みなさまこんにちは。
トップ・マネジメントです。

2025年4月、アメリカのトランプ大統領が突如発動した「相互関税」は、すぐさま世界経済を揺るがし波紋を広げました。
2017年の第一次政権における「米国第一主義(アメリカファースト)」を思い出させる大胆な保護主義政策は、今回も例外なく日本企業に影響を与え始めています。

ファクタリングという企業の資金繰りに直結するサービスを展開している私たち「トップ・マネジメント」にとって、このような貿易政策の変化は、現場で日々感じる“企業の息づかい”に直結する重要なテーマだと捉えています。

相互関税

そもそも、今回の相互関税とはどういうものなのでしょうか。
アメリカ政府は2025年4月5日から、世界の主要貿易相手国に対して一律10%のベースライン関税を課し、さらに4月9日からは日本や中国、EUなど赤字額の大きい57カ国に対し、上乗せ関税を課す措置を開始しました。
日本に対しては合計で24%の関税が設定されましたが、わずか13時間後には日本など一部の国に対し、この上乗せ部分を90日間凍結することを発表。そのため、現時点では10%の一律関税が適用されています。

しかし、この「猶予」が過ぎた91日目に再び関税率が24%に引き上げられた場合、日本経済に与える影響は決して軽視できるものではありません。
なかでも輸出業、特に自動車関連の分野では深刻だと予測できます。
自動車とその部品は、2024年において対米輸出額の約34%を占めており、その規模は7兆円を超えます。
この主力輸出品に対して25%もの追加関税が課されれば、国内生産や雇用、そして裾野産業に至るまで影響が波及することは避けられないことでしょう。

実際に、私たちと付き合いのある中小企業、特に製造業・物流業界では、すでに一部の企業が納期の見直しや発注の遅れに直面しているようで、キャッシュフローが細くなる兆しを感じています。
取引の先細りや支払いサイトの延伸、突然の倒産リスク、こうしたシグナルが確実に現れ始めているわけです。

GDP

また、経済指標もこの現場の肌感覚を裏づけています。
将来的に24%の関税が適用された場合、日本の実質GDP成長率は前年比で0.5ポイント下がると予測されています。これは明らかな景気後退の兆しといえるのではないでしょうか。さらには、企業の経常利益はマイナスに転じる見込みであり、これが倒産件数の増加へとつながると予測できます。

帝国データバンクの試算では、2025年度の倒産件数が前年比で約340件増、1万687件に達する可能性があるとされていますが、これは単なる統計上の数字ではなく、一つひとつの企業に働く人々の生活、そして地域経済に連なる実態だと捉えられます。
そして、仮に関税率が10%にとどまった場合でも経済への影響は避けられないでしょう。
実質GDP成長率は0.3ポイントの下押し、倒産件数も約250件増と見込まれており、企業にとっては苦境が緩やかに続くことになります。
特に輸出依存度が低い、または直接海外と取引をしていない企業にとっても、こうした関税ショックは無関係ではありません。
自動車関連をはじめとする裾野産業に部品やサービスを提供している企業、物流や包装、印刷などの業界にまで影響は及びます。

ファクタリングの相談をされるお客さまからも、「最近、主要取引先の決済が遅れがち」「売掛先の与信に不安が出てきた」といった声が少しずつ増えてきています。
こうした不安定な状況では、早期資金化のニーズが急増する傾向にあります。
これは私たちの事業機会の拡大とも言えますが、裏を返せばそれだけ資金が回らない企業が増えているという警鐘でもあります。
したがって、今後の数カ月で企業の信用状況はより厳しくなることから、
リスクの高まりとともにファクタリングの選別力が問われる局面に入ることを意味しているといえます。

一方で、現場には希望の声もあるようです。

希望の声
「今は厳しいが、1年後には体制が整ってくるはず」「政府の今後の支援策に期待している」といった前向きな意見も少なくありません。
こうした声に応えるためにも、私たちは単なる資金提供者としてではなく、“経営のパートナー”としての役割と期待がより高まっていくと感じています。
資金繰りの視点だけでなく、企業が今後の市場環境にどう適応していくか、どこに商機を見出していくかを共に考える姿勢が今後ますます重要になるはずです。
加えて、今回の事態は日本政府にも対応を迫るものであるといえます。
企業が打撃を受けた後ではなく、その前段階で的確な金融支援や税制支援策を打つことが、企業倒産を未然に防ぐ重要なカギとなります。
特に中小企業においては、資金調達の選択肢が限られていることも多く、ファクタリングや政府系金融機関による無担保融資の拡充など、柔軟かつ迅速な政策対応が求められることでしょう。

最後に、現状のような貿易摩擦の構図は今回が初めてではありません。
米中間の報復関税の応酬が加熱する中で、145%という異常とも言える関税率が現実になったことは、国際経済秩序の転換点を物語っています。
私たちも、“従来の常識が通用しない時代”に入っているという認識を強く持たなければなりません。企業が生き残るためには、短期の資金繰り対策だけでなく、中長期的な戦略の再構築が不可欠です。
その道のりは決して平坦ではありませんが、私たち「トップ・マネジメント」は常に企業さまとその現場に寄り添い、変化に柔軟に対応できる支援体制を構築していく決意を新たにしています。