業の地として選ぶのは東京や大阪といった経済の中心である主要都市が当たり前だったかのように思われます。

しかし、最近ではインターネットの普及によってどこからでもデータのやり取りや、ビデオチャットを活用したWeb会議が行えるようになったことのほか、都会の喧騒から離れた静かな土地でのスローライフを求めていることなどが要因となり、地方での起業が増加傾向にあります。

また、各地方自治体も起業志望者に対して事業資金や移住資金といった資金面のサポートを積極的に実施するなど、多くの地方で起業を歓迎する体制が整えられています。

2016年に第一生命経済研が発表したレポートによれば、当年の開業率のトップは東京都や大阪府、愛知県などの主要都市やその近郊ではなく、沖縄県という結果でした。

この結果を見ても分かる通り、地方での起業は決して珍しいものではなく、「起業するなら主要都市が当たり前」だとする考え方はすでに時代遅れになっているといえます。

まさに「地方起業ブーム」ともいえる昨今ですが、地方での起業には主要都市での起業に比べて魅力的なメリットがある一方で、地方ならではの苦労や難しさがあることも確かです。

そこで今回は、地方における起業にはどのようなメリットやデメリットがあるのかについて解説していきます。

地方での起業に興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。

地方起業のメリット


まずはメリットからみていきましょう。

地方での起業におけるメリットには、主に「資金面」「支援制度の充実」「精神的な余裕」などが挙げられます。

ランニングコストの大幅な削減

 まずは、なんといっても経営にかかるランニングコストを大幅に削減できるという点です。

東京や大阪といった主要都市に比べると、地方の物価水準は低いため、オフィスの賃料や人件費といった支出を大幅に減らすことができます。

たとえば、東京23区内のビジネスの中心地にある賃貸オフィスの坪単価の相場が約23000円であるのに対して、北海道の釧路市では約7000円。

その他の地方でも、おおよそ10000円前後が相場であるため、地方で起業すれば、いかにオフィスの賃料を削減できるかが分かるかと思います。

また、人件費の支出にも大きな差が生まれます。

各都道府県の最低賃金額(時給)をみると、東京では1013円、神奈川では1011円、大阪では964円であるのに対して、全国で最も最低賃金額の低い高知や鳥取などの7県では792円と定められています。

ランニングコストの中でも、特に大きな支出となるオフィス賃料と人件費が主要都市に比べて大幅に削減できる点は、地方での起業ならではのメリットといえるでしょう。

地方自治体の積極的な支援制度


人口の過疎化や少子高齢化が進む地方を中心とした各自治体では、地域の経済発展や地方創生の実現のために、起業家を受け入れる支援制度が整えられています。

これも地方起業の大きなメリットのひとつです。

支援制度の中身は、主に起業にかかる資金面のサポートであり、開業資金はもちろん、移住に必要な資金までを支援する自治体も存在します。

また、資金調達面のみならず、事業における販路開拓や地元企業の経営者との交流の場を設けるといったサポートの実施、事業税の一部免除など様々な支援策を積極的に実施しているケースもみられます。

このような支援制度は、起業にあたっての資金面の不安を解消するだけでなく、縁もゆかりもない土地での起業を目指す人にとっては、心強い力添えになっているといえます。

少ない競合他社

経済規模が大きい主要都市部では、同一産業に対する競合他社が多く、激しい競争に打ち勝って顧客と利益を確保し続けるのは容易ではありません。

対して地方での起業となれば、競合他社数は主要都市に比べれば少なく、競争率も下がるため、精神的な余裕をもって事業を展開することもできます。

もちろん、だからといって簡単に顧客や利益を確保できるわけではありませんが、競争率が低い分、少ない差別化を図るだけでも他社との違いを生みだすことが可能になります。

地方起業のデメリット

次にデメリットをみていきましょう。

地方起業におけるデメリットは、「人材面」や「市場規模」にあります。

求める人材の確保が困難


地方での起業が増加傾向にある反面、地方で生まれ育った若い人材の中の多くが、経験やスキルの蓄積を求めて都市部に流出するという傾向は今も昔も変わりません。

したがって、地方で起業し共に働く従業員の雇用を希望しても、求める人材の確保が困難であったり、イチから教育が必要となるケースが多くみられます。

小さな市場規模

もうひとつのデメリットとしては、市場規模の小ささが挙げられます。

特に人口の過疎化や少子高齢化が進む地方では、主要都市と比べると圧倒的に市場規模は小さいことから大きな消費も期待できないでしょう。

ただし、メリットの項でも挙げた通り競合他社が少ないため、事業の差別化の成功と地元からの信頼を得られれば、市場を独占できる可能性もゼロではありません。

また、インターネットを活用すれば、たとえ経営の拠点が地方であっても全国規模のビジネスモデルを構築することは容易いことです。

地方での起業にあたっては、地元のニーズを正確につかむのと同時に、全国を対象にした事業の展開も視野に入れながら進めるのが理想的だといえるでしょう。

まとめ


ご紹介した通り、地方での起業は主要都市での起業に比べて「人材確保の難しさ」や「市場規模の小ささ」といったデメリットがある一方で、ランニングコストを大幅に削減できたり、各自治体からの手厚いサポートを受けられるなどの魅力的なメリットがあります。

これから起業を目指す方は、「どのような事業を展開するのか」また「経営にあたって何を重視するのか」といった点を考慮に入れて起業の地を選択してみてはいかがでしょうか。