補助金・助成金

キャリアップ助成金(2)

キャリアップ助成金(2)【補助金・助成金】

人件費の悩みを解消したい経営者必見キャリアップ助成金(2)

アルバイトやパート、契約社員といった非正規雇用の従業員を正社員として雇用したい場合や賃金規定の改定を目指す事業者、または、人材育成のための研修やセミナー、健康診断制度の導入を目指す事業者が利用できる助成金が「キャリアアップ助成金」です。

キャリアアップ助成金の主なコースは受給する目的別に7つ。各コースによって、受給要件や受給額は様々です。

今回はそれぞれのコースの受給要件や受給額をご説明します。

キャリアアップ助成金において中小企業事業主と認められる範囲は以下のとおりです。

  • 小売業(飲食店含む)

資本金・出資の総額 5,000万円以下

常時雇用者数 50人以下

  • サービス業

資本金・出資の総額 5,000万円以下

常時雇用者数 100人以下

  • 卸売業

資本金・出資の総額 1億円以下

常時雇用者数 100人以下

  • その他の業種

資本金・出資の総額 3億円以下

常時雇用者数 300人以下

  • 常時雇用者とは、2ヶ月以上雇用されている労働者で週あたりの労働時間が、通常労働者とほぼ同等の者のこと。

それでは、キャリアアップ助成金の7つのコースで定められている主な受給要件と支給額をひとつずつ確認していきましょう。

正社員化コース

アルバイトやパート、契約社員といった非正規雇用の従業員を正規雇用する目的として受給できる助成金です。短時間正社員・勤務地限定正社員・職務限定正社員などへの転換も含まれます。

主な受給要件

  • 雇用期間の定めがない従業員(有期契約社員や派遣など)を主に正社員に転換する制度を就業規則などで規定する
  • 6ヶ月以上、有期契約社員として雇用し、正社員に転換後6か月以上の期間継続して雇用され、転換後6か月の賃金が支給されている
  • 転換した正社員を雇用保険と社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入させている
  • 対象の労働者が訓練を実施する事業所の事業主又は取締役の3親等以内の親族以外の者
  • キャリアアップ計画書の作成

受給額

中小企業

有期契約労働者から正社員へ転換した場合 57万円

(生産性の向上が認められる場合は72万円)

有期契約労働者から無期契約労働者へ転換した場合 28万5,000円

(生産性の向上が認められる場合は36万円)

無期契約労働者から正社員へ転換した場合 28万5,000円

(生産性の向上が認められる場合は36万円)

大企業

有期契約労働者から正社員へ転換した場合 42万7,500円

(生産性の向上が認められる場合は54万円)

有期契約労働者から無期契約労働者へ転換した場合 21万3,750円

(生産性の向上が認められる場合は27万円)

無期契約労働者から正社員へ転換した場合 21万53750円

(生産性の向上が認められる場合は27万円)

すべて一人当たりの金額

生産性の向上とは、助成金を申請する直近の決算において、生産性が3年度前より6%上昇している場合を指します。

※母子家庭や35歳未満の従業員を正社員に転換した場合は加算

賃金規定等改定コース

有期雇用契約の従業員の賃金規定を改定して、基本給を2%アップさせることを条件に支給されます。

主な受給要件

  • 有期契約労働者の賃金規定を作成して3ヶ月以上運用

・ 増額改定後の賃金規定を6ヶ月以上運用

  • 支給申請日に改定された賃金規定の運用を継続している

受給額

すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

1人~3人 :95,000円 ※12万円(71,250円 ※90,000円)

4人~6人 :19万円 ※24万円(14万2,500円 ※18万円)

7人~10人 :28万5,000円 ※36万円(19万円 ※24万円)

11人~100人:28,500円 ※36,000円(19,000円 ※24,000円)

一部の有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

1人~3人:47,500円 ※60,000円(33,250円 ※42,000円)

4人~6人:95,000円 ※12万円(71,250円 ※90,000円)

7人~10人:14万2,500円 ※18万円(95,000円 ※12万円)

11人~100人: 14,250円 ※18,000円(9,500円 ※12,000円)

中小企業において賃金規定等を3%以上増額改定した場合は以下のように加算されます。

  • すべての賃金規定等改定: 14,250円 ※18,000円
  • 一部の賃金規定等改定: 7,600円 ※9,600円

◎※は生産性の向上が認められた場合

◎( )内は大企業

健康診断制度コース

有期雇用契約の従業員4人以上が、法で定められた診断科目以外の診断(雇入時健康診断、人間ドック、定期健康診断、生活習慣予防診断)のいずれかを受けた際に支給される助成金です。

主な受給要件

  • 有期契約労働者の健康診断の実施を就業規則に規定
  • 定期的な健康診断を4人以上の有期契約労働者に実施
  • 雇入時健康診断、定期健康診断の費用を全額負担
  • 人間ドック、生活習慣予防診断の費用を半額負担

受給額

38万円 ※48万円 (28万5,000円 ※36万円)

◎ ※は生産性の向上が認められた場合

◎( )内は大企業

賃金規定等共通化コース

有期雇用契約の従業員の賃金規定を正社員と同一にした際に支給される助成金。

主な受給要件

  • 賃金等に関する規定を就業規則等で適用した日の前日から遡り、3か月以上前の日から6ヶ月以上継続して助成金を申請する事業主に、有期契約従業員として雇用されている労働者
  • 正規雇用されている労働者と同じ区分に位置付けられている従業員
  • 助成金受給対象の事業主の事業所で雇用保険被保険者として雇用されている従業員
  • 賃金規定を新規で作成、適用した事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族ではない労働者
  • 支給申請日において離職していない労働者

受給額

57万円 ※72万円(42万7,500円 ※54万円)

◎ ※は生産性の向上が認められた場合

※( )内は大企業

諸手当制度共通化コース

有期雇用契約の従業員に対して、正社員と同一の手当てを導入した際に受給できます。

受給要件

賞与、役職手当、特殊作業手当、精皆勤手当、食事手当、単身赴任手当、地域手当、家族手当、住宅手当、時間外労働手当、深夜・休日労働手当のいずれかの手当の支給を制度化する

下記のうち、いずれかに該当

  • 賞与手当を6か月分相当、50,000円以上支給
  • 賞与、時間外、深夜手当以外の手当のいずれかを1ヵ月分として3,000円以上支給
  • 時間外労働手当、深夜・休日手当は、割増率を法定割合の下限に5%以上加算して支給
  • 諸手当制度を有期雇用労働者にも適用
  • 6ヶ月以上継続して支払う
  • 適用以前からの基本給を減額していない
  • 支給申請日において継続して手当の支給がされている

受給額

38万円 ※48万円(28万5,000円 ※36万円)

◎1事業所あたりの支給額

◎ ※は生産性の向上が認められた場合

◎( )内は大企業

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

新たに社会保険の適用対象となった有期雇用契約の従業員の賃金を、一定額引き上げた場合に受給できる助成金です。

主な受給要件

  • 労使合意に基づき社会保険の適用拡大を実施した事業主
  • 新たに社会保険の被保険者となった全ての有期契約労働者等の基本給を増額
  • 定額で支給されている諸手当を減額していない事業主
  • 新たに社会保険の被保険者となった全ての有期契約労働者等の基本給について、以前の基本給と比べて一定の割合(3%以上)で増額する事業主
  • 有期契約労働者等を6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して基本給の増額後6か月分の賃金を支給した事業主
  • 当該労働者を雇用保険、社会保険に加入させている事業主
  • 社会保険加入状況及び基本給を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主

受給額

労働者の基本給の割合に応じて変動

3%以上5%未満: 19,000円 ※24,000円(14,250円 ※18,000円)

5%以上7%未満: 38,000円 ※48,000円(28,500円 ※36,000円)

7%以上10%未満: 47,500円 ※60,000円(33,250円 ※42,000円)

10%以上14%未満: 76,000円 ※96,000円(57,000円 ※72,000円)

14%以上: 95,000円 ※12万円(71,250円 ※90,000円)

◎一人当たりの支給額

◎ ※は生産性の向上が認められた場合

◎( )内は大企業

短時間労働者労働時間延長コース

有期雇用契約の従業員の労働時間を1週間あたり5時間以上延長。また、賃金規定等改定コースを併用し、1週間の労働時間を1時間以上5時間未満に延長することで、社会保険適用対象とする際に受給できる助成金。

受給要件

  • 有期契約労働者の週の労働時間を5時間以上延長。もしくは労働者の手取り収入が減少しないよう週所定労働時間を1時間〜5時間未満延長し、社会保険に適用させることに加えて賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを適用した事業主
  • 週所定労働時間を延長した労働者を延長から6か月以上期間継続して雇用。延長後の処遇適用後6か月分の賃金を支給し、雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主
  • 週の労働時間を延長した際、週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を作成、交付している事業主

受給額

週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に加入させた場合

19万円 ※24万円(14万2,500円 ※18万円)

労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1時間〜5時間未満延長し、新たに社会保険に加入させ、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施した場合

1時間以上2時間未満: 38,000円 ※48,000円(28,500円 ※36,000円)

2時間以上3時間未満: 76,000円 ※96,000円 (57,000円 ※72,000円)

3時間以上4時間未満: 11万4,000円 ※14万4,000円(85,500円 ※10万8,000円)

4時間以上5時間未満: 15万2,000円 ※19万2,000円 (11万4,000円 ※14万4,000円)

◎一人当たりの支給額

◎ ※は生産性の向上が認められた場合

◎( )内は大企業